南京高精伝動設備製造集団有限公司(NGC)様

ギアボックスの高効率で正確な全数検査をAIで実現

上海儀電智能科技有限公司(IIT)と富士通研究開発中心有限公司(FRDC)が共同で開発したAIスマート診断ソリューションを利用することで、品質検査プロセスの変革を実現できました。

南京高精伝動設備製造集団有限公司(NGC)
検査計量部門責任者
陳超 氏

背景

ギアボックスの品質検査モデルの変革を模索

南京高精伝導設備製造集団(NGC)は、世界中の主な風力発電機メーカーに対し一流の製品とサービスを提供し、それによって世界中の数百万世帯が、安定的にクリーンエネルギーを利用できるようになっています。不良品が市場に流出してしまう事態を回避するために、NGCには、生産量に影響を与えずに、ギアボックスを出荷前に品質検査することが求められています。

検査部門責任者である陳超氏は「我々は毎日、数百台のギアボックスを出荷し、各検査員は手動により故障があるかを判断します。非常に経験豊かな検査員であっても、検査を終わらせるには約1時間必要です。一方で、生産の進捗に合わせるためには、5分以内に検査を終わらせなければいけないので、業界で一般的なサンプリング検査で対応してきました」と語ります。

手動によるサンプリング検査には幾つかの欠点があります。まず、効率性が低く、誤った検査結果を出すこともあり、検査されずに欠陥品を出荷してしまう事は避けられません。次に、検査員の技術と経験への依存度が高くなります。第三に、欠陥と故障が引き起こされた原因について追跡できず、次の生産に移る際に、改善することができません。

「先に挙げた課題を解決するために、AIをはじめとしたデジタル技術を利用して、高効率でスマートな全数検査を実現しようと決めました」と陳超氏は話します。「あらゆる面を総合的に評価した結果、上海儀電智能科技有限公司(以下、IIT(*1)と富士通研究開発中心有限公司(以下、FRDC)の技術力が我々に特に強いインパクトを与えました。スマート製造分野における豊富な経験とAI分野における研究力が、我々が目指す目標を達成できると感じたのです」。

経緯

AIをベースにしたスマート診断ソリューションを共創

NGCの生産状況と課題を分析した上で、IITとFRDCは共同で、「物理検査とAI検査のハイブリッドモデル(*2)」をベースにしたスマート診断ソリューションを開発しました。FRDCはAI関連のアルゴリズム、および時間/周波数領域の学習モデルについて開発と最適化を実施し、またIITはそれらの技術を基にしたお客様に対する全体ソリューションの開発とサービスを提供しました。

IIT戦略部マネージャーを務める秦健氏によれば、当該システムはギアボックスに設置した振動センサーを利用して多次元の振動データを収集し、保存、同期、統合します。そのデータを元にハイブリッドモデルによって様々な周波数範囲におけるリアルタイム分析を行い、製品の欠陥と故障を迅速に判断します。

「物理検査とAI検査のハイブリッドモデル」について、FRDC情報技術研究部部長の孫俊博士はこう語ります。「現在主流であるAI技術においては、深層学習モデルを使用し、製品にある故障の有無を判断することになりますが、AIがどのように判断したかを説明できません。深層学習モデルと物理モデルを融合することによって、製品の合否を判断できるほか、故障が発生した周波数範囲が特定でき、故障の原因を判断することも可能です。そのため、お客様がAIの判断を完全に信頼し、迅速に次の一歩を踏み出すことができます」。

効果と今後の展望

AIをより広範な領域に活用

PoCでギアボックスの検査時間は従来の1時間から2分間に短縮され、検査効率は30倍向上しました。さらに欠陥と故障の検出率も99%以上を達成できました。また、AIは故障した周波数範囲を特定できるとともに、故障発生の原因を判断します。これによって、製造プロセスの中で故障を引き起こした生産工程を追跡し、より一層の改善と最適化を実施するための基盤が整いました。

今後、品質検査用のAIナレッジグラフ(*3)を作ることを計画しています。これにより、設計者が故障発生の要因となるような生産工程を作ることを事前に回避できるようになるほか、品質検査員の技術と経験の伝承が可能となります。「これを利用すれば、デジタル化した業界のナレッジバンクを作ることができ、新製品を出した時にも、従来の品質検査の経験を迅速にコピーすることができます」と秦健氏は語ります。

陳超氏はまた「今回の連携によって、品質検査モデルの変革とグレードアップを実現しました。NGCは引き続き、イノベーションの道を模索していき、サステナブルなより良い未来の創出に貢献していきます」と決意を新たにしました。


(*1)上海儀電智能科技有限公司は富士通(中国)信息系統有限公司と上海儀電(集団)有限公司が2018年に設立した合弁会社です。

(*2)「物理-AIハイブリッドモデル」では、AIモデルをもとにした精度の高い分類判定を行うと共に、その判定結果を物理モデルを利用して検証ができます。そのベースとなるのは富士通独自のAI技術です。

(*3)ナレッジグラフでは、AIが処理できる形式でナレッジバンクを構築し、ナレッジ間の関係を可視化させます。AIが将来、企業や社会で利用されるためには、さまざまな分野で信頼できるデジタルナレッジベースを構築することが重要です。

南京高精伝動設備製造集団有限公司(NGC)

所在地中国
業種製造業
設立1969年
従業員数6,000人
Webサイトhttp://www.ngctransmission.com/en/home.htmlOpen a new window

[2020年掲載]

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