通研電気工業株式会社 様

AMD社製CPU搭載サーバで仮想化基盤を刷新
基幹システムの安定稼働に貢献

電力系統運用関連装置などの開発・製造や工事を通じて、東北6県・新潟県の電力安定供給に長年貢献する通研電気工業。同社の仮想化基盤は保守切れを控え、サーバのハードウェア更改に取り組んだ。そこで採用した製品がCPUに「AMD EPYC™プロセッサー」を搭載した富士通の「Fujitsu Server PRIMERGY RX2450 M1」である。サーバ単体での信頼性や可用性が向上した。同時に、「AMD EPYC™プロセッサー」搭載サーバの高い集約率から、十分なリソースを確保。それらを軸に、富士通パートナー、ミツイワ社の支援もあわせ、基幹システムのさらなる安定稼働を実現し、既存の事業と今後の新規ビジネス展開の両者を支える土台を固めた。

課題
効果
課題仮想化基盤の安定稼働
効果最新ハードウェアへの更改により安定稼働を実現
課題基幹システムの可用性
効果高信頼サーバ導入による可用性の向上
課題仮想サーバ増加によるリソースの枯渇
効果高い集約率による十分なリソースの確保

導入の背景

東北6県・新潟県の電力安定供給に長年貢献

通研電気工業は東北帝国大学(現 東北大学)の電気通信研究所発のベンチャー企業として1946年に創立された。現在は東北電力グループの傘下に入り、電力系統運用関連装置をはじめ、電力安定供給に不可欠な製品の開発・製造および工事を軸とする事業によって、東北電力管内(東北6県・新潟県)の地域社会に、80年近くの長きに渡り貢献し続けている。

通研電気工業株式会社 理事 技術本部長代理 伊藤 淳 氏は「当社は電力という社会インフラを支える専門性の高い製品を開発・製造しています。さらには工事専門の部署を自社に有しており、装置の据え付けや運用保守などを行っています。それら開発・製造から工事までを一貫して提供できるのが強みです」と話す。

同社は2022年7月、ユーザ対応の迅速化と柔軟性を重視した事業展開を目的に、ソリューション推進事業部を新設。2023年7月には同事業部の新オフィス「DX推進室」を仙台市青葉区に開設した。

通研電気工業株式会社 経営企画本部 総務グループリーダー 佐瀬 勝敏 氏は「メインユーザである東北電力、東北電力ネットワークの本店・本社に近い場所に当社の拠点を構えることで、企業グループ間のより一層の連携向上を図ることができます」と狙いを明かす。このようにユーザとの関係を強化し、平行してDX推進にも注力できる組織体制の整備を通じて、さらなる地域社会貢献を目指していく。

通研電気工業株式会社
理事技術本部
本部長代理
伊藤 淳 氏
通研電気工業株式会社
経営企画本部
総務グループリーダー
佐瀬 勝敏 氏

仮想化基盤の更改に取り組む

通研電気工業では、基幹システムの仮想化に意欲的に取り組んでおり、2016年度に生産管理や購買、経理などの基幹システムを仮想化した。仮想化基盤のハードウェアには、「Fujitsu Server PRIMERGY」を採用。これらの構築・運用管理は、富士通パートナーであるミツイワ株式会社の支援のもとに実施している。

2021年の秋、既存サーバのハードウェア保守切れを見据え、更改のプロジェクトを立ち上げた。その製品選定で大前提となった点を、通研電気工業株式会社 経営企画本部 総務G 課長 佐々木 浩智 氏は次のように語る。

「この仮想化基盤では、当社の事業を支える基幹システムが稼働します。そのため、高い安定性と信頼性は不可欠です。もちろん、処理性能も求められますが、現状でも十分なパフォーマンスが得られているので、最低限維持することを目標とします。」(佐々木氏)

また、ハードウェア更改にあわせて、業務システムの再構築も同時に進めた。通研電気工業株式会社 経営企画本部 総務G 専門役 工藤 正秋 氏は「業務システム再構築のチームと議論を重ねながら、仮想サーバに必要なリソースを洗い出し、要件に落とし込みました。今後のインボイス制度への対応などによるデータ量増加も踏まえ、必要な仮想サーバ台数が増えても問題ないよう、その分のリソースに余裕を持たせました」と振り返る。

それらと共にこだわった要件が可用性のさらなる向上だ。「近年は基幹システムの継続的な安定稼働への要求がますます厳しさを増しています。その実現策として、今回はHA構成を要件に含めました。障害リスクを極力排除し、可用性が更に向上します」と佐々木氏は述べる。

これらの要件を踏まえ、所要コストや構築期間とのバランスを鑑みつつ、2022年5月から具体的な仕様を固め、製品選定を行った。

通研電気工業株式会社
経営企画本部
総務G 課長
佐々木 浩智 氏
通研電気工業株式会社
経営企画本部
総務G 専門役
工藤 正秋 氏
通研電気工業株式会社
経営企画本部
総務グループ
池田 慎祐 氏

導入のポイント

サーバのハードウェアに「Fujitsu Server PRIMERGY RX2450 M1」を採用

2022年7月、ミツイワ社からの提案を受け、検討を重ねた結果、「Fujitsu Server PRIMERGY RX2450 M1」(以下、PRIMERGY RX2450 M1)の採用を決めた。

同製品はAMD社最新CPU「AMD EPYC 7003 / 7002シリーズ・プロセッサー」(以下、AMD EPYC™プロセッサー)を2個搭載可能な2WAYラック型サーバである。最大2CPUで合計128コアのサーバ構成が可能であり、高い仮想集約率を実現(1CPUあたり最大64コア)。さらには高性能、高信頼性に加え消費電力の低減が期待され、優れたコストパフォーマンスも兼ね備えている。

「当社が必要とする仮想化基盤のリソース等の条件を満たした上で、SSDによる処理速度向上も期待できました。しかも、富士通のキャンペーンによるリーズナブルな価格も大きな魅力でしたね。あらゆる角度から総合的に判断し、採用に至りました」(佐々木氏)

採用のポイントとなったのが、AMD EPYC™プロセッサーで得られる高い集約率による十分なリソースの確保である。工藤氏は「従来の仮想化基盤は、サーバ2台構成でしたが、今回の更改では1台への集約を目指しました。それにはリソースの確保と高い性能を担う必要があります。CPUを同じ性能と同じコア数で比較した場合、AMD EPYC™プロセッサーは従来より半減できます。高い仮想集約率のAMD EPYC™プロセッサーを搭載したPRIMERGY RX2450 M1は、コストパフォーマンスが格段に違いましたね」と強調する。

大規模な仮想化システム用途のエンタープライズ向けサーバで、AMD EPYC™プロセッサー搭載の国産製品はPRIMERGYシリーズだけである。他にも、富士通とミツイワ社への長年の信頼なども、PRIMERGY RX2450 M1採用の後押しとなった。

富士通サーバ「Fujitsu Server PRIMERGY RX2450 M1」

導入のプロセス

世界的な部材不足の時期に、予定通りサーバを調達

採用決定後、発注や調達からシステム構築を経て、2023年初頭からPRIMERGY RX2450 M1、1台による新たな仮想化基盤が稼働開始した。CPUは32コアのAMD EPYC™プロセッサーを2個搭載し、計64コアの構成とした。続けて2023年6月には増強のため1台追加し、計2台構成となった。

調達の際は、もともと半導体不足が続いていた折、コロナ禍も加わり、サーバに限らず、あらゆる部材が世界的に不足している時期であった。保守切れのデッドラインは決まっているなか、PRIMERGY RX2450 M1の調達の遅延が懸念された。

「当時の状況から、調達には通常よりも相当長い期間を要することを見越してスケジュールを組んでいましたが、それでも不安は消えませんでした。しかし、ミツイワ社と富士通で調整に尽力いただいたことで、無事間に合いました」(佐々木氏)

また、すでに触れたとおり、業務システムの再構築も平行して進めていたが、その検証環境の準備にも苦労した。通常時なら新たなハードウェアによって検証環境を構築するのですが、今回は部材不足の状況からままならなかった。

「廃棄予定だった古いサーバなど、手持ちの部材を駆使して、PRIMERGY RX2450 M1を用いた場合と限りなく同等の検証環境を構築しました。それらの作業をミツイワ社が短期間で終えてくれたので、業務システムの再構築が滞ることなく、非常に助かりましたね」(工藤氏)

導入の効果・メリット

十分なリソース確保で安定稼働を実現

通研電気工業はPRIMERGY RX2450 M1の導入効果は当初から発揮され、更に今後の運用においても期待している。

佐々木氏はハードウェア更改プロジェクト全体を総括し、「仮想化基盤のハードウェア更改を予定通り完遂させ、基幹システムの運用を維持できており、大前提の目標はクリアできました。そして何より、基幹システムの安定稼働を一段上のレベルに引き上げられたことが一番の効果ですね。しかも、その構成は必要最小限のコストで導入できたのもうれしい限りです」と笑みを浮かべる。

さらに次の2つの要因によって、全体的な底上げが果たされている。1つ目はハードウェアログ機能、プロアクティブファン機能(周囲温度に応じてファンの回転数を自動調整)など、PRIMERGY RX2450 M1が備える高信頼性機能だ。2つ目は24時間対応、2時間以内の現地到着など、充実のサポートメニューである。

処理速度については、業務システムは再構築中のものがいくつかある関係で、実務での大量データの処理性能はこれから検証する予定だ。しかし、開発現場では既に「業務システム再構築担当社内SEの間では、『ソフトウェアのインストールがすぐに終わるなど、以前の仮想化基盤に比べて動作がキビキビしている』などと評判です」(池田氏)といった感触が得られており、大いに期待されている。

仮想サーバのリソースに関しては、想定通りのキャパシティを確保できた。「現時点でリリース済みの業務システムの段階で、仮想サーバの数は約20台です。このあとインボイス制度対応などに伴うシステム追加で、仮想サーバが10台ほど増える見込みですが、それでもまだリソースに余裕があります。安定稼働を維持できるとともに、十分な拡張性も得られました」と池田氏は語る。

同社は今回の富士通とミツイワ社のソリューションおよびサポートを高く評価している。

「ミツイワ社は富士通としっかり連携し、提案から導入、保守まできめ細やかに支援頂き、大変感謝しております。特に保守については、フットワークが軽く小回りもきいています。事務所が近く、何かあればすぐに駆けつけてくれるので安心できます」(工藤氏)

「これまでのサーバ運用実績から、富士通には絶大な信頼を置いています。ミツイワ社も対応が毎回迅速かつ的確で、非常に頼りになります。両社にはこれからも提案や情報提供を積極的に続けていただけると嬉しいですね」(佐瀬氏)

今後の展開

一般顧客向けビジネスの基盤にも期待

今後は仮想化基盤のさらなる可用性向上を図っていく予定だ。

「当社の事業の根幹を担う基幹システムを決して止めることのないよう、これからも可用性向上に努めます。例えば、ランサムウェアは大きなリスクであり、その対策の1つとして、今年度はデータバックアップの強化を検討しています。以降も適切な技術や手法を駆使して、トータルで事業継続性を高めていきます」(佐々木氏)

通研電気工業全体としては、より最適化された仮想化基盤を活かし、事業の幅を広げていく。

「近年は仮想化やクラウド、IoT、センシングといった技術の普及、DX推進などがあいまって、当社は現在、インフラ事業者様だけでなく、一般のお客様向けに新たなビジネスの展開を進めている最中です。その一例が一般顧客向けのスマート保安です」(伊藤氏)

スマート保安とは、IoTやAIなどの新技術を利活用して、電力インフラ保安の品質や生産性を向上する仕組みであり、経済産業省も推進している。このスマート保安を工場など様々な設備を保有する一般顧客にも適用して、ビジネス展開を図る。

スマート保安において、一般顧客の手元にある電気関係の機器類から、センサーなどで情報を収集し、ネットワーク経由で集約して保安サービスを提供するシステムには、サーバが不可欠である。

「スマート保安など一般向けサービス用のサーバにも無論、高い性能と可用性が欠かせません。当社では、電力事業者様向けの組み込みマイコンシステムは自社で開発・製造していますが、サーバは外部調達です。そのサーバとして、性能とコストパフォーマンスにも優れた富士通のPRIMERGYシリーズには今後、ミツイワ社の支援とあわせて、活用できることを大いに期待しています」(伊藤氏)

これからもビジネス展開を加速していく通研電気工業。そのシステム基盤は、富士通とミツイワ社が支えていく。

通研電気工業株式会社
取締役 佐藤 彰雄 氏、常務取締役 大友 清一 氏、常務取締役  新田 真 氏、理事 伊藤 淳 氏

ミツイワ株式会社
サービスエンジニアリング本部 東北支店 営業課
マネージャー 遠藤 裕志 氏、課長 小松 忍 氏

通研電気工業株式会社

所在地宮城県仙台市泉区明通三丁目9番
取締役社長管野 秀幸
設立昭和21年11月19日
従業員数450名(令和5年3月末)
事業内容電子通信機械器具,電気機械器具及び電子応用機器の製造並びに販売、通信設備,電子応用設備,電気設備の設計工事及び保守、その他
URLhttps://www.2ken.co.jp/

[2023年9月掲載]

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