グローバル人材育成に努める立命館アジア太平洋大学。同大学の事務情報システムでは、業務繁忙対応のためのサーバ配備に多くの手間がかかるなどの課題を抱えていました。そこで、富士通のプライベートクラウド統合パッケージ「Cloud Ready Blocks」の導入によって、事務情報システム基盤に短期間でプライベートクラウドを取り入れ、事務情報システムの強化を図りました。それにより、サーバ配備期間を5日から1日に短縮するなど、業務効率化を実現し始めています。今後も大学の競争力強化につながる業務効率化を推進するため、プライベートクラウドをより幅広く有効活用していく考えです。
[ 2013年3月15日掲載 ]
業種: | 私立大学 |
---|---|
製品: | プライベートクラウド統合パッケージCloud Ready Blocks |
1 | 学生の個人情報など重要な学内データを保全しながら事務情報システム基盤を強化したい | 学内にプライベートクラウド基盤を導入することで、セキュリティレベルを維持しつつ、パッケージ製品の活用により短期間での構築を実現 | |
2 | サーバのリソース集約や効率的なシステム環境の整備を図りたい | サーバリソースの払い出しが容易なプライベートクラウド活用により、配備期間を5日から1日に短縮、業務繁忙などへの迅速な対応が可能に | |
3 | エクセルなどで行っていた個別業務をシステム化し効率化を図りたい | プライベートクラウド基盤を導入したことにより、仮想環境上に個別業務のシステム化が可能となり、TCOを抑えながら業務の効率化を実現 |
約80カ国・地域の学生約5,600名が勉学に勤しむ立命館アジア太平洋大学は、アジア太平洋地域の未来を担うグローバル人材を育成しています。そして、国際的な大学として様々な取り組みを行っていく上で、また業務の効率化を図る上で、ICTの利活用は欠かせないと考えています。
立命館アジア太平洋大学の学内システムの管理・運用を担当する情報システム課 佐久間 晃氏は「ICTを有効利用し、いかに業務を効率化できるかが常に問われます。日々利用する事務情報システム群もそのひとつです」と語ります。
しかし、業務効率化を推進する上で、従前の事務情報システム群には主に2つの課題がありました。1つめの課題は、サーバのリソース集約や効率的なシステム環境の整備です。立命館アジア太平洋大学では、履修が半年で完結し、2つの学期で1年が構成されるため、業務繁忙期のサイクルも半年周期となり、その都度、サーバの一時利用・増強やテスト環境を構築する必要があり、さらなる効率化を推進していく必要がありました。
佐久間 晃氏
学校法人立命館
情報システム課
「一例として、年に2回の受講登録時のアクセス集中のためだけに10台のサーバを所有していることが課題としてあげられます。そうしたサーバ配備への準備・対応に、多くの時間とコストを要していました」(佐久間氏)
2つめの課題は、個別業務のシステム化です。日々の業務の中には、エクセルやアクセスなどを用いて管理を行っているものもあり、その中には業務効率化の観点で標準化したほうがよい業務もありましたが、コストや工数の面から、なかなかシステム化に踏み切れませんでした。
「職員がエクセルなどを駆使して行っている個別業務についても、より簡易な仕組みで環境構築ができれば、業務の効率化やシステムの標準化のメリットが生まれると考えました」(佐久間氏)
このように、業務効率化につながるシステム環境の整備を今まで以上に推進していく必要があると感じていた佐久間氏は、事務情報システム基盤強化につながるソリューションを模索し始めます。
具体策として佐久間氏が着目したのがクラウド活用です。業務繁忙などに伴いサーバ配備を短いサイクルで求められる場合でも、サーバリソースを仮想的に払い出せるクラウドなら柔軟に対応可能です。また、セキュリティの面から、プライベートクラウドが最適であると考えました。
「学生の個人情報など重要データの学内保全の観点から、学内に配備し、しっかりとリスク管理ができるプライベートクラウドであることを大前提として、導入検討を始めました」(佐久間氏)
立命館アジア太平洋大学が事務情報システム基盤のさらなる増強を検討していた最中に、富士通から「Cloud Ready Blocks」の提案を受け、具体的に検討を開始することになります。
「Cloud Ready Blocks」採用の決め手となったのが、検証済みのハードウェアとソフトウェアがセットになっており、高品質なプライベートクラウド基盤を容易、かつ低コストで導入できる点です。
「プライベートクラウドの基本機能がパッケージ化されており、短期間で導入できる点に惹かれました。情報システム課では、プライベートクラウド活用でどのような課題が解決できるか、どのようなメリットが得られるのかをまず検証したいと考えていました。容易に導入できるCloud Ready Blocksは、そうしたニーズにマッチしていました」(佐久間氏)
また、簡単な操作によってサーバリソースを手軽に利用者に提供できることはもちろん、富士通側でプライベートクラウドの基本設定が済んでいるので、立命館アジア太平洋大学では既存の学内システムとの連携に注力でき、トータルでの構築期間の圧縮・コスト低減につながった点も高く評価されています。
加えて、Web画面の自動生成機能などを備えた富士通のWebシステム開発ソリューション「RapidWeb+」を「Cloud Ready Blocks」上で利用することで、これまでシステム化に踏み切れなかった個別業務を、コストを抑えながら、より短期間でシステム化できることも導入のポイントになりました。
「Cloud Ready Blocks」は2012年3月にプライベートクラウド基盤として導入され、すぐに利用を開始しました。同製品の導入によって、従前の課題解決が実現しつつあります。
まず、一時利用・増強やテスト環境向けのサーバの迅速な配備が可能となりました。
「従来多くの手間がかかっていたサーバ配備のプロセスがシンプル化・標準化されました。おかげで、これまで5日を要していたサーバ配備期間が1日に短縮でき、サーバ配備の要求に迅速に応えられるようになりました」(佐久間氏)
また、一部のバッチ処理を「Cloud Ready Blocks」上の仮想環境に複数台のサーバを立て並行処理できるようになった結果、従来1日を費やしていた処理が数時間に短縮されたなど、職員の業務効率化に直結した例も出始めています。
個別業務のシステム化という課題については、「今までエクセルやアクセスで行っていた業務を、順次Cloud Ready Blocksへ移行することを検討しています。RapidWeb+を活用することで、それらの開発期間・コストの低減も果たせるでしょう」と佐久間氏は話します。現在は寮費管理、教室管理、WSUS(Windows Server Update Services)などのシステムが「Cloud Ready Blocks」上で稼働し始めています。
立命館アジア太平洋大学では、学内のシステム課題を集約する制度を2012年に立ち上げました。現在、既存システム改修を含めた要望を集約しており、それに応える手段のひとつとして、プライベートクラウド環境を整備していく考えです。
「Cloud Ready Blocks」によるプライベートクラウド活用はまだ始まったばかりですが、佐久間氏はICT利活用による業務効率化への可能性を感じています。
「大学内のサーバリソースの集約・効率化を行い、省電力・省スペースを推進していきたいと考えています。今後はその解決にも、Cloud Ready Blocksの適用を検討していきます。国際大学としていろいろな課題にチャレンジする上で、教育プログラムの配備に柔軟に対応できるプライベートクラウドの活用を考えていきたいですね」(佐久間氏)
アジア太平洋地域の未来を担うグローバル人材を輩出している立命館アジア太平洋大学。同大学の取り組みを、富士通はプライベートクラウドをはじめとする技術とノウハウで支え続けて参ります。
設立 | 2000年4月 |
---|---|
設置者 | 学校法人立命館(大分県、別府市との公私協力による) |
学生数 | 5,555名(2012年11月1日現在) |
概要 | 「自由・平和・ヒューマニズム」「国際相互理解」「アジア太平洋の未来創造」を理念とする日本初の本格的な国際大学。大分県別府市のキャンパスに、アジア太平洋学部と国際経営学部の2学部を擁す。大学院はアジア太平洋研究科と経営管理研究科。
|
ホームページ | 立命館アジア太平洋大学 ホームページ |
本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。