Poyntingを用いた光学薄膜の解析事例を紹介します。
図1 各層をλ/4(λ=500nm)の厚みとした光学薄膜
正弦波に変調をかけたパルス光を光学薄膜に入射させます。このパルス光は正弦波の波長を中心に広帯域な特性を持つので、観測したい複数の波長の応答を一度に計算することができます。
図2 時間領域で見た光学薄膜に光パルスを入射したときの振る舞い
光パルスが光学薄膜に入射すると、反射光と透過光に分離されます。図2のアニメーションは、さまざまな波長の光を一度に観測していることになるので、どの波長が反射され、どの波長が透過しているかは図2ではわかりません。
図3 周波数領域で見た光学薄膜に光パルスを入射したときの振る舞い(500nm)
図4 周波数領域で見た光学薄膜に光パルスを入射したときの振る舞い(800nm)
FDTD法で計算した電磁界時系列データをフーリエ変換することにより波長ごとに光の振る舞いを可視化することができます。 図3、図4はフーリエ変換して得られた波長500nm、800nmのときの光の振る舞いです。この光学薄膜は、設定波長500nmの光は反射し、波長800nmの光は透過することがわかります。
図5 光学薄膜の反射率
図5は、この事例で用いた光学薄膜の反射特性を計算した結果です。波長500nm付近の波長はほぼ全反射する特性を持ち、800nmの波長では反射率が低いことがわかります。この結果は、図3、図4のアニメーション結果とも一致しています。