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自動化と高速化を同時に実現した「ETERNUS DX S3 series」 - 富士通フォーラム

鈴木恭子   2014年5月29日

「運用の自動化」や「事業の継続性向上」による安定したシステム稼働を実現

5月15日と16日の2日間、東京国際フォーラムで「富士通フォーラム 2014」が開催された。「ヒューマン・セントリック・イノベーション」がテーマに掲げられた今年は、72の展示デモと、約90におよぶ講演/セッションが設けられ、多くの企業ユーザーが詰めかけた。

「イノベーションを支えるICT」と題したエリアでは、ICT基盤の最適化を実現する最新プラットフォームが、デモを交えながら紹介された。ここでは2013年11月に販売開始されたディスクストレージシステム「ETERNUS DX S3 series」を中心に、ICT基盤を最適化する富士通のプラットフォームを紹介したい。

富士通フォーラム2014の様子。展示会場にはたくさんの企業ユーザーが詰めかけた

「運用の自動化」や「事業の継続性向上」による安定したシステム稼働を実現

コスト削減やITガバナンスの強化、システム運用管理の効率化といった観点から、サーバ仮想化環境を活用したICT基盤へのニーズは高まっている。しかし、サーバ仮想化環境を導入する前には、さまざまな業務特性に応じた設計が不可欠だ。業務性能を確保するには、緻密な性能設計も欠かせない。さらに、導入後も適切な運用管理が必要となる。

また、複数の業務を統合することで、トラブル時には障害を切り分けることが難しくなるといった課題も抱えることになる。万が一のトラブル発生の際には、すべての業務が停止し、莫大な機会損失が発生することも否定できない。さらに運用の共有化により、一部業務へのアクセス過多が、優先すべき他業務のレスポンス悪化を引き起こす可能性も考慮しなければならない。

こうした課題を解決するのが、「ETERNUS DX S3 series」と「ETERNUS SF Storage Cruiser 16」である。

富士通フォーラム2014 東京で展示されていたストレージ 物理容量最大4224TBの「ETERNUS DX600 S3」

ETERNUS DX S3 seriesは、ストレージ運用の複雑化やインフラ投資の増大、新たな業務追加に伴う処理遅延など、ストレージシステムの課題を解決するディスクストレージシステムである。また、ETERNUS SF Storage Cruiser 16は、ETERNUS DX S3 seriesの様々な機能を制御するストレージ管理ソフトウェアだ。

近年は、データ量増大や多様化――いわゆるビッグデータ――により、システムに要求される役割の高度化が進んでいる。事業継続性が要求されるのはもちろん、投資/運用コストを最適化すべく、リソースがパフォーマンスを十分に発揮できるシステムでなければならない。ETERNUS DX S3 seriesは、これらすべての要求に応えるものだ。

優先業務のI/O性能を確保する「QoS自動化」機能

リソース活用の最適化で注目すべきは、「QoS(Quality of Service)自動化」機能である。これは、ビジネス要件に応じた性能リソースの自動割り当て機能であり、優先業務のボリュームに必要なレスポンスタイムを設定するだけで、I/O性能(帯域)を自動チューニングする。優先度の高い業務(アプリケーション)のI/O性能を確保できるため、他の業務のI/O負荷変動の影響を受けることなく安定したパフォーマンスを保つことができる。


ETERNUSについて説明した富士通 プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部の石浦裕一氏

富士通プラットフォーム技術本部プロダクトソリューション技術統括部の石浦裕一氏は「従来であれば管理者は、業務ごとにI/O性能をチューニングする必要があった。しかし、ETERNUS DX S3 seriesでは、優先度の高い業務の目標性能を設定するだけで、そのほかの業務の負荷増加によるリソース干渉を抑え、自動でI/O性能を確保できる。運用管理者の業務負荷低減の観点からも、メリットは大きい」と語る。

アクセス頻度に応じてドライブ間でデータを自動配置する「自動階層制御」機能

「自動階層制御」も運用自動化のカギとなる機能だ。これは、アクセス頻度に応じて、保管データを最適なドライブに自動配置するもの。アクセス頻度の高いデータを高性能なSSD(Solid State Drive)に配置したり、アクセス頻度が低いデータを大容量で安価なニアラインディスクへ配置したりする。自動でデータを再配置することで、高速な処理と効率的なリソース運用が実現すると同時に、データ管理工数を削減し、運用コストの低減が可能だ。

ストレージへのI/Oアクセス先を自動で切り替える「Storage Cluster」

事業継続性を実現する機能では、「Storage Cluster」に注目したい。これはストレージへのI/Oアクセス先を自動で切り替える機能で、通常運用時はPrimaryとSecondaryのストレージでデータを同期する。そして万が一、Primaryのストレージでトラブルが発生した場合には、管理サーバが異常を検知して瞬時に切り替えるというものだ。

以前はサーバのトラブル時に備え、HA構成で業務の可用性を高めるのが一般的だったが、ストレージ自体に外部要因などでトラブルが発生した場合には業務停止によるビジネス機会損出の可能性がゼロではなかった。しかし「Storage Cluster」は、ストレージへのI/Oアクセス先を自動で切り替えて業務を継続する。そのため24時間、365日のシステム運用が可能になり、ビジネス機会損失を抑制できる。

そして、これらETERNUS DX S3 seriesの各機能は、ETERNUS SF Storage Cruiser 16により監視/制御されている。

最大容量5.6TBのSSDキャッシュ「Extreme Cache」

もう1つ特筆すべきは、性能向上だ。ETERNUS DX500 S3/DX600 S3はコントローラー内蔵型SSDキャッシュ「Extreme Cache」をサポートしている。これはPCI-Express(PCIe)接続のSSDキャッシュで、コントローラー内に大容量キャッシュの搭載を可能にすることで、リードアクセス時のキャッシュヒット率を飛躍的に向上させる。最大容量は5.6TB(テラバイト)。これにより、要求性能に対して必要となるディスクドライブが大幅に削減できる。

Extreme Cacheは、最大5.6TBまで搭載可能

石浦氏は「例えばExtreme Cacheのキャッシュヒット率30%の場合、オンラインHDD 100台を搭載した場合とオンラインHDD 100台にExtreme Cache 4台を追加した場合を比較すると、最大4倍の性能向上が見込める。つまり、小数のExtreme Cacheを追加することで、大幅に性能が向上するのだ。また、要求性能を実現する際にHDDのみの構成と比較し、小数のExtreme Cacheと少数のHDD構成で実現できるようになるため、搭載HDD本数を大幅に削減可能だ。低消費電力化が大きな課題となっている仮想化環境構築にとって、非常にメリットとなるだろう」と語る。

Extreme Cacheが最も実力を発揮するのは、VDI(デスクトップ仮想化)環境におけるBoot Storm問題の解決だ。「クライアント端末の起動が集中する始業時間帯は、大量のリード処理が発生する。そのような状況下でもExtreme Cache活用で業務性能を確保すれば、ユーザーがストレスを感じることなくクライアント端末を起動できる」と語る。

発表間もないオールフラッシュアレイ「ETERNUS DX200F」の展示も

そして、性能向上で今後目が離せない製品としては、2014年 5月8日に富士通から発表された「FUJITSU Storage ETERNUS DX200F」だ。同製品は、データの記憶媒体にSSDを搭載したオールフラッシュアレイである。富士通フォーラム2014でも早速、実機が展示されていた。

データベースや仮想化環境で実際に多く使用されている、ブロックサイズ(サーバとストレージ間でデータをやりとりする際のデータのサイズ)が8キロバイト以上のアプリケーションにおいて、高いパフォーマンスを発揮するようアーキテクチャが最適化されている。石浦氏は、「ビッグデータの高速分析や、上述のVDI環境におけるBoot Storm問題の解決にも活用できる」と適用シーンの例を挙げた。

5月8日発表されたばかりのオールフラッシュアレイETERNUS DX200F

高性能なデータベース統合を実現するUNIXサーバ「SPARC M10」

高性能なデータベース統合を実現するUNIXサーバ「SPARC M10」

ビッグデータ活用の必要性が説かれて久しい。ビジネスにスピードと柔軟性が要求される現在、意思決定の精度向上や、新規事業を創造するために必要なのは、データベースや基幹系システムといったビジネスデータとビッグデータを融合し、リアルタイムで分析/活用できるICT基盤である。

つまり、基幹系サーバには、膨大なデータを高速処理する性能だけでなく、柔軟で効率的に資源増強できる環境が求められるのだ。もちろん、既存のデータベースも活用できなければならない。

こうした条件をすべて満たしているのが、UNIXサーバの「SPARC M10」である。

「SPARC M10」。写真は、システム全体で最大コア数1024の「SPARC M10-4S」

SPARC M10はプロセッサにマルチコア・マルチスレッドの「SPARC64 X」「SPARC64 X+」を採用。インメモリによるデータベースの高速リアルタイム処理を実現し、メモリは1CPU当たり最大1TBまで、システムでは最大64TBまでサポートしている。プロセッサにI/Oインタフェースを内蔵した「System on Chip」や、従来はソフトウェア上で行われていた処理をプロセッサ上に組み込む「Software on Chip」などの機能拡張で、前世代のSPARC64 VII+よりもSPARC64 Xは7.5倍、SPARC64 X+は9.5倍の性能向上を実現している。

SPARC64 X+。1プロセッサに16個のコアを搭載。
マルチスレッド対応なので、1プロセッサで32スレッドを搭載している計算だ

Oracle Database 9iから12cまでを1台で運用

SPARC M10は異なるバージョンのデータベースを統合できる。具体的には、Oracle Databaseの旧バージョン(9i/10g/11g)から最新バージョンである12cまで、すべて1台のサーバで運用可能。さらにSolaris8以後の稼動資産も最新サーバに統合できる。

また、リソース管理ソフトウェア(ServerView Resource Orchestrator)との連携で、PCサーバ/ストレージも含めたシステム全体の統合管理が可能。サーバの起動/停止/リブートをはじめ、サーバの状態監視/表示も統一されたGUIで管理することが可能となっている。

実際、データベースのレスポンス改善や、統合/運用管理で悩みを抱えている企業は多い。特に、従来の大規模データベース環境は、データを複数のデータベースに分割して管理しているケースがほとんどだ。しかし、これではノードをまたぐデータのやり取りでボトルネックが発生し、レスポンスの高速化や効率的なCPU利用を実現することは難しい。

専門スタッフによる性能最適化サービスも

高速データベースが持つ性能を最大限に発揮するためには、データベースを熟知した専門スタッフによるチューニングが欠かせない。そうしたニーズに応えるサービスが「SPARC M10 高速データベースオファリング」である。

同サービスは、サーバにSPARC M10、ストレージにETERNUS series、データベースにOracle Database(+Oracle Real Application Clusters)を組み合わせ、最適化された高速データベースシステムオファリングとして提供するものだ。

富士通プラットフォーム技術本部プロダクトソリューション技術統括部の高橋裕氏は、「同じコア数のUNIXサーバと比較しても、SPARC M10を"核"とした高速データベースオファリングは、その性能向上には自信がある。例えば、『HP Superdome 2』から移行されたお客様は、バッチ処理時間が10分の1に短縮した」とその効果を強調する。

また、業務量の増加に応じてCPUコアをアクティベーションする「CPUコア アクティベーション」に対応している。サーバの使用開始当初は、最小限のコアでソフトライセンスを削減し、必要になった時に簡単なライセンス追加でシステムを増強することで、初期投資を抑制することが可能。業務拡張や異常時にも柔軟に対応できるのも、大きなメリットといえるだろう。


SPARCについて説明した富士通 プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部の高橋裕氏

購入前にパフォーマンス検証を希望する場合には、同社検証施設である「富士通トラステッド・クラウド・スクエア」で行われる。同施設には高速データベースシステムオファリングの構築済み検証環境が用意されているという。

なお、展示会場内のセミナースペースでは、SPARC M10を解説するセミナーも開催していた。しかし、参加受付開始後まもなく定員に達してしまい、当日参加できなかった技術者も多かったようだ。富士通では、そうした来場者に対して、『富士通だからできる、一歩先のデータベースクラウド環境』と題するセミナーを6月13日に開催予定だ。詳細は富士通の案内ページをご覧になってほしい。

富士通フォーラム 2014 レポート

「富士通フォーラム 2014」のレポートを以下にも掲載しております。併せてご覧ください。


「株式会社 毎日コミュニケーションズ マイコミ」2014年5月29日 掲載記事より転載。
本ページで掲載されている内容は、掲載日時点のものです。

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