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サブスクリプション ~安心感と発見を与える「使い放題」はビジネスを変える~

デジタル音楽配信サービスの「スポティファイ」が日本に上陸しました。この「聴き放題」のビジネスモデルは「サブスクリプション」と呼ばれます。今、このようなサブスクリプションのサービスが増えてきました。

音楽ビジネスはサブスクリプション型に

スウェーデン生まれの音楽配信サービス「スポティファイ(Spotify)」は、全世界で1億人を超えるユーザーを抱える「ストリーミング・ミュージック」を代表するサービスです。

音楽のビジネスは、デジタル化で仕組みを変えると同時にビジネスモデルを進化させてきました。以前はCDを買うのが一般的でしたが、今ではアップルの「iTunes Store」などで楽曲単位にダウンロード購入するようになり、そして、スポティファイのようなストリーミングの定額制が広がろうとしています。

スポティファイに登録されている楽曲は4千万曲以上で、これが聞き放題になります。料金体系は、広告が表示される無料の「フリー」と、月額980円の「プレミアム」の二種類で、後者のプレミアムがサブスクリプションです。

音楽ビジネスにおけるデジタル化とビジネスモデルの進化

サブスクリプションはデジタルコンテンツからリアルに広がる

サブスクリプションとは、雑誌などの定期購読や会費を意味する単語で、ここから、ソフトウェアやサービスを一定期間利用する権利のことを指すようになりました。サブスクリプションは以前から使われており、会員制の倉庫型店舗「コストコ」などの年会費、定期購読のように利用回数や送付数に制限がある定額制、そして、利用制限の無い「使い放題」の定額制、といったタイプに分けられます。

コストコは先取りした年会費で収益の大半を生み出している、などサブスクリプションには様々な効果的な活用事例がありますが、今回は近年海外で広がっている「使い放題」にスポットを当てて解説していきます。

この使い放題は、映画などが「見放題」の「Hulu」や「Netflix」、書籍が「読み放題」のアマゾンの「Kindle Unlimited」など、音楽以外にも増えています。このようなデジタルコンテンツは現物が伴うモノと比べて、配送費用が不要で、利用が増えてもコンテンツの権利料以外のコスト増は少ないといった特長があるので、サブスクリプションで提供しやすくなっています。

ただ、最近では現物の使い放題も出てきました。アメリカ「Le Tote」はファッションの「着放題」サービスです。月49ドルから利用でき、サイズなどを登録すると、衣類とアクセサリーが送られてきて、その商品を返送すると新たな商品が送られてくる仕組みです。お気に入り登録すると、自分の好みに合ったコーディネートで送られてくる、という特長もあります。

ちょっと変わったサブスクリプションも出てきました。「Surf Air」は飛行機の「乗り放題」を提供しています。飛行機といっても一般の旅客機ではなく、相乗りのプライベートジェットで、企業CEOや起業家などをターゲットとして月1,950ドルからの定額制でサービスしています。単に定額というだけでなく、プライベートジェット専用カウンターから混雑なくスムーズに搭乗できる利便性も特長です。同社のサービス対象は、カリフォルニア州の12都市に加えて、2016年にはヨーロッパにも拡大しました。

定額の安心感と発見の機会が消費者に受け入れられる

なぜサブスクリプションが広がっているのでしょうか。世界的な金融危機により、消費者は節約志向になると同時に、モノの所有にこだわらないようになりました。ただ、単に節約するのではなく、その中でも楽しみを求めています。そんな消費者に、定額で安くて便利という安心感と、発見の機会があるサブスクリプションがマッチしたのです。

消費者は、サブスクリプション対象の中から興味を持った商品やサービスを探し出して気軽に試します。そして、本当に欲しい商品があったときには、その商品を購入するようになるでしょう。このような消費者の利用スタイルは、ビジネスに変化を与えます。

サブスクリプションによるビジネスの変化

事業者にとっては、サブスクリプションは消費者の囲い込み手段になります。同時に、消費者ニーズを詳細に把握することができるので、この情報を品揃えや商品開発に活かして、より消費者をサブスクリプションのサービスに引き付ける好循環を生み出すことができます。実際、スポティファイは得られたデータをレコメンデーションに使って、最適な音楽を見つける手助けをしています。

また、サブスクリプションのプラットフォームに商品・サービスを提供する事業者は、そこでプロモーションすることが重要になります。アマゾンでは出品事業者向けにプロモーションのサービスを提供しています。つまり、サブスクリプションは消費者を囲い込んで、ニーズを把握する場だけでなく、プロモーションの場にもなり、サブスクリプションを提供する事業者はプラットフォームとして大きな力を持つようになります。

日本でも、デジタルコンテンツの「Amazonプライムビデオ」や「dマガジン」に加えて、着放題の「エアークローゼット」や自動車乗り換え放題の「NOREL」などリアルでもサブスクリプションのサービスが出始めました。今後、様々な商品・サービスでサブスクリプションが広がり、プラットフォームとして力を持つ事業者が出てくるかもしれません。

(株式会社富士通総研 田中 秀樹)
株式会社富士通総研(FRI)

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「プラットフォームビジネス」とは、「他のプレイヤーが提供する製品・サービス・情報と一緒になって、初めて価値を持つ製品・サービスを提供するビジネス」のことです。「プラットフォームビジネス」の意味について、LINEの事例を交えながらご紹介します。

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