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PLANTIA 導入事例 - 地方共同法人 日本下水道事業団様

地方公共団体の下水道設備をコストを最適化しながら保全する アセットマネジメントのためのデータベース。 画期的な新ビジネスのベースに採用された富士通エンジニアリングテクノロジーズ(旧 日揮情報システム)の「PLANTIA」。

地方共同法人 日本下水道事業団様は、地方公共団体に対して、技術援助や下水道計画の策定などに関する援助、委託を受け終末処理場などの建設を行っている組織です。下水道施設は 今や建設の時代から循環型社会を構成する都市基盤施設を着実に管理する時代に入り、同事業団では、いち早く地方公共団体の下水道設備のライフサイクル管理支援に乗り出すことになりました。

1市町村で数十万点の部品データを扱う必要があることからシステムベースでの管理をめざし、複数のパッケージを検討した結果、カスタマイズしやすく、システムの操作性もよく、プラント設備管理のノウハウが凝縮された富士通エンジニアリングテクノロジーズ(旧 日揮情報システム)の設備保全管理システム「PLANTIA」を選択。

主に民需用の「PLANTIA」をベースに、公的機関で使用できるようにカスタマイズを行い、アセットマネジメントデータベース『AMDB』として構築、同事業団が地方公共団体の下水道資産の劣化予測をしながら更新計画を立案する業務を、スマートに行える環境が整いました。

[ 2011年05月01日掲載 ]

地方公共団体の下水道事業を支援する唯一の団体

地方共同法人 日本下水道事業団様 は、下水道事業にかかわる唯一の地方公共団体支援・代行機関です。

日本全国に下水道整備が進められるにしたがって、下水道技術者の不足が顕在化しました。効率的な事業執行のためには組織的な技術者のプール機関の設置 が必要と、技術者の不足する地方公共団体を援助するべく誕生したのが、地方共同法人 日本下水道事業団です。現在は、地方公共団体から、委託を受け終末処理場などの計画・設計・建設を行うと共に、下水道技術者の養成訓練、新技術の開発及び実用化のための試験研究も推進しています。

【導入事例概要】
業種: 官公庁・自治体
【課題と効果】
1 数十万点の部品データをExcelで管理し、時間がかかっていた データを入力が3週間から1日に

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導入の背景

求められたのは下水道施設運営・計画のコストを最適化できるアセットマネジメントに対応できる下水道資産のデータベース

上記のように、同事業団は下水道施設の計画・設計・建設・技術開発及び下水道技術者の養成を中心事業としてきました。しかし、下水道施設の普及にしたがい、 建設の時代から、今や完成された都市基盤施設を着実に管理する時代に入っています。ひとときも機能停止を許されないライフラインを守るため、持続的な機能維持とライフサイクルコスト適正化の両立をめざさなければならないと考え、同事業団は、いち早く下水道設備という資産のライフサイクル支援に乗り出しました。2005年のことです。

まずは、政令指定都市となり下水道資産設備の高度化をめざしていた静岡市と下水道設備のアセットマネジメントの共同研究をスタートさせました。下水道アセットマネジメントとは、現有設備の劣化の程度を“健全度”という数値で把握し、今後の劣化予測をし、下水道予算の最適化を目指していくものです。そのためにはまず所有している設備をすべて洗い出す必要があります。下水道施設はプラントであり、その対象は資産・設備単位で行うため、1つの地方公共団体で数千~数万点に上ります。また、それぞれに数個~10数個の部品があります。

これら非常に多い部品の劣化情報に対し、部品写真などを搭載しながら、劣化状況や経過年数などから検証し、いつごろ故障しそうか、最もコストを抑えて管理するためにはいつ交換するのが最適かといったことなどのデータを基にシミュレーションを行います。当初はこのシミュレーションをすべてExcelで行っていました。つまり、数十万点の部品データをExcelで管理していたのです。これには大変な労力を要しました。地方公共団体の財政が緊縮し予算の最適な投資が求められる中、同事業団としては、今後多くの地方公共団体からアセットマネジメントの検討を依頼される可能性があり、従来のような手作業では受け入れ体制が整わないと判断、システムベースでの管理をめざすことになりました。

導入の経緯

カスタマイズしやすくプラントを熟知している「PLANTIA」と富士通エンジニアリングテクノロジーズ(旧 日揮情報システム)を選択

同事業団ではシステムの導入にあたり、市場にある設備管理関連のパッケージを調査し、約10製品を候補に挙げました。その中でプロポーザル方式により最終的に選ばれたのが、富士通エンジニアリングテクノロジーズ(旧 日揮情報システム)の「PLANTIA」でした。これは、日揮情報システムが25年 以上蓄積してきた、さまざまな保全現場のニーズ・ノウハウを凝縮して完成させたシステムです。「機器台帳」「保全周期管理」「保全計画管理」「保全履歴管理」「修理案件管理」の5つのサブシステムがデータベースを基本に作り上げられており、導入組織特有の業務フ ローに適合させやすい設計となっています。同事業団が評価したのも、まさにその点でした。

地方共同法人 日本下水道事業団 事業統括部 新プロジェクト推進課長代理 川上高男氏は、選定理由を次のように語ります。 「管理の対象が地方公共団体の下水道施設ですから、民間企業の設備管理とは少し考え方が異なります。工事管理の概念も必要ですし、年度管理、複数の耐用年数の因子も考慮する必要があります。 アセットマネジメントのデータベースとして具現化できるように、必要になる機能をイメージしながらシステム選定しました。「PLANTIA」はシンプルな作りで、カスタマイズやシステム拡張をしやすい設計になっており、また画面のレイアウトがこなれていて、どこを操作すればどうなるかが直感で大体わかりました。この操作性が良くないと使用に堪えないのですが、プラントを設備管理の観点から理解して作っているなという感じがしました」

川上氏はこのほか、「PLANTIA」の導入実績及び開発元である富士通エンジニアリングテクノロジーズへの信頼が高かったことも大きな要因だったといいます。親会社が日揮であることから化学プラント建設・保全については豊富な業務ノウハウを有しており、下水道施設とは若干分野が異なるものの、 高いレベルでナレッジ交換できることを期待しました。

システムの概要

「PLANTIA」をベースにアセットマネジメントデータベース『AMDB』を構築

同事業団が「PLANTIA」の導入を開始したのは、2007年のことです。本番環境に適用しながら仕様を固めていくという“本番スパイラル開発”の形を取りました。富士通エンジニアリングテクノロジーズ(旧 日揮情報システム)が実践力あるシステム・インテグレーターだったからこそ、可能な開発スタイルでした。 

静岡市とのアセットマネジメントの共同研究と同時平行で、ある地方公共団体からの機器台帳システムの開発依頼を受け、これを同じシステムベースで開発していったことが、今日、「PLANTIA」を基に作り上げられた同事業団のアセットマネジメントデータベース『AMDB(Asset Management DataBase)』のベースとなっています。

そのような中、2009年に、国土交通省から地方公共団体に対し、下水道施設の設備管理をよりスマートに行うよう求める制度がスタートしました。それが下水道長寿命化支援制度です。地方公共団体は、対象施設、点検調査結果の概要、計画的な改築及び維持管理の 概要、長寿命化対策の実施効果、年度計画などを定めた下水道長寿命化計画を策定し、これに基づく点検・調査、長寿命化対策を含めた計画的な改築については「社会資本整備総合交付金」を受けられるというものです。

これらの背景もあり、下水道資産のアセットマネジメントに対する関心が高まり、同事業団の運営する『AMDB』が脚光を浴びることになりました。  結果として『AMDB』は、同事業団が利用するためだけではなく、地方公共団体がSaaSベースで利用できるモデルも作られました。機器台帳作成自体は同事業団が代行し、地方公共団体は完成した機器台帳をネットワーク経由で利用することができます。

ここで歓迎されたのが、「PLANTIA」がもともと持つデータのExcelダウンロード機能です。この機能を使うことで、システム内の多くのデータは、Excel出力することができるため、地方公共団体が何かの資料を作成するために手元にデータが欲しい場合や、万一何かの事情で『AMDB』の利用を中止する場合にも、すべてExcelでデータを受け取ることができるのです。特定のシステムに囲いこまれることを懸念する地方公共団体にとって、これは魅力ある機能でした。またExcelをシステム・インタフェースとすることで、同事業団にとっても、 “こういう形式でデータが欲しい”といったニーズに即応できるメリットが あります。

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導入の効果

機器台帳作成の作業時間は1/20に。テンプレート機能で業務標準化も支援

導入から4年。地方共同法人 日本下水道事業団 事業統括部新プロジェクト推進課 中川浩二氏は、「PLANTIA」をベースに開発された『AMDB』の利便性を次のように語ります。 「機器台帳を作成するスピードが断然速くなりました。数十万点ものデータを入力する必要があるため、Excelを使っていた当時は、1つの地方公共団体のデータを入力するのに3週間はかかっていました。それが今は1日で終わってしまいます。

また報告書などを作成する際、今まではどうしても属人的になっていたのですが、今は「PLANTIA」のテンプレートを利用できるため、業務の標準化、均質化が進んでいます。人事異動などで職員の代が変わっても同じナレッジを継承できる利点は大きいです」

機器台帳をSaaS形式で利用でき、下水道長寿命化計画策定の大きな助けになる『AMDB』。年間20~30の地方公共団体からの利用依頼があります。また、長寿命化計画策定支援業務や、アセットマネジメント手法導入業務で『AMDB』を利用している分も含めると、今年度支援している地方公共団体は約200に上るそうです。それを同事業団の担当職員20数名の職員で管理することが可能であるのは、中核に「PLANTIA」ベースの『AMDB』があるからです。

将来の展望

今後は、部品故障のシミュレーション精度をより向上させるため『AMDB』に蓄積したデータを解析したり、下水道管路施設を管理する他のマッピングシステムと連携させるといった、異なるシステムとの連携を進めていくとのことです。下水道施設を対象に『AMDB』というアセットマネジメント手法を築き上げ、地方公共団体を力強くバック アップしている日本下水道事業団。富士通エンジニアリングテクノロジーズ(旧 日揮情報システム)の「PLANTIA」は、同事業団の次世代ビジネスをみごと軌道に載せるサポーターの役割を果たしました。

【地方共同法人 日本下水道事業団様 会社概要】
所在地 〒160-0004 東京都新宿区四谷三丁目3番1号 富士・国保連ビル
設立 1972年(昭和47)11月01日
従業員数 従業員数478名

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