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八木橋ゼミナール 第8回 「新たな電子行政の方針」(成長戦略編)

今回のテーマは「新たな電子行政の方針」です。
2017年5月30日に、新たな電子行政の方針、6月9日に、政府の新たな成長戦略が決定しました。
今回は、「マイナンバー制度の今後」を軸に、これらの新たな方針について、見ていきましょう。

2017年8月22日

新たな成長戦略「未来投資戦略2017—Society5.0の実現に向けた改革—」

政府の成長戦略は、「新経済成長戦略大綱」(2006年、小泉内閣)が最初でした。
その後、名称は変遷し、「新成長戦略」(2009年~)、「日本再生戦略」(2012年~)、「日本再興戦略」(2013年~)と続きました。2016年は、「日本再興戦略2016—第4次産業革命に向けて—」でした。
2017年は、「未来投資戦略」。副題は「Society5.0の実現」へと進化しました。

(注1)「未来投資戦略2017—Society 5.0の実現に向けた改革」が閣議決定(2017年6月9日)Open a new window

冒頭の「基本的考え方」から、一部を抜粋します。

『先進国に共通する「長期停滞」を打破し、中長期的な成長を実現していく鍵は、近年急激に起きている第4次産業革命(IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボット、シェアリングエコノミー等)のイノベーションを、あらゆる産業や社会生活に取り入れることにより、様々な社会課題を解決する「Society5.0」を実現することにある。 我が国が目指す「Society5.0」は、先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、「必要なモノ・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供する」ことにより、様々な社会課題を解決する試みである。』

この、「Society5.0」とは、政府の「第5期科学技術基本計画」で、「世界に先駆けた「超スマート社会」の実現(Society 5.0)」と示した概念です。その解説では、「狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続くような新たな社会を生み出す変革を科学技術イノベーションが先導していく、という意味を込めている。」とされています。

(注2)「第5期科学技術基本計画(平成28~平成32年度)」(2016年1月22日閣議決定)Open a new window

また、Society5.0に関連して、産業界(経団連)が、「電子政府」に向けての具体的な、分かりやすい提言を行っています。

(注3)日本経済団体連合会「Society 5.0に向けた電子政府の構築を求める」(2017年2月14日)Open a new window

新たな成長戦略でのマイナンバー制度の関連記述

成長戦略のなかで、「マイナンバー制度」に関しては、以下の3箇所と工程表に記述があります。

1)「Ⅰ. Society5.0に向けた戦略分野 1.健康寿命の延伸」

『自らの生涯にわたる医療等の情報を経年的に把握、最適な健康管理・診療・ケアを提供する「全国保健医療情報ネットワーク」、健康・医療・介護のビッグデータを個人のヒストリーとして連結し分析するための「保健医療データプラットフォーム」、これらを支える基盤として、医療保険のオンライン資格確認及び医療等ID制度の導入について、2018年度からの段階的運用開始』

(注4)「医療保険のオンライン資格確認」は、マイナンバーカードのJPKIサービス利用、「医療等ID制度」は、マイナンバー制度の医療保険者に付与された機関別符号との対応により設定・導入される予定。

2)「Ⅱ.Society5.0に向けた横割課題 A-1.データ利活用基盤の構築、徹底したデータ利活用に向けた制度整備」

『「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2017年5月30日閣議決定)に基づき、オンライン原則化、オープンデータの促進、行政のIT化・BPRの推進、データ流通基盤の整備、国と地方の施策の整合性の確保など、官民データ活用の推進を総合的かつ効果的に進める。』

(注5)「オンライン原則化」等については、この「官民データ活用推進基本計画」のなかで、「マイナンバー制度等を活用した施策」が示されています。

3)「Ⅱ.Society5.0に向けた横割課題 B-2規制改革、行政手続の簡素化、IT化の一体的推進」

『今後、行政目線の「行政手続」から事業者目線の「公共サービス」に発想を大きく転換し、最新のIT技術と法人番号マイナンバーなどの新たな制度を最大限活用しながらあらゆる手続を見直し、利用者の利便性の向上に取り組む。』

『2017年3月に取りまとめたマイナンバーカード利活用推進ロードマップに基づき、マイナンバーカードの利用範囲の拡大を推進するとともに、その基盤整備に取り組む。』

4)「中短期工程表」の「規制改革、行政手続の簡素化、IT化の一体的推進(4)(5)」

マイナンバー関連の工程表が記載されています。

この工程表は、前年の「日本再興戦略2016」で、「第4次産業革命を支える環境整備」として記された工程表が更新されたものです。

「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」

政府は、「e-Japan戦略」「e-Japan重点計画」(2001年)以来、継続して、社会全体の情報化に向けた基本方針と計画の策定を行っています。

2000年に制定されたIT基本法(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)に基づいて設置された、IT戦略本部(高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)が推進しています。2012年、政府CIO(注6)が設置され、IT戦略本部の本部員となります。

(注6)内閣情報通信政策監。2013年、政府CIO法がマイナンバー法と同時に成立、法定化。

そして2013年、「世界最先端IT国家創造宣言」「世界最先端IT国家創造宣言工程表」が決定。
その後、毎年、改定されてきました。2016年に新たに公布された「官民データ活用推進基本法」に基づいた「官民データ活用推進基本計画」と一体化し、2017年に決定されました。(注7)

(注7)「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」が閣議決定(2017年5月30日)Open a new window

この計画は、全ての国民が、ITやデータの利活用を意識せず、その便益を享受し、真に豊かさを実感できる社会、「官民データ利活用社会」を構築するため、策定されています。

計画では、8つの重点分野(注8)を定め、2020年を区切りとして施策を推進していきます。

(注8)以下の8分野:(1)電子行政 (2)健康・医療・介護 (3)観光 (4)金融 (5)農林水産 (6)ものづくり (7)インフラ・防災・減災等 (8)移動

第1部「総論」で、IT戦略の新たなフェーズ(「データ」がヒトを豊かにする社会の実現)を宣言しています。
e-Japan戦略(2001年)以来のIT戦略の成果を総括、「マイナンバー制度の導入」もその一つです。

一方、IT関連技術(高速化したネットワークインフラ)や利用環境(スマホやIoTの普及)が変化し、「データ大流通時代」が来ています。今後、AIやロボット等の開発の進展とともに、生活や産業、社会や経済構造も、「想像を超える変革」を続けていきます。当初のe-Japan戦略が目指した、「豊かさを実感できる社会」を構築すべく、計画を策定、実施していくことを宣言しています。

第2部が「官民データ活用推進基本計画」で、具体的な施策集が示されています。
さらに、その施策の別表(KPI、スケジュール、府省庁、基本法との関係)がまとめられています。従前の工程表の文章での説明に比べ、全体が把握し易くなっています。

新たなフェーズに入ったIT戦略とマイナンバー制度

官民データ活用推進基本法の第13条に「マイナンバーカードの普及・活用」が明示されています(注9)

(注9)官民データ活用推進基本法第13条(個人番号カードの普及及び活用に関する計画の策定等)「国は、個人番号カードの普及及び活用を促進するため、個人番号カードの普及及び活用に関する計画の策定その他の必要な措置を講ずるものとする。」

「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」とその施策集の各所に、マイナンバー制度の関連事項が示されています。

マイナンバー制度等を活用した「行政手続における住民票や戸籍証明の提出不要化」、「マイナンバーカードと電子委任状を活用した政府調達」、「ライフイベントに係わるワンストップサービス」の介護・相続でのマイナンバー制度の活用等など、多くの施策の記載があります。

「新たな電子行政の方針」

「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」は、社会全体の推進計画です。
このうちの「電子行政」についての推進計画については、IT戦略本部の「新戦略専門調査会」に設置された「電子行政分科会」が検討を進めてきました。

2017年2月に分科会が、「新たな電子行政の方針」を発表、この内容が2017年5月に、「デジタル・ガバメント推進方針」として、IT本部の決定となりました。
「デジタル・ガバメント推進方針」で、「マイナンバー制度・法人番号の徹底活用」が明記されています。

なお、この会議で同時に、「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」とあわせ、「オープンデータ基本指針」、「官民ITS構想・ロードマップ2017」も決定されています。

(注10)高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(第71回)官民データ活用推進戦略会議(第2回)合同会議(2017年5月30日)Open a new window

次回は、「デジタル・ガバメント推進方針」と、電子行政分科会と併置された、データ活用基盤・課題解決分科会の規制改革WTが検討してきた「デジタルファースト・アクションプラン」について解説をしましょう。

利活用の動きは、どんどん拡がって続いていきます。注視していきましょう。

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