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八木橋ゼミナール 第15回 「明治150年の広域行政」

今回のテーマは、前回の「圏域」を受けた、自治体の「広域行政」を巡る話題について解説しましょう。
ICTの話題は後半からになりますので、そのつもりでお読みください。

2018年10月29日掲載

「新たな自治体行政の考え方」での「圏域」

第32次地方制度調査会の諮問にある、「圏域における地方公共団体の協力関係、公・共・私のベストミックスその他の必要な地方行政体制のあり方について」の「圏域」についての話題です。(注1)
諮問の元は、前回のゼミナール「自治体をめぐる近未来への展望」で紹介した、総務省の2040構想研究会の第二次報告書「Ⅲ新たな自治体行政の基本的考え方」にあります。(注2)
「圏域」は、報告書の3章「圏域マネジメントと二層制の柔軟化」で、次のように登場しています。

  1. 圏域単位での行政のスタンダード化
    • 圏域単位の行政をスタンダードにし、戦略的に圏域内の都市機能を守り抜かなければならない
    • 圏域内の市町村間の利害調整を可能とすることで、深刻化する広域的な課題への対応力(圏域のガバナンス)を高めていく必要がある
    • 圏域単位での政策遂行が合理的な制度・政策についても、圏域が主体となることを前提にした制度設計が行われていない
    • 地域が生活実態等に合わせて自主的に形成した圏域を、自治体と各府省の施策の機能が最大限発揮できるプラットフォームとする必要がある
    • 圏域単位で行政を進めることについて法律上の枠組みを設け、圏域の実体性を確立し、顕在化させ、中心都市のマネジメント力を高め、合意形成を容易にしていく方策が必要ではないか
  2. 都道府県・市町村の二層制の柔軟化
    • 大都市を中心とした圏域内の行政は大都市等による市町村連携にゆだね、都道府県の補完のほか支援の手段がない市町村にリソースを重点化する必要がある
  3. 圏域を超えた結のネットワークの形成
    • 圏域を越えた広域分散型の自治体間連携は、行政サービス提供の持続可能性を高め、地域間の新たな人の流れを創発する

(注1)総務省 「第32次地方制度調査会第1回総会Open a new window」 (2018年7月5日)より

(注2)総務省 「自治体戦略2040構想研究会 第二次報告書Open a new window」 (2018年7月)より

市町村を越えた 広域行政

こうした「圏域」など、市町村を越えた広域行政の仕組みについて見てみましょう。
現在の自治体行政の仕組みは、1946年公布の憲法92条「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」による地方自治法で規定がされています。

市町村の制度は、明治維新での行政単位の設置(1889年市制・町村制の施行)に始まり、現在の地方自治制度(1947年地方自治法の施行)、そして地方分権改革(2000年施行の地方自治法の大幅改正)により、基礎的な地方公共団体(地方自治法 2条3項)として、位置づけされています。
市町村の区域は、明治の自然村からの再編合併(1889年に15,859市町村)、昭和の大合併(1961年に3,495市区町村)、平成の大合併(2010年に1,750市区町村)を経過し、現在の1,741市区町村になっています。

(注3)2018年10月1日の市政施行(福岡県那珂川市)により、792市743町183村23特別区

市町村を包含する広域の地方公共団体(地方自治法 2条5項)とされているのは都道府県です。市町村と類似した、都府県境を超えた圏域(注4)や合併(注5)などの懸案、そして道州制(注6)が大きな課題です。

(注4)連携中枢都市圏の備後圏域(広島・岡山)や定住自立圏の米子・松江(鳥取・島根)など
直近での大きな県境の移動は、長野県山口村の岐阜県中津川市への編入合併(2005年2月)による変更

(注5)都道府県の「自主的合併手続」が地方自治法に追加(6条の2)されました(施行 2004年11月)
北東北の連携構想(岩手県 「北東北のグランドデザイン(最終報告)についてOpen a new window」 (2005年9月))がありました

(注6)最大の地方公共団体である関西広域連合の「道州制のあり方研究会Open a new window」 (最終報告 2014年3月Open a new window

地方自治法では、市町村の連携の仕組みとして、協議会、機関等の共同設置、別法人の設置(一部事務組合、広域連合(1994年に創設))などの規定があります。
市町村を越える広域の対応として、昭和の大合併後の1969年から、知事が圏域を指定する、広域市町村圏、大都市周辺地域広域行政圏、ふるさと市町村圏の仕組みが順次作られ、各市町村は広域行政機構(協議会、一部事務組合、広域連合のいずれか)を設置し、計画や事業を推進してきました。 この仕組みは、1999年からの平成の大合併により、各広域行政機構の構成団体が様変わりしたこともあって、2009年に廃止されました。(注7)
そのあとを受け、市町村の自主的な協議による取組として、2009年から「定住自立圏構想」が全国で推進され、さらに2014年の地方自治法の改正で追加された「連携協約」を利用した「連携中枢都市圏」の取組が進められています。(注8)

(注7)総務省 広域行政・市町村合併HP 「広域行政圏施策の見直しについて」Open a new window (2008年12月)

(注8)定住自立圏構想は、第29次地方制度調査会Open a new window (諮問 2007年7月、答申 2009年6月)「市町村合併を含めた基礎自治体の在り方等について」の答申の中で、今後の施策として活用が求められています。
連携協約は、第30次地方制度調査会Open a new window (諮問 2011年8月、答申 2013年6月)の答申を受けた法改正によるものです。

課題は広域連携が困難な市町村と三大都市圏

連携中枢都市圏は、主として、三大都市圏(注9)の区域外の指定都市・中核市と近隣市町村からなる都市圏です。三大都市圏内でも、指定都市・特別区から時間距離が相当離れていて自立した圏は対象としています。さらに特例で、隣接2市で人口20万人超え等の条件で、「社会的、経済的に一体性を有する近隣の市町村により形成される圏域」も対象としています。(注10)

定住自立圏構想も同様に、三大都市圏の区域外を主として、人口が5万人程度以上(少なくとも4万人超)で、昼夜間人口比率1以上である中心市の地域を対象としています。三大都市圏内では、通勤通学者のうち、指定都市・特別区への割合が0.1未満を要件に対象としています。
また、合併市は、広域的な市町村の合併を経た特例として、同様の関係とみなす「合併1市圏域」、
さらに特例で、隣接2市で人口4万人超では、合わせて1つの中心市とみなす「複眼型中心市」、
さらに、通知で定める要件として、人口4万人未満でも、多自然地域にあり、周辺に後背地市町村が存在する、居住拠点都市による圏域も一類型とする「多自然拠点都市」も対象にしています。(注11)

地方交付税の措置の拡充などもあり、2018年4月現在で、定住自立圏は、121圏域、連携中枢都市圏は28圏域と広がっています。
これからの課題は、こうした圏域のような中心市が無く、広域連携が困難な市町村の対応(注12)
もうひとつは、除外されている、三大都市圏の圏域の対応が課題です。(注13)

(注9)国土利用計画(2015/8/14閣議決定)での三大都市圏
(埼玉、千葉、東京、神奈川、岐阜、愛知、三重、京都、大阪、兵庫及び奈良の11都府県)

(注10)総務省 地方自治制度 「連携中枢都市圏構想Open a new window」 推進要綱(2014年8月制定)

(注11)総務省 地域力の創造・地方の再生 「定住自立圏構想Open a new window」 推進要綱(2012年12月制定)

(注12)総務省 「広域連携が困難な市町村における補完のあり方に関する研究会報告書Open a new window」 (2007年7月)
北海道は、「広域分散型で多様な地域構造を持つ本道では、全ての地域で定住自立圏等の取組を進めることは難しい状況」として、独自に「市町村連携地域モデル事業Open a new window」 を実施

(注13)自治体戦略2040構想研究会 第二次報告書Open a new window (p37)「4東京圏のプラットフォーム」より 「三大都市圏ごとに状況は異なる。最適なマネジメントの手法について、地域ごとに枠組みを考える必要」

広域行政と共同化・共同処理

こうした広域団体は、地方自治体のコンピュータ導入に活躍してきました。導入は、大都市から始まりましたが、市町村への普及には、広域団体での、共同導入・共同処理が必須でした。
現在の「自治体クラウド」の共同団体のなかには、こうした導入時期から継続している広域団体(協議会、一部事務組合、広域連合)もあります。

1970年代、自治体が電子計算機を導入し始めた当時、電子計算機は高額で、レンタル制度が始まり、ようやく一時費用でなく、年額で導入できるようになります。とはいえ、電源や空調の設備の準備や費用、そして、事務処理用のコンピュータ言語のCOBOLが普及するようになったとはいえ、プログラム要員の育成などは、大規模な市区でないと難しい時期でした。
そこで、市町村の共同処理が活躍します。大型計算機を共同で設置、運用して、参加団体が利用する仕組みで、協議会や一部事務組合、各団体が共同で設置した財団法人等が運営する形態もできました。
当初は集中一括処理ですが、専用ネットワークを用いて、オンラインの形態の利用が進んでいきます。
現在でも、こうした形態で続いている共同利用は、使う側から見れば、「自治体クラウド」そのものです。

時代が進み1980年代、大型計算機でなく、小型の事務用コンピュータ(当時、オフコンと呼びました)で住民情報の処理ができるようになります。より小規模な市町村が共同で、機器の調達、ソフトウェアの開発管理、そして設置は市町村個別といった運営ができるようになります。
この形態で、技術が進み、1990年代はクライアントサーバ型、2000年代はPCサーバ型に進化します。
この頃になると、共同ではなく、単独でも導入や設置が容易になります。未導入の市町村への設置が進み、他方で、共同組織の面倒さや負担金の分担などで、共同団体からの撤退や解散の動きになります。
そこに平成の大合併、密に共同処理していた団体ほど、合併により一体化し、共同団体の解散や、構成団体の様相が様変わりします。現在の共同利用の団体は、こうした環境下、運営を続けてきました。
そして現在、共同化を推進する「自治体クラウド」の動きになっています。

このように、広域団体による共同処理は、大型機の共用運用から、小型機の分散化、平成の大合併の再編と、技術の進化と時代の流れで変遷してきました。
現在、また「自治体クラウド」で、共同による効率化を図る動きに「戻って」来たとも言えます。

総務省は、自治体クラウドの推進にあわせ、一層の標準化、共通化を進める検討をしています。
自治体クラウドの推進の一環で、「地方公共団体のクラウド導入におけるカスタマイズ抑制等に関する検討会」(注14)を開催しています。
また、自治体戦略2040構想研究会報告を受け、基礎自治体による行政基盤の構築へ向けた課題や方策について分析・検討を行う「基礎自治体による行政基盤の構築に関する研究会」(注15)が始まっています。
この動きに合わせて、自治体戦略2040構想に掲げた「スマート自治体」を推進するべく、「業務プロセス・システムの標準化及びAI・ロボティクスの活用」の研究会(注16)を始めています。

(注14)検討会は非公開。総務省 地方財政審議会(2018年6月26日)議題(1)説明資料Open a new window
自治体クラウドの導入促進の取組Open a new window」(p12-13) 参照

(注15)総務省 「基礎自治体による行政基盤の構築に関する研究会Open a new window」 (第1回 2018年7月19日)

(注16)総務省 「地方自治体における業務プロセス・システムの標準化及びAI・ロボティクスの活用に関する研究会Open a new window」 (第1回 2018年9月21日)

見直しの時期に 「明治150年」

地方自治の仕組みが出来てから約70年、市町村制、現在の47都道府県ができて約130年、今年は、明治元年から150年になります。
第28次地方制度調査会(諮問 2004年3月、答申 2006年2月)「道州制のあり方、大都市制度のあり方等について」の諮問について、「都道府県は、明治期以来約120年の長きにわたってその構成と区域を維持してきた」(注:答申当時)として、都道府県を見直し、市町村と道州の二層制を答申しています。
最終文は、「本答申を基礎として、今後、国民的な議論が幅広く行われることを期待する」

先日、「『廃県置州』で日本に活力を」という日本経済新聞の記事がありました。(注17)
いろいろな見方のある明治150年、また違った見方ができると思います。

(注17)日本経済新聞電子版 私見卓見Open a new window (2018年6月20日)
著者は第31次地方制度調査会委員でもありました佐々木信夫中央大学名誉教授
概略を紹介Open a new windowすると、「都道府県の見直しを。移動手段が馬、船、徒歩の時代の都道府県は時代にあっていない。「廃藩置県」が人口拡大期に備えた政治革命であったとすれば、人口縮小期に備えた政治革命は「廃県置州」。全国を10程度の広域圏とし、内政の拠点となるよう大胆に分権化、地方分散。地域の目線から、指定都市や中核市をベースに広域行政を担う「州制」に再構築。人口減時代でも元気な国・日本づくりをめざす。」

元気な日本に向けて 富士通の取組

富士通は、元気な国・日本づくりに向け、さまざまな取り組みを進めています。
デジタル社会への変革が進んでいきます。ひきつづき、注視していきましょう。

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