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ビッグデータ時代に求められるストレージ技術とは - 富士通フォーラム

鈴木恭子   2014年6月5日

ビッグデータ時代のストレージシステム要件とは

5月15日から2日間の日程で開催された「富士通フォーラム 2014」(会場:東京国際フォーラム)では、同社が開発/提供するICTソリューションの展示や製品/技術動向を紹介する各種セミナーが催された。

90に及ぶ講演のなかで特に人気を集めたのが、肥大化するデータを最適な投資で効率的に活用するノウハウにフォーカスしたセッション「ストレージ活用の最適化によるICT運用の変革」である。ここでは満員となった同セッションの内容を紹介しよう。

最新のストレージ技術について解説した『ストレージ活用の最適化によるICT運用の変革』は、
早々に定員オーバーとなる人気ぶり

ビッグデータ時代のストレージシステム要件とは

富士通は今フォーラムのテーマに、「Human Centric Innovation」を掲げている。これは、人が快適に活動できる環境の実現に主眼を置き、ICTによって知恵の創造や生活の質の向上を支援する取り組みである。

こうした取り組みには、ビッグデータの利活用が不可欠である。近年は、モバイルデバイスの普及やソーシャルメディアの浸透、さらにIoT(Internet of Things)の台頭などにより、膨大かつ多様なデータが蓄積されている。同社の調査によると、こうしたビッグデータは、2013年の4ZB(ゼタバイト)から2020年には約10倍に増加すると予測されている。

スピーカーを務めた富士通 プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部 シニアディレクター 荒木純隆氏は、「ビッグデータが価値を生むものとして蓄積/活用される今、データ管理基盤となるストレージ・プラットフォームに対する要件も変化している」と指摘する。


富士通 プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部 シニアディレクターの荒木純隆氏

荒木氏は、ビックデータに対するストレージシステムの課題として、「多様化するインフラ環境への対応」「高負荷環境への対応」「インフラへの投資コスト最適化」を挙げる。仮想統合基盤で効率的なデータの保管/管理/分析を実現し、高負荷環境でも安定したパフォーマンス/レスポンス性能を発揮する。さらに、ディスク増設コストや消費電力も抑制できる環境が求められているというのだ。

こうした要求を満たすのが、「ETERNUS DX S3 series」を核とした「ETERNUS」製品群であると荒木氏は説く。「データ運用からバックアップ、ストレージ管理までを網羅し、多様化するさまざまな業務に対応する。ETERNUS(製品群)は、ビッグデータ時代を支えるプラットフォームであると同時に、ビッグデータ時代におけるインフラ環境の主流である仮想化環境が抱えるシステムの課題を解決し、管理者負担を劇的に低減させるものだ」(同氏)。

富士通のストレージ製品提供ロードマップ。
基幹系からストレージ管理系まで、すべての分野を網羅している

仮想化環境の課題を解決、キーワードは「自動化」

サーバ仮想化技術の普及から、基幹系/情報系を問わず、システム基盤を仮想化環境で統合する企業が増加している。それに伴い、新たな課題も浮き彫りになってきた。それは、あらゆる業務が混在することで、活用状況に応じたリソース/データの最適配置が必要になることだ。以前はこうした性能配分やリソースのチューニングは、個別設定が必要だった。しかし、スピードと柔軟性が求められる現在においては、それらを手動で行うのは難しい。

荒木氏は、「そうした課題を解決するのが、ETERNUS DX S3 series/ETERNUS SF Storage Cruiser 16が提供するストレージ自動階層制御の機能と、QoS(Quality of Service)自動化機能だ」と説明する。

ストレージ自動階層制御は、アクセス頻度の高い業務データはレスポンス時間の短いSSDへ配置し、保管が主な目的のデータであれば、低コストのニアラインディスクへ配置する。こうした再配置を自動で行うことで、パフォーマンス向上と、保管/管理コスト低減を実現するものだ。荒木氏によると、ストレージ自動階層制御の導入で、従来のバッチ処理時間を80~50%も短縮できた製造業もあるという。

アクセス頻度に合わせて、データを最適なドライブに
自動で再配置する「ストレージ自動階層制御」機能

一方、QoS自動化機能は、業務の優先度に応じてI/O性能を自動チューニングするものだ。優先業務のボリュームに必要なレスポンスタイムを設定するだけで、I/O性能の自動チューニングが可能。優先度の高い業務(アプリケーション)のI/Oを優先させることができるため、他業務のI/O負荷変動の影響を受けることなく安定したパフォーマンスを保つことができる。

また荒木氏は、「自動化と同様に大切なのが、業務継続性の確保である。ETERNUS DX S3 series/ETERNUS SF Storage Cruiser 16はストレージシステムでトラブルが発生した場合、管理サーバが異常を検知してサーバからストレージへのI/Oアクセス先を自動でSecondaryのストレージへ切り替え業務を継続できる『Storage Cluster』機能が備わっている」と語る。

より確実な24時間、365日のシステム運用が可能になり、ビジネス機会損失の抑制を実現できる。

増加するVDIに対処する「Extreme Cache」と「SAN/NAS統合ユニファイド」

仮想化環境でもう1つ留意すべきは、VDI(デスクトップ仮想化)である。

情報漏えい防止やコンプライアンス対応、さらにワークスタイルの多様化などから、クライアント端末に実行環境を持たないVDIの導入は加速している。

しかし課題となるのが、Boot Storm問題だ。特に起動が集中する始業時間帯は、大量のリード処理が発生する。

荒木氏は、「VDI環境では、『大量のリード処理性能』『データストアに対するアクセスを制御する排他制御』『ファイルサーバ領域の共有』といった機能が要求される」と指摘する。

大量のリード処理は、前述したストレージ自動階層制御のほか、ETERNUS DX S3 seriesの最新フラッシュテクノロジーである「Extreme Cache」が有効な"解"となる。これはコントローラー内蔵型のSSDキャッシュであり、リードアクセス時のキャッシュヒット率を大幅に向上させるものだ。例えばExtreme Cacheのキャッシュヒット率を30%で算出した場合、オンラインHDD 100台を搭載した場合とオンラインHDD 100台にExtreme Cache 4台を追加した場合を比較すると、最大4倍の性能向上が見込める。また、キャッシュという機構は一時的な負荷変動に対し迅速に対応できる特徴がある。

また、ファイルサーバ領域の共有で注目したいのが、「ユニファイドによるSAN/NAS統合」である。従来であればSANストレージとNASストレージを共存させるには、NASゲートウェイを導入する必要があった。

しかし、ETERNUS DX S3 seriesでは、NASゲートウェイを導入することなく、同一筐体内にSANストレージ領域とNASストレージ領域を共存させられる。両領域をETERNUS DX S3 seriesに集約することで、管理者負担の低減だけでなく、スペースも電力消費も抑制できるのだ。

仮想化環境でもう1つ考慮しなければならないのが、バックアップにかかる運用負荷の低減である。データ量が膨大になった結果、従来の手法ではバックアップ用ディスクのサイズやバックアップ処理にかかる負荷も大きくなってしまう。これを解決するためには、重複排除ストレージが多く利用されており、特に仮想化環境では重複排除の効果も高いため有効である。富士通の製品群においてこの重複排除を実現するのは、「ETERNUS CS800 S4デデュープアプライアンス」である。なお、ETERNUS CS800 S4デデュープアプライアンスのデータ量の削減率は最大で90%である。

サーバに負荷をかけない重複排除/圧縮で、最大90%のデータ量が削減可能だという

高速/高密度/低消費電力化で新データセンターに対応

ビッグデータの高速分析が要求される中では、高負荷環境でも安定したレスポンス性能が求められる。それを実現するのが、オールフラッシュアレイの「ETERNUS DX200F」だ。

毎秒12ギガビットの転送能力を持つSASインタフェースを採用したことで、I/O負荷が高い環境においても0.5ms(ミリ秒)という低いレイテンシを実現している。ディスクのみで構成した「ETERNUS DX200 S3」と比較すると、消費電力を90%、設置スペースを最大50%削減しているという。

ブースに展示された「ETERNUS DX200F」(詳細は展示ブースレポートを参照)

ETERNUS DX S3 seriesにも、省スペース化と低消費電力化を実現する機能が備わっている。「高密度ドライブエンクロージャ」は、HPCやアーカイブの大容量用途に最適だ。荒木氏は、「従来と比較し、1UあたりのHDD搭載数は2.5倍、設置面積は50%以下に低減している」と説明する。

同じくブースに展示された「高密度ドライブエンクロージャ」(詳細は展示ブースレポートを参照)

また、従来モデルから搭載されているMAID技術を応用した「エコモード」も改善された。これまでバックアップ用HDDなど使用しない時間帯はディスク回転を停止させ電力を抑えていたが、加えてHDD制御基板への電源供給も停止することで、さらなる消費電力の低減も図られているという。

荒木氏は「ETERNUS DX S3 seriesは新データセンターが要求する機能/要件をすべて備えている。前述した機能/性能向上のほか、高密度実装や低消費電力、高効率な電源といった要求にも応えられる」と、そのアドバンテージを強調する。

MAID技術の進化により、電力消費量のさらなる削減

加速する技術の進化には「インフラと業務の分離」で対応

では、目指すべきビックデータ時代の仮想化統合基盤とはどのようなものだろうか。

荒木氏は、「物理システム/サイロ型の仮想化システムを解消し、全体最適化を実現できる仮想化統合基盤だ。そのためにはサーバ、ストレージ、ネットワーク、ハイパーバイザーなど、一定期間でリプレースが必要なICTインフラを仮想化統合基盤で統合して業務と分離させる。そして、その基盤上でさまざまな業務システムを運用できる環境が必要だ」と説く。

インフラと業務とを分離させることで、TCOを削減し、効率のよいICTインフラ投資や、ICTガバナンスの強化を実現するのが最適であるというのが、同氏の、そして富士通の"解"である。

とはいえ、こうした環境構築をすべて自社で実行できる企業は少ないだろう。富士通ではそうした企業に対し、現在のインフラ環境(物理システム/サイロ型の仮想化システムやストレージ環境)を把握/分析したうえで最適な環境を提案する「仮想化アセスメント」と「ストレージアセスメント」を提供している。現在の環境に課題を抱えている企業は、「状況を理解し、課題を棚卸しする」といった観点からも、ぜひ一考してみる価値はあるだろう。

最後に荒木氏は、「技術進化のスピードは加速している。そうした状況では、テクノロジーの進化を見据えたインフラ計画が不可欠だ。時期を見誤らず適切に導入することで、コストの最適化も可能になる」と語り、講演を締めくくった。

富士通フォーラム 2014 レポート

「富士通フォーラム 2014」のレポートを以下にも掲載しております。併せてご覧ください。


「株式会社 毎日コミュニケーションズ マイコミ」2014年6月5日 掲載記事より転載。
本ページで掲載されている内容は、掲載日時点のものです。

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