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Fujitsu

Japan

【世界最速・最強のUNIXサーバ「SPARC M12」に込められた決意】
企業がこれからもSPARC/Solarisを安心して使い続けられる理由とは?
業界キーマンが直撃!

基幹系システムの変更は業務プロセスの変更
業務プロセスを変えたくない企業のためにSPARC/Solarisができること

宮原:私は仮想化技術やクラウドも活用したITインフラ構築のコンサルティングを通じてさまざまな企業のシステム構築をお手伝いさせていただいていますが、やはり皆さんが最初におっしゃるのは、「今あるものを使い続けられるのなら、変えなくていい。この上に沢山の資産を築いてきたので、むしろ変えたくない」ということです。そのため、「次の10年を支えるインフラを検討する」といった機会には、基幹系など頻繁に変えたくないものと、情報系など最新のテクノロジーを活用するために積極的に変えていくものといった具合に自社のIT資産を明確に切り分け、変えたくないものはそれを担保する仕組みまで考慮してプラットフォームを選ぶことをお勧めしています。

福田:まさにそうしたテクノロジーを豊富に組み込んでいるのがSPARC/Solarisプラットフォームです。例えば、後方互換性を確保するための技術である「Solaris Application Binary Interface(ABI)」を使えば、Solaris 9の時代に作られたアプリケーションも最新のSolaris 11の上で改修せずに動かすことができます。PCサーバの世界では、OSのサポート終了に伴ってクライアントからサーバまで、全てを強制的に刷新させられる状況が生じたりしますが、SPARC/Solarisでは考えられないことです。

宮原:アプリケーションを改修すればテストもやり直しですから、確実性が求められる基幹系システムでこれが大規模に生じるのは、IT部門としても避けたいところでしょう。

福田:後方互換性の確保に仮想化(コンテナ)技術を使うケースもありますが、これについてもSPARC/Solarisは非常に優れています。PCサーバ向けの仮想化技術の場合、ハードウェアを抽象化すると言っても、本当に抽象化できているわけではありません。仮想化ソフトのバージョンアップによって互換性が失われてしまうケースがあるわけですから。

これに対して、Solarisでは「Oracle Solarisゾーン」、「Oracle VM Server for SPARC」といった仮想化技術を無償で提供しており、システム要件に合わせてご利用いただけます。Oracle Solarisゾーンを使えば、最新のSolaris環境上でSolaris 8(2000年リリース)上に作られたシステムもそのまま動かすことができます。既存資産を守るという思想が徹底しているのです。これはお客様にとって極めて重要なコンセプトであり、SPARC/Solarisを提供し続けていく中で私たちが果たすべき使命だと考えています。

ちなみに、SPARC/Solarisの仮想化技術を使ったシステム統合は、コスト面でも多くのメリットをもたらします。例えば、10システムを仮想化して5年間運用する場合をPCサーバと比べると、初期費用とサポート費用を足し合わせたコストに2.5倍もの差が生じるケースもあります。SPARC/Solarisの仮想化技術は無償ですから、この上に多くのシステムを集約すればするほど、コスト・メリットは大きくなります。

初期費用+5年間のサポート費用比較

新プロセッサ「SPARC64 XII」や新冷却機構により、前世代の2.5倍の性能を実現

宮原:ここまで「企業が築いてきた既存資産を守る」という観点で富士通UNIXサーバの特徴をお聞きしてきましたが、一方で最新のSPARC M12は富士通独自の技術も駆使しながら、かなり攻めたプラットフォームに仕上がっているようです。

福田:基幹系プラットフォームの世界でも、この領域ならではの技術革新が進んでいます。富士通はそのトップを走っていると自負していますが、これは私たちが全世界にわずか3社しか存在しない「プロセッサからOSまでを自社開発するベンダー」の1社だからこそできることです。

この強みを生かして、今回もさまざまな機構を導入しています。特に力を入れているのが長年のパートナーであるオラクル社との協業により実現したOracle Databaseの実行基盤としてのさらなる価値向上であり、この中では「圧倒的な性能/集約率の向上」と「コスト・パフォーマンス」を追求しています。

宮原:具体的にどのような機構を盛り込んでいるのでしょうか?

福田:まず性能/集約率の向上についてお話ししましょう。

PCサーバに対するSPARC/Solarisの強みの1つは、プロセッサ・コア当たりの処理性能の高さです。これはデータベース集約/統合するうえでも重要な鍵となるため、SPARC M12ではさらに性能を高めています。具体的には、最新プロセッサのSPARC64 XIIを搭載し、前世代のSPARC M10に対してコア当たりの性能を最大2.5倍に向上しました。

また、従来ソフトウェア側で行っていたOracle Database特有の演算処理をプロセッサ上に実装するSWoCの機能を強化し、データベース処理の性能も高めました。例えば、これまで10進演算を行う場合、いったん2進値に変換してプロセッサで処理し、その結果を10進値に変換してソフトウェアで使うといった内部処理を行っていましたが、10進演算処理そのものをプロセッサに実装しています。これにより、売上計算や原価計算などの処理が大幅に高速化されます。SPARC M12は現在、SPECint®_rateなど各種の業界ベンチマーク・テストにおいて世界最速の性能を認定されています。

CPUコア性能 ベンチマークテスト結果

宮原:プロセッサ・コア当たりの性能を追求すると"CPUの冷却"が大きな課題となります。これは現在、IT業界でも大変ホットな話題として注目されています。

福田:そこも大きなチャレンジでした。プロセッサの処理性能を高めるには、より多くの電力を与えればよいのですが、その結果"単位面積当たりの発熱量"という壁にぶつかります。SPARC M10では水冷機構を採用して冷却効率を高めてきましたが、さらに性能を高めるには、それだけでは足りないという結論に至ったのです。

そこで、新たに冷却水が蒸発する際の気化熱を利用してプロセッサの熱を奪い、発生した蒸気や冷却水を空冷によって冷ます「空冷+液体冷却+気化冷却」の仕組み「Vapor and Liquid Loop Cooling」を導入しています。これにより、M10の2倍の冷却性能を実現しました。

新冷却技術「Vapor and Liquid Loop Cooling」(VLLC)

高効率の独自冷却技術

  • 液体が気体に変化する際に吸収する気化熱を利用しプロセッサを集中的に冷却
  • 従来製品の冷却機構に比べて2倍の冷却性能を実現

システムの高性能化に貢献

  • プロセッサの高性能化(周波数向上・コア機能強化)にも対応
  • CPU-メモリ間の距離を最短にし、メモリアクセスを高速化

VLLCを実装したSPARC M12ー2S内部カットモデル