伊藤忠エネクス 株式会社 様
大規模基幹システムをハイブリッドクラウドで構築。
ビジネス変化に対応するシステムの柔軟性とコスト削減を実現
伊藤忠エネクスは、ハードウェアの保守切れによるシステム更改に伴い、基幹システムをクラウドへ移行。運用コスト削減と共に、将来的なビジネス変化にも柔軟に対応できるシステムを目指し、富士通の「FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-O(以下、FJcloud-O)」とUNIX サーバ「SPARC M10(以下、M10)」のホスティング利用によるハイブリッド構成を採用。本構成により従来システムの信頼性は確保しつつ、柔軟な拡張性と共に大幅なコストダウンを実現した。
- 課題ハードウェア保守切れによるシステム更改を回避したい
- 効果クラウドの導入で保守切れの影響を受けず継続利用が可能
- 課題システムのインフラコストを削減したい
- 効果ハイブリッドクラウドの構築によりコストを 30%削減
- 課題ビジネス変化に応じて柔軟にシステム最適化を図りたい
- 効果クラウド移行により柔軟なシステム拡張 / 縮小が可能
背景
変化する事業体制に柔軟に対応できる
基幹システムのクラウド化を検討
伊藤忠エネクスは 1961 年の創業以来、「社会とくらしのパートナー」を掲げるエネルギー商社として、石油製品、LP ガスを中心とした生活に欠かせないエネルギーを全国各地に提供し続けている。
「近年は、エネルギーを取り巻く環境も大きく変化しています」と話すのは、伊藤忠エネクス IT企画部課長 浪江洋一氏。身近なところではエコカーの普及や電力の自由化など、ニーズの変化。また全体を見ても、原油の輸入から販売までを一貫して手がける“元売り”会社の再編など、エネルギー業界の構造も大きく変化している。
「そうした中で継続的に成長するためには、M&A による積極的な事業展開や大胆な組織改革が必要です」と浪江氏は話す。
積極的な事業展開を目指すときに、変化する事業体制に柔軟に対応できるプラットフォームは必須。ちょうど基幹システム更改の時期でもあり、「時代に見合ったシステムにしたいと常々考えていました。クラウドはすでに私達の生活を取り巻く様々なサービスで活用されていますが、富士通さんから“基幹システムのクラウド化”の提案を受け、さらに安定性やコスト面での評価を聞いて実効性が見えたことで、導入を検討することになりました」(浪江氏)
基幹システムの更改については、いくつか課題があった。「ひとつは、ハードウェアの保守切れによるシステム更改の縛りから開放されたかったこと」と話すのは IT 企画部 木下智也氏。システム更改には、新たに導入したい機器の選定や計画・実施までにある程度の時間と工数が必要で、新たなハードウェアの購入費やシステムの移行費など、お客様のコスト負担も大きい。今後も定期的に更改を繰り返すのではなく、継続的な運用を目指した。
「他にも、システム運用におけるコスト削減や、信頼性を確保しつつ最新の技術を活用していきたいという課題がありました」(木下氏)
経緯
大規模基幹システムのクラウド化に向け、
課題をすべて解決できるシステム構成を立案
伊藤忠エネクスの基幹システムは、長年、富士通が担当してきた。
「富士通さんには優秀な SE が数多くいますから、困ったときにでも素早く的確に対応してくれます。また、様々な専門分野があり、どんな問題でも専門的な知識・経験・技術で応えてくれますから、パートナーとして信頼しています」と浪江氏。
それでも新システム導入までには十分な打ち合わせの時間を要した。エネルギー商社の大規模な基幹システムの入れ替えであり、かつ機密性の高い膨大なデータを取り扱うことから、システム全体の構成や FJcloud-O の機能面、運用面における疑問は徹底的に洗い出し、最善の解決案を検討した。
最終的に、コストメリットを含めて課題をすべて解決できるシステムが立案できたことで、導入に踏み切った。「課題をすべて解決できる道筋が立ったことも大きいですが、自社基幹システムのノウハウがある富士通さんから、一気通貫のサポートを受けられることも決め手のひとつでした」と話すのは IT 企画部 川村友人氏。
ポイント
サーバの特性を最大限に活かす
クラウドとホスティングのハイブリッド構成
クラウドサービスによる稼働率やリソース共有の状況を踏まえて、Web/AP サーバを FJcloud-O に、DB サーバは M10 でホスティング利用するハイブリッド構成にし、すべてが同じデータセンター内に置かれている。「どの機能をクラウドに載せ、どの機能を載せないかといったすみ分けには、半年ほど時間を割きました」と話す浪江氏。システムの効率化や安定性を確かめ、メリットとリスクを検討するため、様々なパターンを幾度となくシミュレートした。「Web/AP サーバをクラウド化すると決めたのは、コストメリットも出て、将来的な拡張性も高く、突発的なアクセス集中などに対する柔軟な対応が可能だと提案してもらったからです」と木下氏。
拡張性という点で言えば、ビジネスの拡大によって仮想サーバの拡張をしなくてはならないというシチュエーションも想定される。また逆に、システムとして使わなくなったから縮小したいというシチュエーションも考えられる。こうした場合に、自動で拡張・縮小化を図りやすいクラウドは使い勝手がいい。
一方、可用性が求められる EDI サーバや処理性能が重視される DB サーバは、取引先への影響を踏まえてホスティング環境で構築することになり、クラウドとホスティングによる最善のシステムが組み上げられた。
効果と今後の展望
サーバ数を従来の約 3/4 に集約
月額インフラコスト 30%削減を達成
プロジェクトは 2016 年の 2 月にスタートし、新システムは 2017 年の 7 月から稼働している。現在の稼働状況について、「初めてのクラウド化なので、不具合などを心配していたのですが、安定稼働をしています。クラウドとオンプレミスでの性能の差も感じていません」と木下氏は話す。
FJcloud-O と M10 のハイブリッドシステムを構築したことで、FJcloud-O のクラウド部分は従来のように、ハードウェアの保守切れによるシステム更改はなくなった。
また、サーバ数を従来の約 3/4 に集約するなど、ダウンサイジングを含めたシステムの最適化が図られたことで、月額のインフラコストを30%削減できた。
「サーバの台数を減らせたことに加え、FJcloud-O の利用料金がリーズナブルで、コストパフォーマンスが最大化されました。これが大幅なコストダウンにつながったのだと思います」(木下氏)
さらに、FJcloud-O と M10 のサーバを同じデータセンターに置くことでセキュアな構内回線を利用でき、データセンターへのアクセスも「FUJITSU Network IPCOM (アイピーコム:以下、IPCOM)」と AZ(アベイラビリティゾーン)構成によって、従来通りシステムの可用性と信頼性を確保した。
「大きなプロジェクトでしたから、提案をいただいてもすんなりと受け入れられない場合もありました」と話す木下氏。「ただ、そうした場合でもこちらの意見を真摯に受け止め、次の打合わせでは改善点を含んだ提案を複数パターン持ってきてくれました。メリット・デメリット含め、丁寧に説明してくれたので大変助かりました」(木下氏)。
今後について、「クラウドの活用範囲を慎重に拡大させて、さらなるコストの削減と安心・安全な運用を目指していきたいですね」と話す浪江氏。
石油資源の枯渇問題、ライフスタイルの多様化など、大きな変革の時代を迎えたエネルギー業界において、事業領域の拡大、新たなビジネスパートナーとの提携など、今後も様々な変化に対応しながら躍進を目指す伊藤忠エネクス。「クラウドが担う役割が、今後はもっと大きくなると思われます。その中で富士通さんには、これまで通り我々のビジネスをサポートしてくれる素晴らしいシステムを開発し続けてくれることを望んでいます」と浪江氏は語る。
伊藤忠エネクス株式会社 様
本社所在地 | 東京都港区虎ノ門 2 丁目 10番 1号 |
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設立 | 1961年1月28日 |
資本金 | 198億7,767万円 |
代表取締役社長 | 岡田 賢二 |
従業員数 | 650名 |
ホームページ | http://www.itcenex.com/ |
事業概要 | 「社会とくらしのパートナー」として全国各地の地域に根ざし、石油製品・LPガスを中心とした生活に欠かせないエネルギーを提供。 社会インフラとしてのエネルギーはもちろんのこと、皆様のくらしを豊かにし、心を育むエネルギーをお届けすることを大切な理念とし、変化する時代のニーズに応え、一人ひとりのお客様が必要とされるエネルギーを提供し続けている。
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[2017年12月掲載]
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