英国環境庁様

洪水警報システムのモダナイゼーションで、柔軟性強化と機能追加を実現

グループ配信や汎用テンプレートなど、洪水警報迅速化の最新機能を富士通が追加してくれたおかげで、以前は半日もかかっていた警報作成が20分で済むようになりました

英国環境庁
洪水警報システム プロダクトマネージャー
サイモン・ネベスヌイック

背景

洪水警報をモダナイズ

これまでに経験のない災害が頻発するようになった今日、災害の危険を知らせるための基盤整備は各国政府の責務ともいえます。英国政府は2006年に、最初の洪水警報システムを構築しましたが、システムが時代遅れなものとなってきました。

「私たちは、サービスを改善したいと考えていました。更に、クラウド化により、コストを削減し、柔軟性やポータビリティを高め、かつ強靭なものにしていきたいと考えていました」と話すのは、同国環境庁でシステムのプロダクトマネージャーを務めるサイモン・ネベスヌイック。「そのほかにもファックスなど、ほとんど使われない旧機能をなくして、シンプルにしたかったのです。」

システムの連携強化も目的のひとつでした。洪水警報のプラットフォームとして、JBAとシュートヒルが開発した二つの独立したシステムが稼働していたのです。また、システム更新も、年一回のリリースから、よりアジャイルなモデルへの変革を考えていました。これらを要件に入札を実施し、選考の結果、候補企業が3社残りました。

「富士通が、一番手でした。現行システム設計とサポート実績に加え、求める機能をすべて備えたプラットフォームを構築する実力を備えていました」とネベスヌイックは話します。「また、二つのシステムを統合できることを示してくれたのです。」

経緯

アジャイル手法で共同開発

サービス開発には、共創アプローチが採用されました。DevOpsの原則に沿って、開発フェーズ毎にプランニングとテストを実施しました。同庁と富士通は互いに連携し、課題が出ればその場で解決し、開発も数ヶ月で完了しました。

「現行システムを稼働させつつ、テストを行い、移行日に新システムに全データをコピーしました」とネベスヌイックは説明します。「開発では、ウォーターフォールをやめてアジャイル方式を採用しました。そうすることで常に改善を続けていくことができます。」

新システムでは、複数の選択肢から適切なチャネルを設定し、警報をすばやく配信することができます。すみやかに警報を流すことで、市民や関係者に災害に対応する時間を与えることができるようになります。

「富士通は、メッセージ配信を迅速化するためのグループ設定や汎用テンプレートといった新機能を提供してくれました」とネベスヌイックは語ります。「半日ほどかかっていた警報作成が20分で完了するようになりました。」

洪水警報サービスの登録施設数は150万以上、電話番号が290万、メールアドレスが18万、SNS配信登録が150万となっています。2017年4月のサービス開始以来、すでに700万件以上のメッセージを市民に配信しています。

効果と今後の展望

多彩な配信で迅速に命を守る

富士通が構築したシステムによって、英国環境庁は、市民により迅速に警報を伝えるだけでなく、高リスクのグループに最も有効な通報チャネルを自動的に選択し、通報することができます。

さらに富士通は、同庁が政府のさまざまな施策と連携強化するための取り組みも支援しています。同庁は、将来戦略の立案と政府のデジタル戦略との協調をはかるため、富士通のデジタル・トランスフォーメーション・センターの共創プログラムを活用しました。

「同センターに、システム利用者、管理者、政策担当者が集まり、ロードマップとサービスビジョンの策定を行いました」とネベスヌイックは話します。「ワークショップを通して、より広い視点から環境庁の取り組みを評価することで、政府のデジタルサービス基準に沿った計画立案ができるようになりました。」

また、システム未登録の施設に警報を伝えるためのモバイルオペレーターとの連携においても、富士通は大きな役割を果たしています。富士通の協力によって、洪水警報システムの通報先を増やし、サービスの価値を高めることができました。「富士通の報告を通じて、システムの透明性と信頼性が保たれ、稼働率は99.999%です」とネベスヌイックは明かします。「密に連携することで、問題があれば即解決し、成果を生み出すことができるのです。」

英国環境庁

イギリス
業種公共
設立1996年
Webサイトhttps://www.gov.uk/government/organisations/environment-agencyOpen a new window

[2020年掲載]

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