東北電力株式会社 様

Web基盤の高度化にマーケティング機能統合型CMSを導入、
顧客に「よりそう」プラットフォームの強化を短期間で実現

東北電力株式会社では、顧客とのコミュニケーション促進とエンゲージメント強化を目的とした会員制Webサービス「よりそうeねっと」の高度化プロジェクトを推進。Web基盤の中核となる動的CMSに「FUJITSU Business Application Sitecore Experience Platform」を導入し、性能の向上やメンテナンス性の改善など従来の課題を短期間で解決した。

課題
効果
課題Webプラットフォームの性能やメンテナンス利便性を向上したい
効果Web編集を自社で、且つシステム無停止で行えるため、性能やメンテナンス性が向上。サイト更新期間やコストも大幅に削減
課題「よりそうeねっと」の顧客接点としての重要性が増す中で、Webサービスの安定運用に向けたシステム対応が急務に
効果良質な信頼関係とコミュニケーションの構築により手戻りなく高度化プロジェクトを推進でき、短納期でプロジェクトを完了
課題サービスやシステムを常に進化させていくために、継続的にともに開発を続けていけるパートナーが必要
効果プロジェクト完了後も、インフラ運用やデジタルマーケティングに知見のある富士通メンバーが支援。システムの永続的な発展が可能に

背景

お客さまの暮らしを幅広くサポートする電力事業者

東北電力株式会社は、1951年の設立以来、「東北の繁栄なくして当社の発展なし」との基本的な考え方のもと、豊かな暮らしに不可欠な電気を地域に届け、地域とともに成長してきた。

電力業界は近年、大きな変革の中にある。2016年4月の電力小売り全面自由化に始まり、2017年4月のガス市場の小売り全面自由化、さらに2020年4月には法的分離による発送電分離が行われる。東北電力株式会社 発電・販売カンパニー 営業部 営業システムグループ 主査の類家 純嗣 氏は、「地域や市場の垣根を越えた競争がますます激しくなることに加え、再生可能エネルギーの導入量拡大や地域人口の減少など、“需要構造”と“業界構造”の2つの変化に即した対応が事業者として求められています。当社では2015年10月に“より、そう、ちから。”のコーポレートスローガンを掲げ、お客さま一人ひとりのライフスタイルやニーズに“より沿う”、地域社会の成長にしっかりと“寄り添う”さまざまなサービスを提供しています」と語る。

そうした新しいサービス展開の一つが、暮らしのトータルサービス「より、そう、ちから。+ONe(プラスワン)」だ。類家氏は「より、そう、ちから。+ONe」について、「働き方改革や少子高齢化、デジタル技術の進化によって、ライフスタイルの多様化が進む中で、当社が電気に加え“プラスワン”で、お客さまの暮らしをより良くするサービスをお届けしようとする取り組みです」と説明する。提供サービスとしては、会員制Webサービス「よりそうeねっと」やライフスタイルに合わせた料金プラン、子供の居場所確認ができる「よりそう ここっちGPS BoT」、家庭用太陽光発電向けの「ツナガルでんき」などが用意されており、その他の新たなサービスについても継続して拡充を図ることとしている。

東北電力株式会社
発電・販売カンパニー
営業部 営業システムグループ
主査
類家 純嗣 氏
東北電力株式会社
発電・販売カンパニー
営業部 営業システムグループ
横山 聖矢 氏

経緯

性能、メンテナンス利便性に課題

「より、そう、ちから。+ONe」の主要サービスである「よりそうeねっと」は、2016年4月の電力小売り全面自由化とともに公開された。会員登録することで専用のマイページにおいて毎月の電気使用量や料金などを確認できるほか、引っ越しなどの各種契約手続き、利用者のライフスタイルに最適な料金プランのシミュレーションを利用できるWebサービスだ。さらに「よりそうeねっと」では、会員を対象にしたポイントサービスも実施しており、獲得した「よりそうeポイント」は、東北6県と新潟県のご当地商品、電子マネーや商品券と交換できる他、復興支援・地域活性化への寄付にも利用できる。

「サービス開始以来、内容の充実と各種イベントを通じたPRに継続的に取り組んでいます。2018年10月にはスマートフォンアプリの提供もスタートし、2018年11月には50万会員に到達しました」と類家氏は付け加える。

Webサービス「よりそうeねっと」は、東北電力にとって顧客とのコミュニケーション促進とエンゲージメント強化を目的としたWebマーケティング基盤としての役割を担っているが、以前はいくつかの課題があったと類家氏は振り返る。

「自由化による競争進展とともに“よりそうeねっと”がお客さまとの接点としての重要性が増していく中で、プラットフォームとしての性能面や、メンテナンス性に課題がありました。また近年はサイバー攻撃の増加が問題となっていますので、さらなるセキュリティ強化も実施していく必要を感じていました」(類家氏)。更新や修正を実施しようとしても時間やコストが必要で、将来のサービス拡大や会員数増加に対応していくことが難しいと感じていた。

そこで、これら課題を解決する仕組みを構築すべく、「よりそうeねっと」の高度化プロジェクトがスタートした。「課題を確実に解決することはもちろん、長期にわたり安定的に運用できるシステムを構築することも重要視しました」と類家氏は振り返る。

短納期、長く続くパートナーシップを重視して富士通を採用

複数のベンダーの提案から東北電力が「よりそうeねっと」の性能、メンテナンス利便性向上を目的に採用したのが富士通である。富士通の提案は、Web基盤の中核となる動的CMS(Content Management System:コンテンツ管理システム)に、マーケティング機能統合型の「FUJITSU Business Application Sitecore Experience Platform(以下、Sitecore)」を導入し、基幹システムなどとの連携を強化するというものだ。

Sitecoreは、多機能かつ使いやすいWebコンテンツ管理機能とマーケティング機能を一元化し、カスタマーエンゲージメントに重点をおいた拡張性の高いプラットフォームだ。

富士通を採用した理由について、短期間での開発が可能だった点が決め手だったと類家氏は語る。「課題の確実な解決はもちろんですが、安定運用に向けてシステム対応を急ぐ必要があったため、12ヶ月という短期間での開発も要件として提示していました。それに対応してくれたのが富士通でした。富士通は、当社でのシステム開発の実績があり、当社の業務内容やルールもすでに理解してくれていますので、短期間での開発が可能だと判断しました」(類家氏)。

加えて、将来を見据えた採用であることも類家氏は強調する。「電力事業を核に、さまざまな領域にチャレンジしている当社にとって、多岐にわたる分野・業界で多くの実績を持つ富士通には学ぶことが多くあります。高度化対応が終了した以降も、良質なパートナーシップを築き、長く開発を一緒に進めていける企業であると感じました」と類家氏は付け加える。

ポイント

信頼関係と密なコミュニケーションにより
短期間での構築を成功

2016年7月から「よりそうeねっと」高度化プロジェクトの開発がスタート。本来この規模の高度化開発では、基幹システムとの複雑な情報連携や制約もあり、仕様を確定するのにも、その後の構築作業にも長い時間を要してしまうものであるが、東北電力ではこれを12ヶ月という短期間で実現した。この理由について、富士通株式会社 社会インフラビジネスグループ 第二システム事業本部 第四システム事業部の藤本 泰弘は次のように振り返る「実現する仕様を取りこぼすことなく、12ヶ月という短期間で実現できたのは東北電力様の多大なご協力があったからこそです。リビルドにより現行踏襲すべき仕様と高度化として改善すべき仕様とを見極める上で、東北電力様は“本来こうあるべき”という業務継続性を踏まえた判断基準をしっかりとお持ちで、何が正しいといった解をすぐに出していただけましたので、速やかに仕様を決めていくことができました」。

藤本の言葉を受け、東北電力株式会社 発電・販売カンパニー 営業部 営業システムグループの横山 聖矢 氏は、「現行のサイトを運用しつつ、高度化に取り組みましたので、当初は悩むところもありましたが、富士通には仕様決めの優先度と的確な判断をする上で必要な情報を提供いただき、また真摯に対応してくれましたので、安心して開発を続けられました」と話す。

類家氏も、「システム開発は“人”の部分が大きいと私は考えています。12ヶ月という短期間で高度化を完遂できたのは、富士通のSEがエネルギー業界の業務知見を有しており、基幹システムとの連携構築がスムーズであったことや、大規模システムの構築経験が豊富な人員を擁していることといった人材面に加え、私たちと富士通がしっかりとコミュニケーションをとって、お互いに良い信頼関係が築けたことも要因の一つになっていると思います。これにより情報伝達のスピードと確実性が大幅に上がり、その結果スピーディな開発が可能になったのだと思います」と分析する。

効果と今後の展望

メンテナンス性が大幅に向上、更新期間の短縮とコスト削減も

2017年7月、高度化対応が完了した「よりそうeねっと」の本稼働がスタートした。類家氏は、「新しいWeb基盤は従来の課題を確実に解決しています。性能面も向上しており、大きな問題もなく安定稼働できています」と笑みを浮かべる。

運用に入って以降、Sitecoreの「見たまま編集機能」によるメンテナンス性のメリットがとくに大きいと横山氏は評価する。Sitecoreの見たまま編集機能は、実際のページ上で直接テキストやリンク、また画像やPDFなどのメディアファイルの差し替え等の編集を行うことができる機能だ。

「キャンペーンページへの誘導作成やWeb上の表記変更など、多くのシーンでSitecore の見たまま編集機能を活用しています。SEが作業しなければならない範囲が少ないため迅速な対応が可能ですし、コストメリットもあります」(横山氏)。

従来であればキャンペーンページへのリンクバナーを挿入するだけでも業者へ委託しなければならず、ケースにはよるものの1ヶ月程度の期間とそれに付随するコストが必要となっていた。現在は見たまま編集機能を利用して社内でも容易に更新ができるようになった。更新期間は2日程度に大幅に短縮され、委託のコストも不要となっている。またサーバーを止めずに更新できることはこれまでにはないメリットだと横山氏は説明する。

Sitecoreの見たまま編集機能について、富士通株式会社 社会インフラビジネスグループ 第二システム事業本部 第四システム事業部 シニアマネージャーの三友 洋一は、「見たまま編集機能は各ユーザーが編集できる範囲をあらかじめ設定できますので、具体的な業務運用を想定し、どこを編集可能範囲に設定するかなど、東北電力様と話し合いながら開発を行いました」と話す。

セキュリティ面についても、今回の高度化により新たな認証などが導入されており、しっかりと強化を実現している。

さらに便利に、普段使いしてもらえる「よりそうeねっと」へ

2018年10月にはスマートフォンアプリ版の「よりそうeねっと」も提供をスタート。利用者も順調に増えているという。「“よりそうeねっと”のアクセスの約半分はスマートフォンデバイスからです。今回のアプリ提供開始によりさらなるアクセスのしやすさを実現できました。アプリ開発についても富士通はSEの知見が豊富だったおかげでスムーズに進められました」と類家氏は話す。

東北電力ではこれからも、Webマーケティング基盤として「よりそうeねっと」の開発・活用を継続していく。もちろん富士通も積極的に支援を行っていく。「高度化が終わり、これで終了というのではなく、永続的に開発を続けられる体制が求められていますので、メンバーに対する教育・育成も引き続き行っていきます」と富士通の三友は意気込みを語る。

「よりそうeねっと」の今後について、横山氏は「まだまだSitecoreについては使い切れていないと感じるところもありますので、さらに活用を進め、来訪者の分析なども行って、より一層お客さまに便利にご利用いただけるサービスにしていきたいと思います」、類家氏は「お客さまの生活によりそったサービスを提供していくためには、お客さまを知らなくてはなりません。データ活用なども行い、適切なマーケティングをして、お客さまに普段使いしていただけるサイトにしていきたいと考えています。富士通とはこれからも一緒に、“よりそうeねっと”をさらに発展させていく施策やサービスを考えていければと思います」と語った。

富士通株式会社
社会インフラビジネスグループ
第二システム事業本部
第四システム事業部
シニアマネージャー
三友 洋一
富士通株式会社
社会インフラビジネスグループ
第二システム事業本部
第四システム事業部
藤本 泰弘

東北電力株式会社 様

所在地 仙台市青葉区本町一丁目7番1号
代表者 取締役社長 原田 宏哉
設立 1951年5月1日
資本金 2,514億円
社員数 12,316名
ホームページ http://www.tohoku-epco.co.jp/新しいウィンドウで表示
概要 東北6県(青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県)および新潟県他への電力供給を中核に、地域とともに歩む複合エネルギーサービス事業を展開。

[2019年3月掲載]

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