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小話2

現実はそう甘くはない

技術を開発している人は、朝から晩まで試行錯誤の連続ということが多いと思います。指紋認証技術の開発も、多分に漏れず、一日中パソコンに向かって、あれやこれやと試行錯誤します。つまり自分で考えた画像処理方法や指紋認識方法がうまく働くかどうかを自分の指や他人の指で何回もチャレンジするわけです。自分でアイデアを出して・・・、時間をかけて作って・・・、ドキドキしながら動かして・・・、それが上手く動くようになると、すごく嬉しいものですよね。皆が知っているモノ作りの楽しさです。でも、モノ作りには、必ず"落とし穴"があります。そう、誰もが発する言葉、「こんなはずじゃなかったのに~(涙)」

こんなはずじゃなかったのに~その1

現在の指紋照合技術の開発者は、入社半年で指紋技術の方式担当になりました。(指紋認証装置に新しい方向性を持たせたい&若気の至り)で、新しい方式を一生懸命考えました。それまでと違う画像処理方式を考え、指紋認証方式を考え、そして、自分の10本の指で何度も評価していました。そして、OKの照合性能が得られる方式が出来たと思いました。しかし、彼は落とし穴にはまりました。はまった落とし穴とは、「彼はまだ20代だった・・・」。

彼の指は、

  • 瑞々しく、指先はいつもいい感じに潤っている
  • 指の皮膚に皺(シワ)がない
  • 水仕事なんてしないから、肌が荒れない
  • (若さとは関係ないですが)指紋の判別に利用する指紋特徴点の数が多い

だったのでした。つまり、指紋は理想的な指紋だったのです。出来たといって喜んで他の研究員に色々やってもらうと、予想外の照合結果がどんどん発生しました。そして、彼の自信は脆くも崩れていくのでした・・・(涙)
世の中にはいろんな人(ゆび)が居るんだなぁと身にしみた彼でした。

こんなはずじゃなかったのに~その2

研究室内の評価では合格点の、うまく動く指紋認識方法が出来ました。次は、研究室外の多くの人の指紋画像を使って、指紋認証性能を測る番です。そのためには、社外の多くの人から指紋画像を集めなければなりません。さすがにこれは開発者の手では出来ないので、外部の会社に発注します。委託会社がこちらの支持に従って指紋画像を集めてくれました。
そして、集められた指紋画像を用いて指紋照合の実験をしようとすると・・・
予想外に指紋の映っている領域が狭い!その理由は・・・。
我々の普段の生活では、指先を使うことは多々ありますが、指紋を採ることは減多にありません。指先でボタンを押す場面はあちらこちらで登場しますが、指紋を写すような指の腹を使う置き方をすることは、まずないと思います。
指紋画像を集めるときは、パソコンを使って自動処理で指紋画像の収集を行います。つまり、被験者にパソコンの指示に従って指紋センサーに指を置いてもらい、指紋画像をどんどん蓄えていくのです。この時、被験者には「指紋センサー上に指を置いてください」とアナウンスします。ここで、「指紋を押捺して下さい」と表現すると、良くないイメージを抱かせる可能性があるため、「指を置いてください」と表現しました。そうすると、被験者の皆さんは、素直に指を指紋センサーに置いてくれるのですが・・・、日ごろのように通常ボタンを押す気持ちで指紋センサーに指の先の部分を押し当てるのです!そのため、指先の指紋しかセンサーに入力されないのです・・・(涙)
指紋画像収集前に指の置き方例を示しても、なかなか上手く伝わらないようです。何気なく指を置いても、指紋全体が指紋センサーに接触するような指紋センサーデザインが必要ということでした・・・。

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