マッコーリー大学様

動脈瘤解析の課題に挑むAI

「共同プロジェクトでありながら、富士通は大きな成果があがるよう通常以上の力を発揮してくれました。その恩恵にあずかるのはわたしたちパートナーだけでなく、患者も同様です」。

マッコーリー大学
学術研究パートナーシップ
ブレントン・ハムドルフ教授

背景

医療の画像解析を変える

3年前、ブレントン・ハムドルフ教授は、マッコーリー大学着任早々、近隣にある富士通を訪ね、産学連携の可能性について打診しました。教授は大学にいる放射線科医たちとも会話を重ね、共同プロジェクトとして脳動脈瘤検知が最も有望だということを突き止めました。

世界人口の3.2%が罹患し、死亡例が毎年50万人にも上る脳動脈瘤。診断を担当する放射線科医は患者あたり512枚にものぼるCTスキャン画像から1ミリほどの病変を見つけなければなりません。その作業は最大15分を要し、画像の見誤りも最大16%ほど発生しています。ブレントン・ハムドルフと富士通は、本件へのAI活用が理想的と判断し、さらにCTスキャナーメーカーの協力を仰ぐことにしました。白羽の矢が立てられたのはRevolution CTスキャナーを製造するGEヘルケアです。

「AIを医療にどれだけ活かせるかということを探りたかったのです。実際的なニーズもメリットもあるので、脳動脈瘤はまさにぴったりでした。病変を正確に検知できなければ患者にとっても家族にとっても一大事です」とハムドルフは話します。「富士通のAI技術とGEのCTスキャナー、そしてわたしたちの大学の学術研究と医療ノウハウを総動員すれば解析のスピードと精度を上げることができるのではないかと考えたのです」。

経緯

包括的なAI診断

同大には産学協同でビジネス課題に取り組む共創の場、富士通デジタル・トランスフォーメーション・センターが立ち上がっていました。そうした環境のなかハムドルフはさっそく富士通本社のAIスペシャリスト、現地のプロジェクト・マネージャー、そして同大の放射線科医、神経外科医、生体力学エンジニアからなるプロジェクトチームを編成しました。

まず、匿名患者のスキャンの画像や特徴のアノテーションが行われ、そのデータをもとに富士通のAI担当がアルゴリズムの開発と動脈瘤検出のトレーニングにあたります。

「富士通の優れたプロジェクト管理のおかげで、すべてのスタッフが正しい方向でうまく仕事を進めています」とハムドルフは話します。「互いに力を合わせることで、動脈瘤の検知、破裂リスク、時系列マッピングといった3つの重要要素を網羅するソリューションを作ることができるのではないでしょうか」。

効果と今後の展望

より早く、正確な解析

AIによるこの新たな診断技術により、現在15分ほどかかっている画像診断を劇的に短縮できるかもしれません。また大きなコスト削減やいままで見落とされていた動脈瘤の検知に貢献することが期待されています。診断をスピードアップできれば医師はその分貴重な時間を患者の診療に割くことができるようになるでしょう。

AI技術と3D構造分析データを併用することで、神経外科医が外科手術を計画する際の判断精度に貢献することも期待されています。

「富士通は、共同研究センター・プロジェクト・プログラムの一環である連邦政府援助資金の管理を含めプロジェクト全体をうまく取り仕切ってくれています。基本となるAI技術も提供してくれました」とハムドルフは話します。「共同プロジェクトでありながら、富士通は大きな成果があがるよう通常以上の力を発揮してくれています。その恩恵にあずかるのはわたしたちパートナーだけでなく、患者も同様です」。

マッコーリー大学

業種教育
オーストラリア
従業員数4,000名
Webサイトhttps://www.mq.edu.au/Open a new window

[2021年掲載]

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