富士通株式会社 社内実践事例

データ統合基盤Palantir(パランティア)を使って、社内DXを加速!
ケース:エンジニアリソースのアサイン業務最適化

富士通は、2020年6月にPalantir Technologies IncおよびPalantir Japan株式会社とパートナーシップ契約を締結し、日本市場におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)分野の強化に向けて戦略的協業を行うことを発表しました。Palantir(以下パランティア)のソフトウェアを一言で説明すると、「様々なシステムに散らばった大規模なデータを統合して組織の課題を解決する、一気通貫型のソフトウェア」です。 このソフトウェアのパワーを富士通が自らエンジニアリソースのアサイン業務に活用し、社内のDXプロジェクトにおいて数億円規模の大きな効果を上げています。

背景

約17,500人にもなるエンジニアリソース(2023年4月時点)から、最適なエンジニアをアサインするために「人材情報」「スキル」「実績」「稼働状況」などのデータを統合的に扱えて、即座に判断できる仕組みが必要だった

課題

プロジェクトマネージャ―は自分の頭の中にある人材データベースを基に、保有するスキルや実績等を勘案し、電話やメールで既知のエンジニアをアサインしていたため、複数部門から成るエンジニア集団では現実的ではなかった

効果

データ統合から蓄積、可視化、アプリケーションまでをオールインワンで作成できるパランティアを導入。既存システムを改修することなく、リクエストに対し翌日には設計を繰り返すアジャイル型で3か月のスピード開発を実現

統合型データ基盤パランティアの導入前後の概念図
複数のデータソース(左端)から、意思決定に必要なデータを収集・統合し、アプリケーション構築の素材となるデータ概念モデル“オントロジー”を生成、業務アプリケーションまで作成
どんな人材がアサインできているのか、いないのかといったトレンドが見えるようになり、戦略的な人材育成といった組織施策に繋げることも可能になってきています。

富士通株式会社 ジャパン・グローバルゲートウェイ グローバルエンゲージメント推進統括部 シニアディレクター 赤羽 匡子

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17,500人

国内 8,000人
GDC 9,500人
計 17,500人
(2023年4月時点)

  • 業種: 製造業
  • 場所: 東京都港区(本社事務所)
  • 従業員数: 124,000人(グローバル)
  • Customer's website

数千人規模のエンジニアリソースを最適配置するには

富士通では、2021年にジャパン・グローバルゲートウェイ(以下、JGG)という組織を立ち上げ、国内約8,000人、グローバル・デリバリー・センター(以下、GDC)のフィリピン、マレーシア、インド、中国拠点も合わせると約17,500人にもなるエンジニアリソース(2023年4月時点)を、部門を超えてひとまとめに抱える「リソースプール」という制度を導入しました。

富士通は、これまでお客様の各業界に合わせた組織ごとにエンジニアを抱えており、各プロジェクトマネージャ―の頭の中にある人材データベースを基に、保有するスキルや実績等を勘案し、自組織内の人材や人脈を駆使して電話やメールを使いながら既知のエンジニアをプロジェクトにアサインしていました。

しかし、JGGは複数の部門から合流した数千人規模のエンジニア集団であり、これまでの脳内人材データベースを基にしたアサインは全く現実的ではありませんでした。富士通全社からJGGへ来る幅広いアサイン依頼に対して、最適なエンジニアをアサインするには「人材情報」「スキル」「実績」「稼働状況」などのデータを統合的に扱えて、即座に判断できる仕組みが必要になっていました。

リソースのデータ統合と同一プラットフォーム上で作成した業務アプリケーションでリソースアサインを実現

2021年7月にリソースアサインメントシステム(以下、RAS)の導入プロジェクトがスタートしました。SEの基本情報/スキル/プロジェクト実績/稼働計画/プロジェクト契約情報など複数のシステムに分散していたデータをプラットフォーム上で統合しました。さらに、同一プラットフォーム上に業務アプリケーションを作成することで、富士通全社からプロジェクトに必要なエンジニアのリクエストを受付け、JGGでは受け取ったリクエストのアサイン期間/スキル/エンジニア稼働計画等の情報を基にマッチングし、エンジニアを割り当てる業務を実現しました。

JGGの特定部門でのトライアルの後、RASは2022年に4月に正式稼働しました。そして、RASの運用開始後5か月を経過した頃から蓄積したデータ可視化の試みを開始しています。エンジニアアサインの対応状況が可視化されることで、JGGの各部門、さらには部門横断で、データを基に、アサイン現場での改善施策の立案や、ハイレベルで組織としての方向性の意思決定が迅速かつ明確に行える状態になりました。

【エンジニアの声】
変化していくニーズやスピード感に耐えられるデータ統合プラットフォーム

パランティアは、データの統合から蓄積、可視化までにとどまらず、その先の業務で使用するアプリケーションまでをオールインワンで作成できるソリューションです。1人のエンジニアが一気通貫して担当できるので、現場のリクエストにもスピーディーかつ柔軟に対応できます。

新しいシステムを作る際、要件が明確に固まっていないことがよくあります。本プロジェクトにおいても、そのような段階から業務部門と毎日の朝会を重ね、出てきたリクエストに対して翌日にはサンプル画面を作り、修正を繰り返していくというアジャイル型で、3か月という短期間で開発しました。スピード感を持って開発を進めることが、ユーザーのニーズを明確にしていくことを本プロジェクトで体感しました。

また、データ統合において既存システムを改修する必要がなく、すぐに開発に着手できることもスピードの要因の一つです。本プロジェクトにおいても、データの蓄積は既存の別システムをそのまま活用しています。パランティアは、変化していくニーズやスピード感に耐えられるプラットフォームとして適切だと実感しています。

複数製品の組み合わせの場合と統合型データ基盤パランティア活用の場合の比較
本来の目的である「データ活用分析」「可視化」、さらにその先の「意思決定」に開発当初から着手

【利用部門の声】
運用での蓄積データからエンジニアの人材育成やグローバルでの標準化を実現

富士通のデリバリー変革を担う組織として新設されたJGGは、設立後すぐに「全社からのプロジェクトアサイン依頼に対しエンジニアを最適に配置する仕組み」を整える必要がありました。これは富士通で初めて導入する仕組みであり、開発者とディスカッションを重ねて出来上がったシステムです。データを熟知した開発者からデータ利用価値を高める提案を受け、業務側で随時判断することを繰り返し、アジャイル的に進めてこられたからこそ、3か月という短期間で特定部署での利用がスタートでき、JGGが7,000人体制となった2022年4月から組織全体でのRAS利用開始に繋げることができました。

また、RASに蓄積した新たなデータからデータ利活用の幅が広がっています。例えば、RASにあるデマンド情報から、どこの領域の人材が必要とされているのか、JGGはどんな人材がアサインできているのか、いないのかといったトレンドが見えるようになり、戦略的な人材育成といった組織施策に繋げることも可能になってきています。エンジニア自身の自立的なキャリア形成を促すための情報公開や仕組みの導入も進めていきます。さらに、GDCでも日本と同じ仕組みでエンジニアアサインの運用も開始されてきており、グローバルでのエンジニアアサインの標準化に向けて動きはじめています。今後もパランティアを活用してデータ利活用の幅を広げ、グローバル全体のエンジニアリソースの可視化を通じて富士通のDXに貢献していきます。

統合型データ基盤パランティアのデモ画面
アサインリクエストの一元管理やAIを活用した人材マッチング、スキル分布やデマンドとの分析が可能に
エンジニアの石田 勉と利用部門の赤羽 匡子の顔写真
左【エンジニア】
富士通株式会社 クロスインダストリーソリューション事業本部 Digital Shifts DI Solution事業部
マネージャー 石田 勉
右【利用部門】
富士通株式会社 ジャパン・グローバルゲートウェイ グローバルエンゲージメント推進統括部
シニアディレクター 赤羽 匡子

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