デジタル化の進展によって,購買決定プロセスにおけるデジタル接点の重要性が高まり,デジタルマーケティングに取り組むBtoB企業が増えている。しかし,組織を越えてターゲット顧客やマーケティングの目的を共有し,全体的なマーケティング施策によって成果を上げている企業はごく一部にとどまっている。その結果,多くの企業において施策が部分最適に陥ったり,営業部門とマーケティング部門の部門間連携に苦慮したりしている。富士通では,このような企業に向けて,BtoBにおけるデジタルマーケティングの効果を最大限に引き出すコンサルティング,既存顧客のロイヤルティ(企業に対する信頼や愛着)向上,および新規顧客の効率的な獲得を支援する,クラウド型マーケティングオートメーションプラットフォーム「FUJITSU Intelligent Data Service Marketo(以下,Marketo)」を提供している。
本稿では,BtoBデジタルマーケティングに有効な施策を立案するコンサルティングと,Marketoを導入したマーケティングオートメーションの適用事例について述べる。
インターネット広告にはアクセス数などを記録できるだけでなく,そのデータを次の広告に活用できるなど従来にないメリットがある。しかし,インターネット広告を効果的に活用するために必要となる,ICTの知識や技術を持っている人材や部門が企業内に少ないことが問題となっている。海外では,ターゲット分析から広告枠の買い付け,広告の配信,配信後のデータ分析に至るまで,ワンストップで行うサービスがICTベンダーなどから提供されている。このような状況の中,富士通ではAI(人工知能)技術や,データサイエンティストなどの人的リソースも活用したインターネット広告配信のワンストップサービスの実現を目指し,社内実践を行った。そこで得た知見やノウハウを活用したリアルタイムにインターネット広告を自動配信するシステムを開発し,これをFUJITSU Intelligent Data Service AD Drive運用型マーケティングサービス(以下,AD Drive)として提供を開始した。
本稿では,インターネット広告配信サービスを社内実践した過程とAD Driveのサービスの概要について述べる。
デジタルマーケティングにおいては,購買データやWebサイトのアクセス履歴に応じたメッセージの出し分けが行われている。出し分けの根拠として,自社のデータだけではなくサードパーティーデータ(以下,3PD)を活用したいというニーズが高まりつつある。しかし,これらの具体的な利用方法や,利用することによるメリットを十分に理解している企業は少ない。3PD活用の費用対効果の大きい領域として,広告配信の最適化がある。これまで広告配信においては,根拠が曖昧なターゲットセグメントの設定や,適正さに欠いた配信条件設定が行われることも多かった。これらの問題に対して,富士通はDMP(Data Management Platform)ソリューションであるFUJITSU Business Application Operational Data Management & Analytics information Xross(以下,ODMA iX)を開発して,3PDを活用した広告配信の最適化を可能とした。
本稿では,ODMA iXを活用して広告配信を最適化したコンサルティング事例を紹介する。更に,広告配信以外の分野への適用メリットに触れ,3PDが活用可能な領域を示す。
スマートデバイスの普及などによって,消費者の購買行動は大きく変化してきている。企業は,消費者の購買行動の変化に対応して顧客満足度の向上を図るために,マーケティングツールの導入を急いでいる。しかし,その効果が出ているどころか,逆に顧客満足度が低下しているケースさえ散見される。富士通では,企業のマーケティングに関する指標の設計支援および各種ツールのデータを一元管理できるプラットフォームであるFUJITSU Intelligent Data Service Domo(以下,Domo)を提供している。これによって,データを基に企業の意思決定を加速させるデータドリブンマーケティングの実現を支援している。あるお客様においては,Domoの導入以降,マーケティングにおけるPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを導入前に比べて数倍の回数実行できるようになり,優良な顧客数が導入前の2倍以上になったという成果も出ている。
本稿では,目的を定めずにマーケティングツールを導入することによる混乱と,それを解決する富士通のソリューション,およびその適用事例について述べる。
デジタル革新の進展に伴い,ビジネス活動におけるICTの活用領域は従来の情報システム部門中心から業務部門にまで広がってきている。それに伴い,富士通の営業はこれまであまり接触する機会のなかったお客様の業務部門(LoB:Line of Business)に対してアプローチを行う必要が出てきている。一方,近年お客様自身がインターネットやイベントなどで商品やサービスなどの情報を収集しているため,営業に接触する前に検討プロセスの6割が終了しているという調査結果もある。このような状況において,富士通ではLoBのお客様との新たな商談機会の創出を目的として,デジタルマーケティングの実践に取り組んでいる。実践に当たっては,多様なお客様のニーズと富士通の商品やサービスをマッチさせるために,オファリングという単位でプロモーションした。また,デジタルマーケティングの実践に取り組むお客様が増える中,富士通の実践知をお客様の課題解決のための提案モデルとして展開している。
本稿では,富士通社内におけるデジタルマーケティングの実践と,そこで得られた実践知をお客様への価値あるオファリングへとつなげるアプローチについて述べる。