リーマンショック以降、企業のICT予算は抑制傾向にある。企業は、限られた予算内でどのようにストレージを管理しているのだろうか。専任管理者はいるのか、どのような作業が負担になっているのか、増大を続けるデータに対する容量計画など、IDCの数々の調査から企業におけるストレージ管理の実態を考察する。
(注) 本連載ではIDCのレポートを基に、中小規模の企業=1~999人以下、大規模の企業=1,000人以上と定義している。
まずは、IDCが毎年行っている従業員規模別「ストレージ管理の課題」という調査の結果を見てみよう。
中堅中小企業では昨年度に引き続き「バックアップの効率化」が最も多く、大企業では昨年度の「災害対策」に代わって「データ量の増加への対応」を挙げる企業が増えている。
それに続く「管理者のスキル不足」「管理者の不足」は、上位3項目とは異なり根源的である。ストレージ管理の知識やスキル対応がなければ、バックアップの効率化、災害対策といった具体的な課題を解決することはできない。管理者にスキルがない、スキルを持った管理者がいないことは、ストレージ管理全体に関わる課題と言える。
IDCは、企業におけるストレージ管理の実態を浮き彫りにする、興味深い調査を行っている。
従業員規模別「ストレージの専任管理者と兼任管理者の構成比」という調査では、ストレージ専任の管理者を抱える企業は、大企業では27.1%、中堅中小企業では10.0%にすぎないことが分かった。大企業の36.8%、中堅中小企業の22.7%では、IT管理者がサーバとストレージを兼任して管理しており、さらに大企業の34.8%、中堅中小企業の61.0%では加えてネットワーク管理者も兼任しているという結果が出ている。
また、従業員規模別「ストレージの管理者の増減(過去2年間)」の調査では、大企業の77.1%、中堅中小企業の87.1%が「管理者数は変わらない」と回答している。
従業員規模別「ストレージ管理作業増加の項目」の調査では、増加している管理作業として「バックアップ関連作業」「データ移行業務」「障害管理や障害時の対応」「ストレージの新規導入や増設」が挙げられている。
中でも、ストレージ管理者への負荷が大きな作業項目は次のとおりである。
大企業、中堅中小企業とも「バックアップ関連作業」との回答が一番多い。それに続いて回答率が高いのは大企業では「データ移行作業」であるが、中堅中小企業では「障害管理や障害時の対応」となっている。中堅中小企業では専任のストレージ管理者を置いているのはわずか10%にすぎない。サーバやネットワークの管理者を兼ねていることから、障害関連作業の割合が大きくなっているものと見て取れる。
IDCによる従業員規模別「保有ディスク容量(外付型+内蔵型)」の調査結果を見ると、大企業では1~10TB未満が24.7%、10~100TB未満が34.6%、100~500TB未満が15.6%、500TB以上が13.6%であり、中堅中小企業では1~10TB未満が48.7%、10~100TB未満が23.8%、100~500TB未満が2.7%、500TB以上が1.4%となっている。現在ではTBのディスク容量が当たり前となっており、大企業では数百TB単位でのディスク容量を保有する企業も約3割に上る。
さらに、従業員規模別「保有ディスク容量(外付型+内蔵型)の伸び率」という調査では、大企業の40.3%、中堅中小企業の48.7%が「10%未満増」、大企業の18.4%、中堅中小企業の18.7%が「10~20%増」と回答している。
では、企業はディスク容量をどのように増やしているのだろうか。
IDCでは、従業員規模別「2013年の容量増加の計画とその手段」という調査を行っている。
内蔵型、外付型、NASなど自社に何らかのストレージを導入しているとの回答が大企業では64.6%、中堅中小企業では49.2%になった。また、大企業の31.7%、中堅中小企業の14.6%は何らかの外部サービスを利用することでディスク容量を増やしている。
一方で、大企業の31.0%、中堅中小企業の45.6%は「ストレージ容量は増やさない」と回答している。
増大するデータ量に対応するにはディスク容量もまた増やす必要がある。ただ、やみくもには増やすだけでは、導入や管理にかかるコストが雪だるま式に膨れ上がってしまう。近年、シン・プロビジョニングやデ・デュプリケーションなどの技術によりストレージの利用効率を向上することで、ストレージ管理にかかるTCOを削減しようとの考え方が普及しつつある。「ストレージ容量は増やさない」との回答率の高さは、企業がこの考え方に従って何らかの対策を導入していることの現れと言えるだろう。
企業データの増大と多様化は、バックアップをはじめとするストレージ管理作業を増やし、管理者への負担を増大させる。ストレージ管理者がサーバ/ネットワーク管理者を兼ねる場合はなおさらである。限られたICT予算では、データ増大に比例して単純にディスク容量を増やすこともできない。ディスク容量の利用効率を向上するシン・プロビジョニングやデ・デュプリケーション(重複排除)などの技術やスモールスタートが可能なハードウェアを導入したり、ストレージの運用を簡易化する管理ソフトウェアを活用したりといった対策が必要になる。
そのためには、ストレージ管理に関連する知識やスキルが必要である。兼任管理者率が高いという現状では、さらにサーバやネットワーク関連の知識やスキルも必要となるだろう。増大する企業データに対応し、低コストで効率的にストレージ管理を行うためには、ストレージ管理者がこれらの知識を習得することが重要になる。
富士通は、ストレージ管理の効率化を図るために、さまざまなストレージ製品を提供しています。
課題 | 概要 | 主な対応製品 |
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バックアップの効率化や災害対策 | ETERNUS DX ディスクアレイ | |
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ETERNUS NR1000F series ETERNUS NR1000V series |
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ETERNUS CS800 デデュープアプライアンス
ETERNUS BE50 バックアップアプライアンス |
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データ量の増加への対応 / 仮想化環境の効率化 |
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ETERNUS DX ディスクアレイ |
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ETERNUS NR1000F series ネットワークディスクアレイ | |
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ETERNUS VX700 series 仮想化環境向けストレージ | |
ETERNUSディスクアレイの効率的な運用管理 |
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ストレージ基盤ソフトウェア ETERNUS SF ETERNUS SF Storage Cruiser |
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ETERNUS Oracle VM Storage Connect Plug-in ETERNUS vCenter Plug-in ETERNUS VSS Hardware Provider |
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その他 |
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アセスメントサービス |
上記以外でもさまざまな角度からお客様のストレージにおける管理負荷軽減・コスト削減・性能最適化・バックアップ効率化・消費電力の削減などをサポートします。
掲載日:2013年6月25日
更新日:2014年10月31日