「伝える」技術

どこにいても自動で高速通信

使っている端末(PCやスマホ)に富士通が開発したソフトウェア(アプリ)を入れるだけで、移動中でも海外からでもユーザが意識することなく、自動的に通信を高速化してくれる技術です。

あるある!こんな経験(ネットワークの反応が遅くなった経験)

インターネットを使っていた時に感じたイライラの「あるある」を選出してみました。みなさんも同じような経験ありませんか?

スマホやタブレットなどでネットワークに接続していた時(無線通信)

たとえば、自宅ではインターネットに接続してタブレットをパパッと使っていたのに、外に持ち出して使ったら、画面の反応が急に遅くなり、イライラしてしまった。この時、自宅のPCは無線LANでWi-Fi(注1)に接続しています。外ではタブレットが携帯・スマホ用回線のLTE(注2)や公衆Wi-Fiサービスを選択しています。

*注1 Wi-Fi(Wireless Fidelity)は、電波を使ってデータをやり取りする無線LANの規格のひとつです。
*注2 LTE(Long Term Evolution)は、携帯電話の通信規格のひとつです。

写真などの大きなファイルを友達に送った時(大量のデータ転送)

写真や動画など、情報量が多いファイルを友達に転送した時、なかなか転送が終わらなかった。

海外旅行中に日本にいる家族にメールを送信した時(グローバル回線)

東南アジアに旅行中に、日本にいる家族とのメール送受信に時間がかかり、大事な会話が成り立たなかった。

多くのネットワークは、自宅やオフィスなら安定して使えます。しかし、屋外に移動 した時や海外から繋ぐ際のように通信環境が変わると、反応が遅くなったりします。それはなぜでしょうか?
次の項目で説明します。

どうしてインターネットを通した通信が遅くなったり速くなったりするの?

通信速度はどうやって決まるの?

ネットワークは世界中、クモの巣のように張り巡らされています。インターネットでは、ネットワークを他の人や機械と共有しています。そのため、利用者の混み具合い、受信側までの距離、パソコンの処理速度、中継器の性能など、色々な要素によって速度が変わります。

  • 通信速度は、回線の混雑具合や通信先までの距離中継器の性能など、色々な要素によって変わるよ!

  • 通信回線はクモの巣のようにはりめぐらされているよね。URLのhttp://www.fujitsu~wwwworld wide web の略で、最後のwebは「くもの巣」の意味なんだよね!

遅くなったり、速くなったりする理由1:ネットワーク

ネットワークにはLAN(ラン)とWAN(ワン)があります。インターネットを利用する際、初めにLAN(建物内のネットワーク)に接続します。そのLANは、世界中のWANに繋がっています。WANは世界中の人が共有しています。そのため、複数の人が同じネットワークを一度に使えば混雑します。また、ユーザが電波で通信する(無線)場合や通信距離が長い場合など、データの一部が消えたり壊れやすくなります。これらの利用状況は常に変わるので、通信速度が遅くなったり、速くなったりします。

  • インターネットを利用する際、私たちは意識せずに2種類のネットワークを使っているんだね(LANとWAN)。
    WANは、世界中の人と共有するからネットワークが混雑したり、無線や遠距離の場合にはデータが無くなったり、壊れたりすることも多くなるから、通信が遅くなったりするんだね。

遅くなったり、速くなったりする理由2:通信方式

ネットワークに流せるデータは、「1」と「0」の数字の組み合わせです。そこにどんな意味を持たせるのか、その約束を「通信規約」と言います。通信規約には色々な方式があり、送信側と受信側で同じ方式を使います。代表的な通信方式に「TCP(ティーシーピー)方式」があります。この方式はネットワークに接続しているコンピュータを「IPアドレス」という番号で識別し、データを送信側から受信側に届けます。そして通信途中にある中継器の全てが「TCP」という同じ約束事に従って動いているからこそ、やりとりが可能になります。

代表的な通信方式:TCP方式

データをパケットに分けて順番に送ります。届くはずのパケットが届かない時には、 パケットを再送してもらう必要があります。パケットの順番がきちんと並ぶように 送達確認と再送を常に考慮しているのがTCP方式です。

パケットが届かないというのはどういうこと?

通信途中でパケットを無くしたり、壊れたりするとパケットは届きません。それを「パケットロス」といいます。TCP方式はパケットが順番に全て届いていないと受信完了にならないので、パケットロスがあると再送が必要になり、その数が多いほど相手に届くのが遅くなります。また、通信距離が長いと、再送の送受信の時間がかかるので遅くなります。つまりTCP方式は、通信距離やパケットを無くしやすいかどうか等で、通信速度が遅くなったり、速くなったりします。特に通信距離が長い場合、パケットロスの確率も高くなりますので、受信側は「遅いな」と感じることが多くなります。

それでは受信側が「遅いな」と感じないようになるにはどうしたら良いでしょうか。送信速度を重視した通信方式を富士通で開発しました。次の項目で説明します。

富士通が提案する通信方式

TCP方式では、常に送達確認をして「確実に」相手に送ることが重視されています。これに対し、「スピード」重視のUDP(ユーディーピー)と呼ばれる方式は、送達確認を常に行いません。その結果、相手に速く送れます。しかし信頼性には欠けます。このUDP方式をベースに、信頼性を強化した富士通オリジナルの通信方式を2種類ご紹介します。(UDPはUser Datagram Protocolの略です)

送信速度が速い方式

UNAP(ユーナップ)高速再送方式

パケットに連番を付けて送信します。受信側では、番号が抜けた場合、送信側に「連番の中のどこまで受信できたか」を明記した再送依頼を送ります。TCPの場合は、抜けたパケットが受信側に届くまで何度も再送を依頼します。UNAPの場合は、再送要求の中に含まれる「連番中のどこまではちゃんと届いているか」 という情報を送信側が確認し、単なる受信の遅れか、パケットロスかを判断します。そして、パケットロスの場合のみ再送します。

RPS(アール・ピー・エス)誤り訂正方式

送信する際に、送りたいデータとは別に予備データを追加して送信します。受信側は、いくつかのパケットが失われていることに気付いた場合、予備データ から失われたデータを復元します。これにより、受信側が発信元に再送依頼する頻度が低くなります。結果としてデータが速く届きます。

富士通提案の通信方式が速いもう一つの理由

TCP方式では、混雑によってパケットが消えてしまわないように余裕を持った速度制御を行なっているため、ネットワークの通信幅(帯域)を使い切れていないことがあります。富士通提案方式では、利用可能なネットワークの通信幅を常に見積っているため、混雑しないギリギリまで使い切ることができます。

最適な通信方式を自動的に選択する技術

常に代表的なTCP方式を常に使うのではなく、ネットワークの状況や送受信したいデータの性質などに応じて通信方式を切り 換えると、ネットワークを更に快適に使えるようになります。それでは、どのように切り替えをしているか説明しましょう。

通信方式を選ぶ方法

通信方式を選ぶための要素には、「通信距離」や「使用している機器が有線か無線か」などがあります。これらの要素を使った富士通独自のシミュレーションによって、最適な通信方式を選ぶ技術を開発しました。(ここでは代表的な例を説明しています)

(要素1):送信側から受信側までの通信距離(近距離か遠距離か)

送信側と受信側の距離は一定ではありません。通信経路上の中継器にトラブ ルがあったり、混雑しているケーブルがあったりするとパケットはそれを迂回 して運ばれます。そのため実際にデータが往復される距離は常に変化しています。通信の世界では、距離の「近い」「遠い」を往復転送遅延時間を測ることで知ることができます。つまり、遅延時間が小さい場合は、通信距離が「短い」ことなので、確実に相手に送ることを重視した「TCP方式」が有効です。遅延時間が大きい場合は、通信距離が「長い」ことなので、スピード重視の「UNAP方式」または「RPS方式」が有効です。

(要素2):使用している機器が有線か無線か

有線か無線かの違いは、パケットロス率に影響します。例えば有線機器を使用している場合は、パケットロス率が低いので最小限の送達確認で送れる「UNAP方式」が有効です。また、無線機器を使用している場合、電波の状況によってはパケットを無くしたり、 壊してしまうことが多くなります。この場合は無くしたデータを受信側で再生できる「RPS方式」が有効です。

富士通製品

講座で紹介しました富士通独自の 「送信速度が速い方式(RPSやUNAP)」や、ネットワークの環境によって常に 「最適な通信方式を選ぶ技術」は、富士通のデータ収集・統合ソフトウェア「Interstage Information Integrator(インターステージ インフォメーション インテグレーター)」の中に組み込まれています。
このソフトウェアは、ネットワーク環境を最大限に活用し、オフィス・拠点間のスピーディーな情報利活用に求められる、大量の最新データの転送を高速に処理することができます。

例え話(配送センター)

3つの通信方法を配送方法の違いで説明しましょう

忙しい配送センターがあります。ここでは、オペレータが各配送先にどの方法で送るのが最適か判断して、指示をだしています。例えば、配送先が近いか遠いか、送る荷物がどんなものか(壊れやすいかどうか)で判断しています。

実際の配送でも、配送先が近い・遠い、荷物が軽い・重い・壊れやすい、また通る道が広い・狭いなどで、配達員は徒歩・自転車・リヤカー・軽自動車・ボックス車など配送方法を使い分けていますね。

ネットワークでも送りたいデータの内容や送受信のタイミング、更にその時々の通信環境に応じて 通信方式を使い分けることにより、全体として通信を更に効率的にしたり、ユーザーが感じる「遅いな」感を抑制することができます。

小話

動画撮影のウラ側

今回の講座内容は旬な研究テーマだけに広報関係者にひっぱりだこです。 その中でテレビにも出演したこともありました。
ある日、富士通からお客様へ発信しているWEBで技術の紹介とともに、動画も掲載したいので撮影させてほしいと研究者に依頼がありました。もちろんOKの返事をしました。事前に、撮影の際には「ブレザー着用」「メイクあり」という連絡がありました。そこで、担当研究員は「きれいな」ブレザーを持っていなかったので、前日にこげ茶色のブレザーを急きょ購入しました。(研究員の普段着は、実験しやすい服を着ている人が多いです。今回も普段着ている服と色合いを合わせたブレザーを購入)
また、生まれて初めてのメイクも覚悟を決めて出番を待ちました。しかし、自然な方がいいと言われ「メイク無し」となり、ちょっと拍子抜けした感じでした(普段の生活で、プロの方にメイクされることは無いですよね。ちょっと残念だったかも・・・by筆者)
また、色々なシーンを撮影しました。打ち合わせをしているところや議論しながら階段をおりてくる ところなど…。しかし、実際はWEBに掲載される動画の制限時間の関係で、インタビューを受けている場面のみが採用されました。ちょっとガッカリしましたが、これからも良い結果をだしてインタビューをされるように、がんばろうと思った研究員でした。(きっとまたブレザーの出番がありそうですね・・・by筆者)

おまけ小話(変なところで新記録達成)

やさしい技術講座の原稿を書く際には、ファイルの版数が自動的に管理されるデータベース形式のソフトウェアを使っています。普段、あまりファイルの書き換え回数を気にすることはないのですが、ふとした拍子に回数をみてビックリ!今までのどんな講座より、ぶっちぎりのトップ記録を更新中だったのです(他の講座ではたいてい100回前後の書き換えで完成するところが、この講座はすでに250回をオーバー)。しかもいまだに道半ば!
確かに筆者が理解するには難しい技術なので、なんども書き換えました。その上、頭の中が整理できていない時に書いた文章は、ダラダラと長くなってしまいました。そこを他のスタッフから「文章が多すぎて読む気がしない!」の一言で目が覚め、文章をすっきりさせるようにした結果、書き換え回数をさらに更新することになりました。
筆者としては生みの苦しみが大きいほど愛着のある講座になるのですが、みなさんにとっては今回の講座はいかがでしたか?


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