プレスリリース
2023年8月7日
富士通セミコンダクターメモリソリューション株式会社
125℃動作, I2Cインターフェースの512KビットFeRAMを開発
~ 高温環境下での信頼性を保証する車載向け、産業機械向けの不揮発性メモリ ~
富士通セミコンダクターメモリソリューション株式会社(注1)は、125℃での動作を保証するI2CインターフェースのFeRAM(注2)製品としては最大メモリ容量となる512KビットFeRAM「MB85RC512LY」を開発し、評価サンプルの提供を開始しました。(図1)
本製品は125℃の高温環境下においても、低動作電流および10兆回のデータ書換え回数を保証する不揮発性メモリです。先進運転支援システム(ADAS)を代表とする車載向けや産業用ロボット向けに適しています。(図2) プラットフォームにI2Cインターフェースを採用しているお客様は、本メモリ製品を使用することで大きな設計改修をせずに最終製品の開発ができます。
当社は2017年から125℃まで動作保証するFeRAMとして、64Kビット~4Mビットの製品を提供してきました。ただし、これまで提供してきた製品はすべてSPIインターフェースだったため、すでにI2Cインターフェースのプラットフォームにてメモリを使用しているお客様にとっては、最終製品のインターフェースを再設計しなければいけないという課題がありました。
このような背景を受けて、当社はI2Cインターフェースをもつ高温動作のFeRAMの開発を進め、今回1.8Vの低電源電圧で動作する512KビットFeRAM「MB85RC512LY」を開発しました。
本製品は、1.7V~1.95Vの低電源電圧で動作する512Kビットの不揮発性メモリです。最大3.4MHzで動作したときの動作電流は最大0.4mAのため、動作電力は非常に小さいです。また、-40℃~+125℃の温度範囲においても10兆回のデータ書換え回数を保証しています。この特性は、リアルタイムなデータ記録を必要とする用途に適しており、たとえば0.03ミリ秒毎にデータを書き換えたとしても10年間同じアドレスにデータを記録し続けることが可能です。
もし、メモリをご使用中のお客様が、以下のような課題をお持ちの場合には、今回の新製品によって解決できる場合があります。(図3)
図3:お客様の課題の解決案
- ケース1)これまでI2Cインターフェースのシステムを設計していたお客様
課題:高温条件にてFeRAMを使いたいが、125℃動作でI2CインターフェースのFeRAMが無い
解決案:I2C品の登場により、インターフェースの大幅変更なしで新規設計が可能 - ケース2)高温動作の512Kビット品がないため、大容量品の購入を検討していたお客様
課題:適切なメモリ容量の製品が無いため、大容量品のメモリを購入するしかない
解決案:必要なメモリ容量の512KビットFeRAMを購入することで、不必要な部品コストを削減 - ケース3)高温動作のEEPROMをご使用のお客様
課題:データの書換え回数が100万回のため、設計に制限がある
解決案:書換え回数が10兆回のFeRAMにより、設計工数を低減
車載グレードのFeRAM製品はI2CおよびSPIインターフェースの製品がそれぞれ3.3V動作と1.8V動作のバリエーションがあります。MB85RC512LYのリリースにより、AEC-Q100準拠のFeRAM製品ファミリーは、1年前のラインナップと比べると新規に7品種も増えています。そして、現在1Mビットの新製品4品種も開発中です。(図4)
富士通セミコンダクターメモリソリューションでは、お客様のアプリケーションは多岐に渡るため必要なメモリ容量にもバリエーションが必要と考えています。当社は、今後もお客様のアプリケーションの価値と利便性を向上させるために最適なメモリ製品とソリューションを提供します。
図4:車載向けFeRAMのラインナップ
主な仕様
製品名 | MB85RC512LY |
---|---|
容量(メモリ構成) | 512Kビット(64K x 8ビット) |
インターフェース | I2C(Inter-Integrated Circuit) |
動作周波数 | 3.4MHz(最大) |
動作電源電圧 | 1.7V~1.95V |
動作温度範囲 | -40℃~+125℃ |
書込み/読出し保証回数 | 10兆回(1013回) |
パッケージ | 8ピンDFN、8ピンSOP |
低消費電力 | 動作電流(最大)0.4mA
スタンバイ電流(最大)150µA |
注釈
- 注1富士通セミコンダクターメモリソリューション株式会社:
本社 神奈川県横浜市、代表取締役社長 曲渕 景昌。 - 注2FeRAM:
Ferroelectric Random Access Memory
強誘電体メモリ。強誘電体膜をデータ保持のキャパシタに利用したメモリ。電源を切っても内容を保持する。データの高速な書込み動作、低消費電力、書換え回数が多いといったROMとRAMの長所をあわせ持つ。当社では、1999年より量産開始。
商標
- 記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
お問い合わせ先
電話でのお問い合わせ
-
富士通セミコンダクターメモリソリューション株式会社
マーケティング部045-777-5700(代表)受付時間:平日9時~12時、13時~17時 (土曜、日曜、祝日、年末年始、当社指定休日は除く)
Webでのお問い合わせ
-
お問い合わせ窓口
入力フォームへ当社はセキュリティ保護の観点からSSL技術を使用しております。
プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容などは発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。