ミリ波を用いた複数人同時見守りシステムの低コスト化と、プライバシー保護の両立を実現した技術が「情報処理学会 業績賞」を受賞

2025年7月25日

左から、津山 慶之、紺野 剛史、吉岡 隆宏、井手 健太、白石 壮大

プライバシーに配慮した見守りにより、介護従事者などの負担軽減を実現する「プライバシー配慮と複数人同時見守りを両立するミリ波センシング技術の実用化」が、一般社団法人情報処理学会の2024年度業績賞を受賞しました。本技術は、カメラを使用せずにミリ波レーダーによって人の体の動きや微細な振動を検知する、革新的な見守り技術であり、プライバシーを保護しながら高精度なセンシングを可能にします。
表彰式は、2025年6月11日(水)に東京都千代田区の出版クラブホールにて執り行われました。

情報処理学会 業績賞について

情報技術に関する新しい発明、新しい機器や方式の開発・改良、あるいは事業化プロジェクトの推進において、顕著な業績をあげ、産業分野への貢献が明確になったものの内から、その貢献者に贈呈するものです。

受賞内容

「プライバシー配慮と複数人同時見守りを両立するミリ波センシング技術の実用化」

受賞者

紺野 剛史(富士通 コンバージングテクノロジー研究所 プロジェクトディレクター)
吉岡 隆宏(富士通 コンバージングテクノロジー研究所 シニアリサーチマネージャー)
井手 健太(富士通 コンバージングテクノロジー研究所 シニアリサーチャー)
白石 壮大(富士通 コンバージングテクノロジー研究所 シニアリサーチャー)
津山 慶之(富士通 コンバージングテクノロジー研究所 シニアリサーチャー)

技術概要

高齢化に伴う介護職員不足が深刻化する中、プライバシーに配慮した見守り技術が求められています。受賞者らは、単一のミリ波センサーで複数人の骨格とバイタルサインを同時に推定する革新的な技術を確立しました。

従来のカメラ式見守りのプライバシー問題を解決するため、ミリ波センサーに着目しました。しかし、既存技術では複数人の同時見守りが困難でした。そこで、時間や明るさに左右されず、複数人の体勢を把握できる骨格推定AI技術と、複数人のバイタルサインを同時に推定するアルゴリズムを開発。これにより、導入コストを抑えつつ、複数人の同時見守りを実現しました。

この技術は富士通の見守りソリューションとして製品化され、病院、介護施設、バリアフリートイレなど、様々な分野で活用が進んでいます。和歌山県立医科大学やTOTO株式会社との実証実験では、患者の危険状態の判定やトイレでの不審行動の検知に有効性が確認されました。海外の集合住宅でも導入され、入居者の安全を見守る技術検証が行われています。また、ミリ秒単位での状態検知は、幼稚園バスなどでの子どもの置き去り防止にも応用可能です。

本技術は、プライバシー保護が重要な場所での活用が期待され、安心安全な社会づくりに貢献します。

ミリ波センシング技術の全体像ミリ波センシング技術の全体像

受賞者コメント

  • 紺野 剛史

  • 吉岡 隆宏

  • 井手 健太

  • 白石 壮大

  • 津山 慶之

この度は、権威ある業績賞を賜り、誠に光栄です。受賞対象のミリ波センサー見守り技術は、高齢化社会の介護職員不足への貢献を目指したものです。我々は元々、映像解析の研究開発に従事していましたが、プライバシー重視の空間ではカメラ導入が難しく、映像に頼らない検知技術が必要と考え、ミリ波センサーに着目しました。

技術普及には安価なシステムが不可欠と考え開発を開始しました。当初は情報不足で1台で複数人検知が困難でしたが、徹底的な検証で課題を克服しました。ノイズや環境変化など多くの課題を、メンバーの専門知識と試行錯誤で乗り越え、複数人の骨格とバイタルサインを同時に推定する技術を確立しました。現在、富士通の見守りソリューションとして製品化され、病院や介護施設等への導入が進んでいます。

今回の受賞を励みに、今後も社会貢献できる技術革新に邁進し、介護現場の負担軽減、高齢者の安心できる社会の実現に貢献できるよう努めます。

本件に関するお問い合わせ

fj-ctfund-contact@dl.jp.fujitsu.com

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