Web上で親しい人とコンテンツ共有を可能にするライフログ・シェアリングサービスLife-X(ライフ・エックス)の商用化を、OSSサポートの利用により約3ヵ月で構築、サービス開始後も爆発的なユーザー数増加にも柔軟に対応。
[ 2009年11月25日掲載 ]
業種: | 情報システム関連 |
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ハードウェア: | PRIMERGY RX200 |
ソフトウェア: | Red Hat Enterprise Linux、OSS(注)ミドルウェア(Apache, Tomcat, PHP, Sendmail, Bind 等)
(注)OSS:オープンソースソフトウェアの略称 |
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マルチデバイス対応でフレキシブルなアプリ基盤がほしい |
安定したLinuxサーバで、コンパクト、スケーラブルのインフラ構築 |
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短期間でのサービス提供開始 |
商用サービス化を3ヵ月で実現 |
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サービスに伴うトータルコストを抑えたい |
Linux on PRIMERGY、OSS活用で開発/構築コストを削減 |
「当社関連グループのBtoCシステム開発での豊富な実績や、アプリケーションとプラットフォーム双方の開発力、さらに運用ノウハウも含めて総合力が決め手になりました」
ソニー製品のマーケティング・セールスを担うソニーマーケティング株式会社(以下、ソニーマーケティング)。同社は、写真、動画、ブログなどのコンテンツをWeb上で一元管理でき、親しい人とコンテンツの共有も可能にするライフログ・シェアリングサービスLife-Xの商用化を2008年9月より開始しました。インフラには、富士通のLinux on PRIMERGYとOSSを採用。コスト面はもとより、信頼性、拡張性、高い運用サービスレベルの実現など、同社のシステム要件を満たす富士通の総合力が採用の決め手となりました。また、OSSサポートの利用により、商用ソフトウェアと同等の技術支援が受けられたことも約3ヵ月という短期構築を成功に導くポイントになりました。サービス開始から1年が経過し、キャンペーン時の爆発的なユーザー数の増加にも柔軟に応えています。
きょうは孫の誕生日。おじいちゃん、おばあちゃんが見ているソニーの液晶テレビ<ブラビア>の画面に、ママが携帯電話で撮影した誕生日会の写真とメッセージ付きのポストカードが届く。リモコンボタンをポンと押すと、大画面にいまにも飛び出してきそうな孫の姿が映し出され、おじいちゃん、おばあちゃんの笑顔が広がっていく。
ソニーのライフログ・シェアリングサービスLife-Xの「<ブラビア>ポストカード機能」を利用した新しいコンテンツの楽しみ方の一例です。Life-Xは、写真や動画、ブログなどのコンテンツをWeb上で一元管理がおこなえ、コンテンツを親しい人と共有できます。Life-Xを提供しているのは、ソニー製品のマーケティング・セールスを担うソニーマーケティングです。
「当社には、マーケティングとユーザーリレーションと、大きく2つのミッションがあります。後者はサポート情報などを通じてお客様の声を吸い上げ、顧客満足度の向上に役立てていく活動です。Life-Xのプロジェクトは、ユーザーリレーションの観点から、ソニー製品のネットワーク機能を活用して、お客様にソニーならではの楽しい付加価値を提供していこうというミッションから生まれたものです」と、ネットワークサービス推進部 新規事業推進1課の湯原真司氏は語ります。
Life-Xは多彩なコンテンツの表示方法も魅力です。「位置情報をもとに地図上にコンテンツをマッピングすることもできます。タイトル、撮影時間、場所などコンテンツのメタデータも一元管理し、コンテンツを時間軸や位置軸、人軸などさまざまな視点で表示することを可能にしています。また、パソコン、テレビ、携帯電話などコンテンツを機器に合わせたかたちで楽しむことができるのも大きな特徴です」(湯原氏)。
Life-Xのプロジェクトは2008年5月より本格的にスタートしました。商用化の開始は同社の大きなイベントでの発表に合わせた同年9月。構築期間は約3ヵ月しかありませんでした。
Life-Xを支えるインフラの要件について、「ユーザーの認知が進み、ユーザー数が急激に伸びたときに柔軟に対応できるという点が重要でした。そのために、システム構成や運用はシンプルに、構成するパーツはパワフルに、突然の環境変化にも応えられるシステムをつくろうと心掛けていました」と、ネットワークサービス推進部 システム開発推進課の中村馨氏は語ります。
ミドルウェアに関してオープンソースソフトウェア(以下、OSS)の利用を検討していた理由についても「開発や構築コストを抑えたいということだけでなく、OSSに関わる一般の技術者の厚みに注目していました」と説明を加えます。
同社はシステム要件を満たす開発パートナーとして富士通を選択しました。「当社の要望に応えながら、短期間でもきっちりとやりきれるという観点をまず重視しました。関連グループのBtoCシステム開発での豊富な実績や、アプリケーションとプラットフォーム双方の開発力、さらに今回、運用も委託するため、日々変化するセキュリティ条件への対応など運用ノウハウも含めて総合力が決め手になりました」(中村氏)。
さまざまな機器と連携するLife-Xでは、マルチデバイス対応でフレキシブルなアプリケーション基盤の実現が欠かせません。富士通はLinux on PRIMERGYとOSS活用したインフラを提案しました。「Linux on PRIMERGY は低コストでハイパフォーマンスなプラットフォームとして認識していました。その上、台数を少なくコンパクトにまとめたいという要望に合致しました。またシンプルな仕組みでユーザー数の増加に対応するといった面でもPRIMERGYのマルチコアCPUによるパワーは非常に魅力的でした」(中村氏)。
技術支援の段階から検証に基づく技術ノウハウを短期で注入できる富士通のOSSサポートも利用しました。「富士通のノウハウとOSSサポートの組み合わせで、商用ソフトウェアと同等の技術支援が受けられました。3ヵ月間の短期構築でしたが、着実なサービス機能の実装や高い運用サービスレベルの実現に対し大いに貢献してもらえました」と中村氏は語り、高い評価を得ています。
Life-Xのプラットフォームは、Linux on PRIMERGYとOSSミドルウェアを主軸に構成しています。Web/APサーバはロードシェア構成によるロードバランス、およびApache・Tomcat・PHPのOSSミドルウェアの利用により、サービス成長にあわせたパフォーマンスの強化も容易です。また、Linux市場でデファクトスタンダードのRed Hat Enterprise LinuxのOSSミドルウェアであるため安心して利用できます。
PRIMERGY・Linux・OSSの徹底活用によりコストパフォーマンスを追求する一方で、高い運用サービスレベルが必要な部分にPRIMERGY付属のサーバ監視ソフトウェアServerViewや富士通の運用管理ミドルウェアSystemwalker を採用し、コスト面と高い運用サービスレベルの両立をバランス良く実現しています。
2008年9月、予定通りにLife-Xは商用化を開始し、一部ユーザーの間で運用した後、同年11月に正式にサービスをスタートさせました。
「1年が経過し、PRIMERGYは安定稼働をつづけています。今年の7月のキャンペーン時にはユーザー数が急激に伸び、コンテンツ数も何十万単位で増加しましたが、柔軟に対応できました。PRIMERGYのパワーにはあらためて驚いています。また運用面もかなり洗練されてきました」(中村氏)。
Life-Xは日々、進化しています。ブログなどWebサイトにパーツとして貼り付けてLife-Xのコンテンツを見ることも可能になりました。今後の展望について「インフラに関してはシナリオ通りに進んでいます。今後は、企画部門が考えたアイデアをよりスピーディーに、よりローコストで実現していく、アプリケーション開発のパフォーマンスの向上が重要だと考えています。また、OSSの先進技術の導入や、運用性、保守性、効率性などの改善も継続しておこなっていく必要があります」と、中村氏は語ります。
コンテンツの楽しみ方を大きく広げるLife-X。富士通はこれからも、プラットフォームやOSSサポートなどの提供を通じLife-Xをしっかりと支えてまいります。
本社 | 東京都港区高輪4-10-18 |
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設立 | 1997年4月1日 |
資本金 | 80億円 |
事業規模 | 約5,850億円
(2007年4月1日から2008年3月31日までの実績) |
従業員 | 約2,100名
(2009年4月1日現在 ソニーリージョナルセールス株式会社の人員約1,000名を含む) |
事業内容 | 日本国内における、主としてソニー商品のマーケティング・セールスおよび左記に付帯する諸業務 |
ホームページ | ソニーマーケティング株式会社様 ホームページ |
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