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キュレーション(curation) :デジタルマーケティング コラム

「キュレーション(curation)」とは、インターネット上にある膨大なコンテンツや商品の中から独自の基準で選別・編集することです。「キュレーション」の意味や取り組みについて、事例を交えながら、富士通総研 田中 秀樹が解説します。

多極化したユーザーの共感を得てつながる手法「キュレーション」

スマートフォン向けのキュレーションメディア「SmartNews」が日米で1,000万ダウンロードを突破しました。他にも、「Antenna」「Gunosy」「NewsPicks」などの利用も増えており、近年、SmartNewsのようなキュレーションの仕組みを使ったサービスが注目されています。

キュレーションは独自の基準でコンテンツや商品を選別・編集すること

「キュレーション(curation)」とは、美術館や博物館で展示の企画などをする「キュレーター(curator)」という専門職に由来する言葉です。キュレーターが膨大な作品の中から選別し独自の視点や解釈を加えて展示を企画するように、インターネット上にある膨大なコンテンツや商品の中から独自の基準で選別・編集することをキュレーションと呼びます。

たとえば「SmartNews」は、芸能ニュースから経済ニュースまで、多彩なジャンルのニュース記事の中から、いま・もっとも注目されている記事を選別・編集をし、専用アプリに再配信をしています。ユーザーは短時間で効率的に話題の記事だけをサクサク読めるため、このキュレーションが人気を集め、日本だけでなく世界150ヵ国以上で利用されるようになりました。

キュレーションが注目されるようになった3つの理由

当然のことですが、コンテンツや商品を独自の基準で選別・編集することは、キュレーションというキーワードが注目される前から行われていました。キュレーションとは呼ばれないものの、新聞社やセレクトショップは独自の基準で記事や商品を選別・編集していますし、Yahoo!ニュースのトピックスは多くの記事の中から独自の基準に従って選別してタイトルを編集したものです。では、なぜ選別・編集するという行為がキュレーションと呼ばれて現在、脚光を浴びるようになったのでしょうか。これには3つの理由があります。

キュレーションが注目される理由1: 情報爆発

1つめの理由はICT技術の進歩による情報爆発です。ソーシャルメディアの利用が広がり、インターネット上で公開される情報は指数関数的に増えています。検索サービスを使って情報を絞り込むことはできますが、検索結果は玉石混交でその中から相応しい情報をユーザーが選別する必要があり手間がかかるため、効率的に情報にたどり着けるキュレーションは重宝されるのです。

キュレーションが注目される理由2: スマートフォンの普及

2つめの理由は、スマートフォンの普及です。パソコンと比べ画面が小さく文字入力がしにくいスマートフォンでは、検索サービスで情報を選別するより、限られた画面上で自分にマッチしている情報だけがコンパクトにまとまっていて、欲しい情報にすぐたどり着ける方が使い勝手がいいでしょう。

キュレーションが注目される理由3: ユーザーニーズの多様化

3つめの理由は、ユーザーニーズの多極化です。モノが充実して、ユーザーは実用的な「モノ」よりも自分の価値観やライフスタイルに合った共感できる「コト」を求めるようになってきました。独自の基準で選別・編集するキュレーションは、その基準に共感するユーザーを惹き付けています。

図:検索サービスとキュレーションの比較

キュレーションの取組みは様々なジャンルで行われており、その呼び方もキュレーションメディア、キュレーションサイト、キュレーションECなど様々です。それでは、キュレーションの具体的な事例を、ユーザーの多極化した価値観への対応を視点に見ていきましょう。

キュレーション事例による多極化した価値観への対応の違い

「SmartNews」のキュレーション事例

先ほど紹介した「SmartNews」のキュレーションは機械で自動的に行っています。Twitterのリアルタイム解析技術を使い、1日約1,000万以上あるツイートを元に、「いま話題になっている」という基準で記事を選別して編集しています。SmartNewsは、ニュースのカテゴリを選ぶことで、ユーザーは自分の興味に近い記事を読める仕組みになっています。これとは異なる方法で、よりユーザーの多様化した価値観に歩み寄ろうとしているキュレーションもあります。

「HATCH」「RETRIP」のキュレーション事例

ECサイトの「HATCH」は、音楽家の坂本龍一氏や、「くまモン」のデザインで有名なクリエイティブディレクターの水野学氏など、著名人がセレクターとなり、選ばれた商品がセレクターの紹介文・コメントを添えて掲載され、ECサイト上で実際に購入できるようになっています。著名人の個々のセンスがキュレーションの基準です。また、旅に関する情報が掲載されている、旅行キュレーションメディアの「RETRIP」は、サービス開始当初はRETRIP で採用したキュレーターのコンテンツだけが掲載されていましたが、利用者が徐々に増えてキュレーションの理解が進むと、一般ユーザーもキュレーターになれるように変更されました。この方法なら、著名人や限定されたキュレーターよりも幅広い価値観に対応できます。

「STYLESEEK」のキュレーション事例

米国のアパレルECサイト「STYLESEEK」では、それぞれのユーザーのセンスやスタイルに合ったアイテムの提案をしています。会員登録時に、クルマや、部屋の内装、映画など、並べられた画像の中から自分が好きなものを選択していくだけで、ユーザーの嗜好を判断し、それぞれのユーザーが気に入るアイテムをパーソナライズしてキュレーションする仕組みになっています。

エンゲージメントを高めるキュレーション

ユーザーの共感を得ながらゆるやかにつながる

さて、価値観が同じ人たちがゆるやかにつながる集団を「トライブ(tribe:部族)」と呼びます。上記のようにユーザーの価値観が多極化する中で、同じ価値観を持った人たちがつながり、今後さまざまなトライブが増えてくるのかもしれません。

トライブに対しては、一律の「モノ」的に情報を伝えていては共感を得ることはできません。それぞれの価値観に合わせて「コト」的に伝えることが重要です。そういった観点から考えると、キュレーションという仕組みを使って、トライブに情報を伝えることが適切な手法かもしれません。

キュレーションはニュースサイトやECサイトだけにしか使えない手法ではありません。ユーザーと共感しあい、ゆるやかにつながりながら、エンゲージメントを高めるキュレーションを企業Webサイトに採り入れてみませんか。

(株式会社富士通総研 田中 秀樹)
株式会社富士通総研(FRI)

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