お客様インタビュー
「専門領域での活躍」を目指し、未経験から即戦力へ
~学習管理システムで歯科医療の知識習得を加速させる~
株式会社ジーシー
(左から)東京支店 生体材料係 村上和樹様、
デンタルインフォメーションセンター 学術研修課 道井貴幸様、
人事部 人事課 人材開発係 岩澤優花様
記事公開日:2025年6月10日

株式会社ジーシーは、1921年に設立された歯科材料・機器の大手メーカーです。歯科医療に関するあらゆる製品を取り扱い、グローバルに事業を展開しています。「健康長寿社会を実現する歯科界のリーディングカンパニーとなる」ことをビジョンに掲げ、歯科製品の研究開発から製造、販売まで一貫して行っています。
歯科医療という高度な専門性が求められる分野の製品を取り扱う同社には、蓄積されたナレッジや最新の技術情報などを、社内のメンバーへ確実に共有・伝達していくことが求められます。
この課題を解決するため、同社は2021年に富士通ラーニングメディア(以下、FLM)の学習管理システム(以下、LMS)“KnowledgeC@fe(ナレッジカフェ)”を導入。独自に制作した社内向け教育コンテンツと組み合わせることで、貴重なナレッジを若手社員へ効率よく伝達できる仕組みを構築しました。
同社は高度で複雑な歯科医療知識をどのように継承しているのでしょうか? デンタルインフォメーションセンター 学術研修課の道井貴幸様、人事部の岩澤優花様、営業部 東京支店の村上和樹様にお話を伺いました。

歯科医療従事者向けのショールームや製品の展示スペースが多数設けられている。
歯科医院限定で販売されている歯ブラシから診察台(歯科用ユニット)をはじめとした
様々な機器や歯科材料まで、同社の幅広い製品に直接触れて体感することができる。
新入社員が「歯科医師の話を聞き取れる状態」になる必要性
──歯科医療に関するあらゆる製品を取り扱っている御社では、業務の中で高い専門知識が求められると伺っています。入社されるのも、歯科医療の知識を持っている方が多いのでしょうか?
道井様:そうとも限りません。当社には歯科医師や歯科衛生士などの有資格者も在籍していますが、大半の社員は、歯科医療の知識が無い状態で入社します。歯科医療に関する専門用語も多く、私自身もそうでしたが、初めのうちは「お客様がおっしゃっている言葉がわからない」となることも多いと思います。

GC R&D Centerでの歯科材料研究員を経てデンタルインフォメーションセンター 学術研修課に異動。
歯科医療従事者を対象とする会員組織「GC友の会」を運営する部署にて、
お客様に正確な情報を届けるための社員への歯科教育研修「デンタルカレッジ」を担当。博士(工学)。
──そういった状況で、御社ではどのように新入社員教育を進めているのでしょうか?
岩澤様:ジーシーでは、入社後の導入研修をはじめとした階層別研修に加えて、専門知識等を学ぶ目的別研修を実施しています。中でも歯科医療の知識を学ぶ研修「デンタルカレッジ」は1~3年目までに計6回行っており、段階的に専門知識が習得できます。

人材開発係として社員の教育・研修を主に担当している。
──デンタルカレッジにおいてもKnowledgeC@feを使ったeラーニングを活用されていると伺っています。LMSの導入に至った背景についてお聞かせください。
道井様:デンタルカレッジは開発・生産系や事務系を含めた全新入社員が受講するもので、歯科企業人として一定の歯科・製品知識を持つための研修です。そのなかで営業職の場合は全体研修後に営業部門研修を一定期間受けて本配属となり、早い段階で「お客様である歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士など先生方の話をある程度聞き取れる状態」になる必要があります。そのため、本配属前に集中的に研修を行い、配属後は「業務を行いながら、適宜研修を受けてもらう」という形になっていきます。
しかし、多様な業務・担当分野に必要な知識を得るには配属前研修やその後のデンタルカレッジだけで十分とは言えません。それぞれの部門で行われている部門別の研修などをeラーニング上に集約することで、デンタルカレッジ対象者である1~3年目社員に必要な知識を得てもらおうと考えました。
また、コロナ禍による営業活動の制限を受けて、「コロナ禍明けにもっと業績向上に貢献する活動ができるよう、この期間を活用して営業担当者全体の製品知識を深めるべきでは?」という声にも後押しされ、LMSの導入を検討し始めました。
KnowledgeC@fe導入の決め手は、あらゆる場面に対応できる自由度と拡張性の高さ
──各社から多種多様なLMSがリリースされている中から、FLMのKnowledgeC@feを選定した理由をお教えください。
道井様:各社のLMSを比較した結果、最も適していたのがKnowledgeC@feでした。決め手となったのは「自由度の高さ」です。
KnowledgeC@feでは個人設定やグループ設定*を自由に行うことができます。また、動画の配信を得意とするLMSは多いですが、KnowledgeC@feでは動画だけでなく、パワーポイントの資料から紙芝居形式のeラーニングを生成し掲載することも可能です。加えて、当社が独自制作したコンテンツを、将来的に海外の事業所や当社のディーラー(販売店)様に展開したいと考えた場合にも、契約内容を変更せずに対応できる点も魅力的でした。
*個人設定やグループ設定:ユーザー情報や組織情報の設定のこと。KnowledgeC@feでは、氏名、メールアドレス、所属部署など一般的なユーザー情報だけでなく、お客様独自の情報も設定できる。組織情報についても、組織の階層構造を再現して登録できることに加えて、自由にグループの作成が可能。「新入社員グループ」「xx年中途入社グループ」などオリジナルのグループを設定することで、受講管理や受講状況の分析に活用することができる。
つまりKnowledgeC@feなら、後から様々な「やりたいこと」が出てきても、あらゆる場面に柔軟に対応できると判断したのです。

──KnowledgeC@feに載せるeラーニングコンテンツは自社制作されていると伺いました。具体的にはどのような内容ですか?
道井様:まずはもともと存在していた教育コンテンツをKnowledgeC@feにアップロードしました。さらに営業向けの製品勉強会の動画や、歯科医師や歯科大学の先生に行っていただいた講義なども収録・編集し、追加しました。これにより、実施済み研修のアーカイブを早い段階で活用することができました。
また、デンタルカレッジにおける専門家による高度な講義内容をスムーズに理解できるよう、「集合研修の予習コンテンツ」も制作しています。関係各部署・先生方の協力を得てアップロードされた「デンタルカレッジe-ラーニング」独自コンテンツはこの4年間で320本ほどあり、年間約70~80本制作した計算になります。

専門性の高い集合研修の理解を助けるための予習コンテンツなど、カテゴリーに分けて展開。
合計約320本の豊富なeラーニングコンテンツで、社員のスキルアップを支えている。
「現場実践 × eラーニング」の相乗効果が、未経験者を即戦力に育てる
──実際にKnowledgeC@feを使われた印象はいかがですか?
岩澤様:私が前職時代に利用していたLMSと比べて使い勝手が非常に良いと感じています。スマートフォンでも視聴できる点も便利ですね。
また、自由なタイミングで自主学習が可能なため、社員のフォローアップに有効だと感じます。以前、新入社員研修の一環として行っている工場見学に参加できなかった社員に対して、eラーニングを使ったフォローアップができたときは人事としても大変助かりました。自主学習により心理的な不安も軽減できたと考えています。
村上様:私は学生時代、歯科医療とは何の関係もない学部で学んでいたため、入社当時の歯科知識はゼロの状態でした。しかし部門研修や「デンタルカレッジe-ラーニング」の活用でスムーズに専門的な知識を習得できていると感じています。
歯科医師の先生方と商談をする際は、自社製品についてだけなく、臨床的な知識が不可欠です。eラーニングを使って、お客様訪問の前にスマートフォンで臨床例を予習することで、商談で出た話とeラーニングでの学びを掛け合わせながら理解を深めることができています。こうして実践的に学習したことを実際の商談の場でも活かせており、歯科医療の知識が無かった私が営業として活動できているのは、入社時からeラーニングの利用環境が整備されていたおかげもあると思います。

現在は東京支店 生体材料係にて、営業として関東甲信越エリアの歯科医院を多数担当している。
道井様:村上が担当する「生体材料」は比較的新しい分野のため、詳しい話ができる先輩も限られています。また、生体材料は体内に埋め込んで使用するので、お客様に注意点を正しく伝えないと、トラブルにつながる可能性がある製品でもあります。そうした中で、新卒1年目の彼がしっかりと知識を習得し、成果を出せているのは頼もしい限りです。KnowledgeC@feでの学習が、その大きな支えになったのではないでしょうか。
学習のモチベーション向上の秘訣は、業務に直結する学びの提供
──LMSを導入しても、「思うように社員に活用してもらえない」とお悩みの教育担当者の方も多いと聞きます。御社では社員の利用率が高いと伺いましたが、そのために工夫されていることはありますか?
村上様:この仕事では、自社製品や関連する専門知識を熟知していることが求められます。歯科知識について学習するための有用な書籍も多数ありますが、書籍だけでは知りたい内容を見つけるのが大変で、途中で 挫折してしまうこともあります。しかしKnowledgeC@feというデジタルツールであれば、手軽に知識を深めて業務に生かしていくことができます。その手軽さと「学んだ知識が業務成果につながる」という実感が、利用率の高さにつながっているのではないでしょうか。

道井様:当社では「全員に一律でeラーニングコースを割り当てる」といったことはしていません。取り扱う製品が多岐にわたるため、社員の業務内容や学びたいことが人それぞれ異なっており、関係のないコースを強制しても効果は期待できないと考えたからです。
その代わり、各部門のニーズを収集したり制作に協力いただきながらコンテンツを掲載し、業務に必要なコンテンツの受講を促すよう各部署に働きかけています。たとえば、「営業活動に必要な製品知識をこのコースで身につけてほしい」「今年はこの品目に注力したいので、このコースは必ず受講してほしい」といったメッセージを制作に関わった各部署から直接部員に伝えてもらうようにしています。
こうした取り組みの積み重ねが、KnowledgeC@feを使ったeラーニング学習の定着につながっていると感じています。
岩澤様:ジーシーでは、学生向けの会社説明会や採用サイト、入社後の導入研修において、教育制度が充実していることを積極的に発信するようにしています。学生から「歯科の知識がないと応募してはいけないのでは?」と質問を受けることが多いのですが、その際も「目的別研修や集合研修、eラーニングなど充実した教育体制があるので心配ありませんよ」とお伝えしています。
結果として、入社時から学べる環境が整っているという安心感を提供でき、歯科知識の有無に関係なく優秀な学生の応募、若手の活躍にもつながっているように感じています。
100年企業の知見を未来へ――知識の継承と発展に寄り添うKnowledgeC@fe
──最後に、御社のビジネスにおける今後の展望と、それに関連してKnowledgeC@feに期待することをお教えください。
道井様:当社が取り扱っている歯科製品は、製品名で見ても800種類以上、仕様の違いも含めると万単位にのぼります。営業担当者は、製品それぞれの違いを説明できなければいけないのですが、中には現役社員の年齢を超える期間、販売を続けているロングセラーもあります。そうなると「それについて詳しく知る社員がどんどん減ってきている」という品目も、実際に出てきてしまっているのです。
そういった製品を長く信頼して使っていただけるようにするには、必要な知識を学び、継承していくことが不可欠です。KnowledgeC@feは、当社の104年にわたる経験と知識をアーカイブし、さらなる発展に向けて活用していくために寄り添ってくれるLMSであると確信しています。
現在、制作した学習コンテンツは300本を超え、今ではおすすめリストを作るのも難しくなってきました。そこで今後は、「このコースを受講した人には次にこれがおすすめ」といったレコメンド機能の導入に期待しています。
岩澤様:以前の当社は新卒入社の社員がほとんどでしたが、近年は中途入社も増加し、彼らをフォローする研修が若干追いついてない状況です。
現在は新卒社員向けに導入研修で使用している研修資料などをKnowledgeC@feに集約できれば、中途入社される方が安心して活躍するための力強いプラットフォームになるはずです。今後は人事の教育担当者として、そういったパッケージを作っていきたいと考えています。
村上様:長く使用されてきた歯科材料は「すでに基本的な特性は十分なものになっている」という部分はあるのかもしれません。最近は、アナログな技術からデジタル技術を用いた治療技術とそれに対応する歯科材料へとアップデートされてきており、求められるものが変化しながらさらに発展していくでしょう。
そういったアップデートの過程で必要になる膨大な知識も、eラーニングを活用すれば手軽に、整理された形で得ることができます。私のような未経験者にとっては非常に心強い存在ですし、諸先輩にとっても今後、学習コンテンツとそのプラットフォームであるKnowledgeC@feはなくてはならないツールになっていくのではないでしょうか。
富士通ラーニングメディア担当者からのメッセージ
カスタマーサクセス本部
阿波加 さやか
前任者から引き継いでまだ日が浅い私ではありますが、ジーシー様がKnowledgeC@feの機能を最大限活用なさっているご様子を目にしてきました。
歯科という高度な専門性が求められる業界で 「お客様と社員のために正確な知識を伝承しなければならない」と考えるジーシー様の熱量には日々感服するとともに、私自身がさらにお役に立てる担当者になるべく、より一層の努力を続けてまいりたいと思います。
HRDテクノロジー事業本部
HRDテクノロジーサービス事業部
シニアマネージャー 程田 恭介
ジーシー様は社内に点在するナレッジを教育コンテンツとして登録し、全社的に学べる環境をご用意されています。
そのうえで、学びを業務上の成果につなげていく取り組みを実践されており、KnowledgeC@feをフルに活用いただいているお客様の一社であると感じています。
非常にありがたいと思っておりますし、ジーシー様の人材育成上の施策遂行と、その先のビジネス拡大にさらにご協力できるよう、より一層の情報提供を続けてまいります。
※ 本記事の登場人物の所属、役職は記事公開時のものです。