試行錯誤の末、生み出された「ひょうたん形状」の補強材構造。しかし、リネン市場の要求は更なる低コスト。いかに市場の要求に応え、製品化を実現できたのか。
第一世代のソフトリネンタグは機械強度に強く、お客様からのクレームは一度もなかった。
しかし、複雑な層構造のため、手作りでのスタートとなり、出荷数量が増えればその分、作業員を増やす対応を余儀なくされた。このため、熟練作業員の確保、手作り故の歩留まりの低さ、コスト高が課題として残った。
リネン市場では低コストのHF帯コインタグと競合し、市場拡大の為には低コスト化が必須条件となった。
第一世代のソフトリネンタグ
一括読み取りでの業務効率化による投資効果を主張したが、市場からはHF帯コインタグ以下の価格を要求された。
上記課題への解決と更なる市場拡大に向け、第二世代のソフトリネンタグの開発を2007年にスタートした。
コスト1/3と熱圧着シートへの対応を目標とした。サイズを大幅にコンパクト化し、複雑な構造を単純構造とした。また、製造を機械化し、全自動にする改善を進めた。
第二世代のソフトリネンタグ
第一世代(上)と第二世代(下)の対比
第一世代 | 60×15×1.6mm |
第二世代 | 55×10×1.6mm |
ここでも前回(第1部)に記述した曲げ、ねじり試験ツールが威力を発揮した。曲げ、ねじりへの機械強度の改善を5~8ヶ月待たずに1日で確認できた。
この開発で悩まされたのは、熱圧着シートへの対策として採用した、外装材のドライ洗濯への耐性であった。この問題を解決するため、外装材の見直し、サイズ、構造の見直しを行い、製品化にこぎ着けた。
当社ソフトリネンタグが市場で認められはじめた頃に、多くの類似品が出回り始めた。しかも、当社製品の価格より半分程度であった。近隣の某国では、十数種類以上の製品が単に樹脂成型しただけの構造で市場に出されるようになった。
これを当社試験環境で洗濯すると、10~20回程度で壊れてしまい、ソフトリネンタグとしての強度を持たないことが判明した。
この様な状況は数ヶ月続いたが、これらの類似品は市場で徐々に淘汰されて行った。
上記以外の問題にも多く直面した。
病院で使用される血液溶剤によるタグの通信不良、シーツをロールアイロナに流す際のタグの曲がりなど、色々な問題を乗り越え、解決しながら現在に至っている。
第一世代、第二世代と日夜更なる改善を進めながら製品化してきた。しかし、圧力脱水は未だ越えられない壁である。
今とは全く異なる発想で1年後の解決を目指している。
第二世代のソフトリネンタグは低コスト化により海外市場を中心に拡大が進んでいる。
下記は、海外で導入いただいたお客様の一例である。
ユニフォーム裏地に装着されたソフトリネンタグ(青枠の部分)
ユニフォームやリネン製品に装着したまま洗濯やアイロンが可能なソフトリネンタグ。北米やアジア諸国のUHF帯でも使用が可能。
掲載日:2010年10月1日
Photo: Kinzo TAKABA
書類管理用ラベルタグ
UHF帯RFID普及の障壁をクリア。タグが2mmで重なった状態でも数百枚一括読み取り可能