「リネンタグ」進化の歴史と活用事例集

富士通フロンテックの「UHF帯RFIDソフトリネンタグ」(以下、リネンタグ)は、これまでに1億8,000万枚(2021年8月現在)を出荷してきました。

RFIDとは、タグの持つ情報を無線通信でやり取りできる技術のこと。身近なところでは、電子マネー(WAON、nanacoなど)、ポイントカード、従業員証、学生証、会員証などに用いられています。この技術をリネン製品(シーツやタオル、洋服など布製品全般)の管理に用いたのがリネンタグです。

今では、大量にリネン類を使うホテルや病院、制服の種類が細分化されている大型テーマパークなどで幅広く活用されています。第一世代のリネンタグ誕生から15年以上経つ中、耐久性と通信距離の向上、サイズの小型化、低価格化なども次々と実現してきました。

そこで、改めてリネンタグ進化の歴史と活用事例をここでお伝えしていきたいと思います。実際にどう使えるのかイメージしてもらえるよう、管理対象物別の適用方法についてもご紹介しましょう。

「リネンタグ」の開発コンセプト(目的、対象市場)

リネンタグは、帝国ホテル様と日通様のユニフォーム管理に用いられたのが最初です。
ユニフォーム管理においては、これまでHF帯の技術(コインタグを用いたもの)が用いられていましたが、通信距離が短く、1つ1つ手作業で読み取らないといけないという課題がありました。しかしUHF帯を採用すれば、離れた距離から複数枚をまとめてチェックすることが可能です。利便性が劇的に向上するとの期待から、リネンタグの開発は進められました。このようにRFIDをリネン類に活用する案がRFID開発当初からあったわけではありませんでした。リネンタグは現場での悩みの声から誕生した製品なのです。

しかし、RFIDをただリネンに活用すればいいという簡単な話ではありません。洗濯寿命200回という目標があり、工業用の大型洗濯槽や自動アイロンがけ装置などで使っても耐えうる強度が必要とされました。曲げねじり試験機を作って試験を重ね、複数のクリーニング店に頼み込んで実験を繰り返し、2年がかりで開発されたのです。

そうして誕生したリネンタグは、

  • 入荷、出荷、棚卸の業務効率化による人件費の削減
  • ユニフォーム貸与におけるセキュリティの強化

を実現する製品として、ホテル、病院、運輸業者、レジャー施設などを対象に広く普及していきました。

第一世代のリネンタグ

曲げねじり試験機

進化の歴史

リネンタグは年々改良が加えられており、今では第五世代となるリネンタグが活躍しています(2021年4月現在)。

例えば第三世代では、圧力脱水に対応。「病院のシーツ類を管理したい」との声から開発が始まりました。油圧で何十トンもの圧力をかけて水を搾り取るという圧力脱水への対応は、それまで技術的な限界がありお手上げだとされていたものです。
しかし丹念に検討をしていく中で、ICチップを守る保護材そのものが曲がるという技術にたどり着きました。こうして第三世代において、圧力脱水の高いハードルをクリアしたのです。

このように性能が著しく伸びている一方で、サイズは小型化になり、低価格化も実現しています。その進化の歴史をご紹介しましょう。

リネンタグ開発の世代開発・改善内容価格
第一世代(2007年~)
  • 洗濯寿命:200回または3年を実現
  • 外形サイズ:60×15×1.6mm
380円以下
第二世代(2009年~)
  • 日本・北米の両周波数に対応
  • 熱圧着取付けに対応
  • 外形サイズ:55×10×1.6mmに小型化
210円以下
第三世代(2012年~)
  • 圧力脱水に対応
  • 全世界主要国の周波数に対応
  • 通信性能向上:約1.5m
100円以下
第四世代(2017年~)
  • 圧力脱水への耐性を強化
  • 通信性能向上:約1.9m
100円以下
第五世代(2019年~)
  • 外形サイズ:55×7×1.6mmに小型化
  • 0.2gの軽量化
100円以下

そして2020年には、衣料品レンタル市場向けに、UHF帯RFIDガーメントタグも開発されました。ガーメントタグは、リネンタグより薄型化した製品です。さまざまなレンタル衣料品にも目立たず装着が可能で、業務用洗濯及びドライクリーニング約100回に耐える耐久性を保持しています(注) 。

UHF帯RFIDガーメントタグ

(注)ガーメントタグは圧力脱水非対応となります。

活用事例(海外、国内)

リネンタグは、さまざまな目的にご活用いただけます。海外、及び国内での活用事例の一部をご紹介しましょう。

リネンタグ活用例業種活用方法や効果
ユニフォーム管理の手段としてホテル、百貨店、レストラン、レジャー施設など
  • 一括読取りでユニフォーム検品作業を効率化
  • ユニフォームの貸出、返却、廃棄作業の省力化
ユニフォーム盗難防止の手段としてホテル、百貨店、レストラン、レジャー施設など
  • 貸出/返却時の受渡し間違いや不正使用を防止
感染予防対策として病院、介護施設
  • 病衣、手術服等の個体管理による滅菌処理の厳密化
  • 新型インフルエンザの感染拡大予防
レンタル品の入出庫管理の手段としてレンタル衣料品サービス、レンタル寝具サービス
  • 未返却品の把握を早め、次の顧客への貸し出しがスムーズにできるようにした
  • 膨大な数の検品作業を効率化すると共に、人為的なミスを減らすようにした

リネンタグは、現場からの悩みの声を元に開発された製品です。富士通が持つRFIDの技術を用いれば、他にもさまざまな課題を解決できるかもしれません。
洗濯しても壊れず繰り返し利用でき、一括読み取りが可能だというリネンタグの特徴が活かせそうで、「こんなことにも使えないかな?」とのご相談ありましたら、ぜひお知らせください。

注意事項

リネンタグは、使用環境やタグの向きの違いなどにより、通信距離、洗濯可能回数などが本記事で記載の数字とは異なってくることがございます。通信距離やご利用の洗濯条件に耐えうるか、あらかじめ使用環境で確認されることを推奨しております。

リネンタグは、管理の徹底、ミスの削減、業務効率化、セキュリティの強化などをまとめて実現できる製品です。その誕生以来継続して開発を続けてきたことで性能は向上し、対応できる範囲も広がっています。ご興味ございましたら、ぜひ富士通フロンテックまでお問い合わせください。

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