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Fujitsu

Japan

第三章 仮想化機能の強化とエコの見える化

メインフレームに匹敵する高信頼性への挑戦

仮想化のスムーズな利用を可能にするメモリとI/Oの拡張性

-- 運用管理コストの削減などの観点から注目される、仮想化によるサーバ統合に対して機能強化された点はありますか?

須江: 今後もサーバの集約はどんどん進んでいくだろうと考えています。今回、仮想化のニーズに対応するために、第3世代のDDR SDRAM規格、DDR3テクノロジの採用や、外付けのPCIボックスのサポートなど、パーティションで分轄してもメモリ量やI/Oの足回りにおける拡張性を十分確保できることを意識して開発を行いました。先進的なテクノロジを採用する事で全体的に性能は向上しています。

富士通株式会社
IAサーバ事業本部 第二サーバ事業部
《装置開発担当》 西野 秀治

西野: いまCPUの性能はどんどん上がってきていて、たくさんのゲストOSをのせることが可能になっています。仮想化を利用したいというお客様にとってネックとなっているのはメモリの容量です。それぞれのゲストOSに対して必要なメモリというのはあるわけで、それをどう確保するか。リッチメモリにとことんこだわった理由もその点です。今回、1CPUあたりDIMM(メモリ・モジュール)が16枚、1枚のシステムボードに最大32枚も搭載するというのは、構造上、非常に厳しい条件でした。

河野: CPUやメモリの数が増えるほどに容量も増え、それなりの電源も必要になります。そうすると熱も問題になります。冷却を重視すれば伝送の距離が長くなってしまいますし、逆に伝送を重視すれば冷却の効率が上がりません。冷却と伝送の両面が最適な組み合わせを探すのはかなり難しかったです。

石田: 1CPUあたりDIMM16枚は、今回の設計上の上限です。そこを目指すためにいままでの経験が活きています。たとえば、あと数ミリなら伝送の距離を延ばしてもいいという意見もあれば、これ以上、長くしては冷却効率が上がらないという意見もあります。設計者が自らの判断基準を試される局面はいろいろとでてきます。判断を的確に行うためには、シミュレーションの結果に加え、これまでの経験から得たノウハウが大切です。ノウハウは簡単に蓄積されるものではありません。継続して設計を行うことが大事です。

POINT

「仮想化の利用においてネックとなっているのはメモリの容量。リッチメモリにとことんこだわり、今回の設計上の上限である1CPUあたりDIMM16枚を実現。」

[1CPUあたりDIMMが16枚、1枚のシステムボードに最大32枚搭載可能]

エコの見える化により細部に渡ってきめ細かなグリーンICT対策を実現

-- これからのICTインフラを考える場合、グリーンICT対策の強化も欠かせません。

須江: 今回、信頼性、性能、仮想化に加えて、地球環境保護への対応強化も重要な強化ポイントの1つでした。性能面の向上と地球環境保護への対応は、相反する部分もあります。先ほど冷却と伝送に関する課題についての話がありましたが、冷却に関してはサイズも大きく関係してきます。大きさが従来の1/3になったことで熱の密度は上がります。従来よりも消費電力を削減するためにクリアすべき技術的ハードルは非常に高くなりました。

-- どのような技術的工夫で消費電力の削減を図ったのですか?

石田: たとえば、冷却に関しては、各ユニット内部に設置した温度センサの情報に基づき、電力を効率的に使う仕組みを標準機能として搭載しています。パーティションの各ユニットは、時間帯によっては半分しか動かさないなど、同時に全部動かさないケースもあります。動いているユニットの状況に応じて、ファンの回転速度を多段階できめ細かく制御できれば電力の無駄を削減できます。当初の予想とは違うところが発熱ポイントだったり、実際に動かしてみて改善を繰り返しました。

[ファン回転速度の多段階制御による効果]

河野: 各ユニットをどの位置に置くのが最適なのか。全体をかたちにするまでが非常に大変でした。構造を考える上では冷却も重要なポイントです。筐体内の風の流れを分析しシミュレーションして風の流し方を工夫しました。

POINT

「動いているユニットの状況に応じて、ファンの回転速度を多段階できめ細かく制御し電力の無駄を大幅に削減。また冷却効率を高めるために風の流し方も工夫。」

-- 温度センサなどによるエコの見える化はきめ細かな取り組みにつながりますね。

西野: 従来も吸気温度の表示などは行っていましたが、今回、消費電力や冷却ファンの排気風量のモニターも搭載しています。将来、データセンターにおける冷却に関する情報として活用できることも考慮した機能です。

小泉: 電源も供給能力が100%でなくても足りるケースがあります。当然、半分しか動いていなければ半分の電力で済みます。必要十分な数の電源ユニットだけオンにして不要なものは電源を切ってしまうという工夫もしています。

須江: その他にも特筆すべき点として、今回、大型サーバクラスではいち早く実装において無鉛ハンダを採用しています。また、電源システムの開発にあたり業界最高水準の高効率化を実現するべく、新回路方式を考案し実用化しています。これにより前機種比で消費電力を約40%削減、変換効率93%を達成し、電源ユニットに対する認証制度「80 PLUS」における80 PLUS GOLDを取得しました。大型サーバで80 PLUS GOLDを取得した電源を使用しているケースはまだほとんどありません。

80PLUS

80PLUS:
米国EPRI( The Electric Power Research Institute, Inc.)が作成した電気機器の省電力化を推進するプログラム。80PLUS認証製品は、その名のとおり変換効率80%以上を実現している製品。ランクは80 PLUS BRONZE、SILVER、GOLD、PLATINUMの4段階。GOLDの取得では、電源の負荷率が20%、50%、100%のそれぞれの場合に、変換効率が88%、92%、88%を満たさなければならないという極めて厳しい条件となっている。

POINT

「消費電力や冷却ファンの排気風量などのモニターを搭載、さらに実装における無鉛ハンダの採用、電源ユニットの80 PLUS GOLD認証取得など、細部に渡ってグリーンICT機能を強化。」

実際に利用されているお客様の声を反映して細かな改善を実施

-- 使いやすさなどでの改善点はありますか?

石田: 今回、予備のシステムボードは、待機中に利用することも可能になりました。たとえば、開発用途などに利用して、本番の業務で使っているシステムボードが故障した場合、開発系で利用しているパーティションのシステムボードを本番用に自動的に組み替えることができます。
この件は、当社で推進している製販一体の活動の中で、実際にPRIMEQUESTを利用しているお客様のSEに対して、次期PRIMEQUESTに関する説明会を行う中で寄せられた意見の1つです。

[予備システムボードの効率的な活用]

西野: 開発をスタートするにあたり、実際にご利用いただいているお客様から寄せられたご要望について、その1つ1つをチェックしました。すべてを一度に実現できるわけでありませんが、優先順位をつけてお客様にとってメリットが大きいと考えられるものについてはすべて盛り込みました。
細かい改善点は目立つものではありませんが、これからもシステムが動いている現場を意識して開発を行っていきたいと思います。

POINT

「待機中の予備システムボードも使用可能になるなど、実際にご利用いただいているお客様の声を活かした改善を随所に実施。」

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