AIを駆使したアスリートの三次元センシング技術が、映像情報メディア学会で技術振興賞を受賞

2021年7月20日

図 1　授与された賞状と受賞盾

技をセンシングするAI技術と大会での実績が受賞のポイントだった！

体操は採点競技です。近年、演技の進歩に伴い、高速な動きやひねりの回数など、目視では正確な採点が難しくなってきています。そこで、目視による判定に加え、選手の動作や姿勢を３次元で計測し、数値データとして分析することで、より正確な採点を支援する技術を開発しました。

従来のモーションキャプチャーのように選手に多数のマーカーを装着する必要はありません。非接触かつリアルタイムに選手の動作や姿勢を計測できます。さらに、取得した３次元データから選手の骨格を推定し、競技の判定に必要な数値データを導き出す技術を開発し、審判の採点支援を実現しました。

今回の受賞は、映像メディアに関する研究開発として、最先端レーザーセンサー技術や骨格・体形を高精度に推定し、技を認識できるAI技術による画期的な三次元センシング技術が、数多くの国内外の大会で評価および活用され、実績を積むことに成功したことなどが評価されました。

図 2　体操採点支援における三次元センシング技術の構成

受賞者コメント

（受賞者は全て、富士通研究所 Gプロジェクト所属　五十音順）

・相原 慎吾 研究員

この技術は、審判が採点のために使用し、選手のスコアを左右する可能性があるため、骨格位置の精度については妥協を許しませんでした。本当に精度が重要になる技では、審判がどこに着目するかなどを、データを１コマ１コマ停止させながら、体操競技の有識者や他の研究員と何度も協議を重ねました。このような地道な取り組みが、今回の受賞というかたちで認められたことは、とてもうれしいです。今後は、この受賞を励みにさらなる技術開発を進め、新たなサービス展開や品質向上に努めていきます。

・佐藤 卓也 研究員

研究開発部門賞として技術を評価していただけたことを、研究開発に携わるものとして大変うれしく思います。この受賞を励みに、自動採点やトレーニングへの活用など体操界の発展に寄与するとともに、さらには他の競技やスポーツ以外にも適用先を広げて、人々の健康や暮らしの発展につなげていきたいと思います。例えばこうすればケガしにくくなるなど、人にとって価値のある情報を提示し、行動を促せるようなウェルビーイング技術を開発していきたいです。

・鈴木 達也 研究員

私が取り組んでいる課題は、体操選手の多様な姿勢・動きに対して高精度に追従する骨格認識の技術開発です。たとえば、一般的な人間の生活行動をはるかに越える平均台の柔軟な姿勢、跳馬の超高速スピンなどの動きに対応し、さらに高精度化するのは大変困難なことでした。この課題にチャレンジできたことは、とてもやりがいがあり、成果として今回のように受賞という形で認められたことをうれしく思います。より一層精進して、他のスポーツ、ヘルスケア、教育など、理想とする姿勢・動きを追求する分野に関わる全ての人たちに喜ばれる技術を開発することが私の夢です。

今後について

世界的な大会への導入を継続的に続け、実績を積むとともに、体操のみならず他競技での採点支援や個々の演技確認、新技発掘から、さらには、演技モーションのエンタメや映像コンテンツへの２次利用まで、スポーツ分野でのＤＸ（デジタル・トランスフォーメンション）に三次元センシング技術で支えていきます。

関連リンク

・「AI体操採点システム」が「MM総研大賞2021」のスマートソリューション部門「審査委員賞」を受賞　（2021年6月23日プレスリリース）

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