韓国有数の生命保険会社、東洋(トンヤン)生命株式会社は、SOAを基盤とした次世代金融システムの中核にSPARC Enterpriseを採用。今回の導入は韓国の金融新時代を見据え、韓国3大金融グループの1つを有する東洋グループ全体への展開も視野に入れたものです。
2008年11月25日掲載 / 印刷用 PDF版ダウンロード (1.45 MB )
業種: | 金融 |
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ハードウェア: | SPARC Enterprise M9000, M8000, M5000(注) |
ソフトウェア: | PRIMECLUSTER |
(注)SPARC Enterpriseの本体装置は販売を終了しました。本製品の後継機種はSPARC Serversです。
「高性能に加えて、5年先までを考慮した拡張性、メンテナンス費などを含めたTCO、高い技術支援能力が富士通のSPARC Enterprise採用の決定的な要因となりました。機能面では、業務集約や事業環境の変化に対し、高い信頼性のもと、ハードウェアリソースを柔軟に分割し効率的に活用できるハードウェアパーティショニング機能が、他社にはない魅力的な要素でした」
韓国版金融ビッグバンを見据え、韓国の金融業界では次世代金融システムの構築が本格化しています。韓国を代表する生命保険会社、東洋生命株式会社(以下、東洋生命)は、韓国の生命保険業界初、SOAベースの次世代金融システムの構築において、その中核にSPARC Enterpriseを採用。ベンチマークテストによる性能評価、技術支援力、ハードウェアパーティショニングの先進性、そして、運用コストなどUNIXサーバのグローバルスタンダードとしての実力が高く評価されました。
1 | バッチ処理に時間を要するなど性能面での問題を改善したい | ![]() |
SPARC Enterpriseの高性能により、バッチ処理時間を短縮。業務の停止時間を約2時間から30分以内に。また業務ピーク時のレスポンス時間を3.5秒から2秒以内に短縮 |
2 | システムの信頼性を損なうことなく、ハードウェアリソースの有効活用をはかりたい | ![]() |
高信頼性を維持しつつ、柔軟な運用が可能なハードウェアパーティショニング機能で事業環境の変化に効率的かつフレキシブルに対応可能 |
3 | 金融新時代にこたえる東洋グループのIT基盤を確立したい | ![]() |
SOAをベースとすることでシステムの標準化をはかり、東洋グループ各社に展開しシナジー効果の拡大へ |
Kim Young Mo氏
東洋グループ電算インフラ管理チーム長
現在、韓国は金融制度改革の只中にあります。韓国3大金融グループの1つを有する東洋グループは、金融ビッグバンをきっかけとして、さらなる飛躍をとげるべく総合金融グループ戦略を進めています。グループ戦略の基盤となる次世代金融システムについて、東洋グループのシステム構築を担う東洋システムズ株式会社(以下、東洋システムズ)の東洋グループ電算インフラ管理チーム長のKim Young Mo氏は次のように語ります。「目的は大きく2つあります。ひとつは金融ビジネス環境のダイナミックな変化への迅速かつ柔軟な対応、もうひとつが絶えず変化する顧客ニーズに応える新商品の迅速な市場投入を可能にするIT基盤の確立です」。
東洋グループには、東洋生命、東洋証券など韓国を代表する金融会社が名を連ねています。同グループにおける次世代金融システム構築の牽引役が東洋生命です。グループの総合力を活かす次世代金融システムのメリットについて、Kim Young Mo氏は「投資のできる保険商品はないかといったお客様の声も高まっています。証券、投資信託など東洋グループ会社間の連携により、さらに付加価値の高い商品をお客様にご提供することも可能になります。東洋グループのシナジー効果を高めることも次世代金融システムの重要な目的の1つです」と、説明します。2007年5月、グループ展開も視野に入れ、東洋生命の次世代金融システム構築プロジェクトがスタートしました。
年間利益1,000億ウォン以上を達成、韓国の生命保険会社初の株式上場も果たした東洋生命。顧客第一をモットーとする同社は、星のバトンを持った天使のマスコットで韓国の人々に親しまれています。また、訪問販売中心からテレマーケティング、サイバーマーケティング(注1)へとシフトしつつある新しい販売形態は、同社の得意領域となっています。
こうした同社の成長に欠かせないのがITです。「韓国の生命保険業界初のクライアントサーバの導入も東洋生命です。今回の次世代金融システムにおいても業界初のSOAを導入しています」(Kim Young Mo氏)。
生命保険業界のIT化をリードする同社の次世代金融システムの狙いをKim Young Mo氏はこう説明します。「まず既存システムの課題を解決し、SOAの基盤を確立することです。またシステム刷新とあわせて業務プロセスの見直しもおこなっています。そのために現場スタッフにプロジェクトに参加してもらい、現場の声を最大限、次世代金融システムに反映するようにしました。他にも、セキュリティの強化、顧客情報を活用したサービスの向上など、新システムは多くの重要な役割を担っています」。
同社の要求を満たすサーバの選択は、客観的なデータに基づき各社サーバの比較・評価によっておこなわれました。「東洋グループのシステム購入時の方針として性能ベンチマークテストの実施が必須となっています。今回、オンライン業務とバッチ業務でベンチマークを実施し、富士通のUNIXサーバSPARC Enterpriseが最も高い評価を得ました」。
製品の評価は性能ベンチマークだけではなく総合的な観点も重視されました。「高性能に加えて、5年先までを考慮した拡張性、メンテナンス費などを含めたTCO、高い技術支援能力が富士通のSPARC Enterprise採用の決定的な要因となりました。機能面では、業務集約や事業環境の変化に対し、高い信頼性のもと、ハードウェアリソースを柔軟に分割し効率的に活用できるハードウェアパーティショニング機能が、他社にはない魅力的な要素でした」と、Kim Young Mo氏は明かします。
東洋生命のビジネスを支えるインフラに求められる基本条件。それはサーバが止まることは許されないということです。「SPARC Enterpriseの安定性、可用性はこれまでの豊富な実績から高く評価しています。既存データを新システムに移行することに不安もありましたが、プロジェクト開始段階から時間をかけてテストを実施できたため、大きな問題もなく順調に進んでいます。これも富士通のご支援があったからと感謝しています」(Kim Young Mo氏)。
同社は次世代金融システムの中核を担う、ERPシステムや情報系システムのサーバとして、SPARC Enterprise M9000/M8000/M5000を導入、さらに高信頼、高可用性を実現するクラスタ構成を採用。「次世代システム上では新契約、預金、データ保存など生命保険の基幹業務はもとより情報系も稼働します。顧客情報を活用した新商品開発やマーケティング面の強化も狙いです。いままで別々のシステムで顧客管理と商品管理をおこなっていましたが、新システムではハードウェアパーティションの機能を利用して、1台のサーバに統合しました」(Kim Young Mo氏)。同社の次世代金融システムは2008年11月本稼働にむけ、順調に作業が進められています。
同社の次世代金融システムはどのような効果をもたらすのか。Kim Young Mo氏は具体的に話します。「SOAの基盤の確立により、現場のサービスをモジュール化し、それらを組みあわせることで新しいサービスをスピーディーにお客様にご提供できるようになります。また、経営面では、業務プロセス改革による生産性の向上、KPI(評価指標)(注2)を使った経営革新、情報活用による競争力の向上、顧客サービスの向上などの実現を目指しています。最適化された運用環境のもとで効率的な情報管理ができるので、運用面での期待も大きいです」。
SPARC Enterpriseの性能にも期待が寄せられています。「既存システムではバッチ処理のためにオンライン業務を約2時間止める場合がありました。次世代システムでは業務停止時間を最大でも30分以内にすることが目標です。その結果、業務時間が拡大でき、お客様の利便性が一層高まります。業務が集中するピーク時のレスポンス時間も、既存システムでは3.5秒かかりましたが、2秒以内に短縮することを目指しています。また、お客様はインターネットを通じて、自分が契約した内容をいつでも閲覧可能になるなど、24時間365日、安定したサービス提供がますます重要になるでしょう」。
今後の展開についてKim Young Mo氏は「東洋生命の次世代金融システムを標準化して、東洋グループ全体に展開し、グループ会社間のシナジー効果を拡大していくことを目標としているため、富士通から今後も継続してサポートをしていただけることを期待しています。また東洋システムズのビジネスパートナーとして、公共機関、金融機関など、東洋グループ以外の事業においても協力していただけることを願っております」と、強調しました。
東洋グループのさらなる発展を、富士通はSPARC Enterpriseをはじめ、技術力と総合力を駆使し支援してまいります。
(注1) サイバーマーケティング:Webサイトを活用した顧客とのインタラクティブな関係構築などインターネット時代のマーケティング
(注2) KPI(評価指標):業務の達成度を定量的に把握するための指標
資本金 | 4,376億ウォン |
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代表 | 박중진 대표이사 부회장
Park Joong Jin |
設立 | 1989年4月20日 |
従業員数 | 約5,000名 |
事業内容 | 韓国3大金融グループを有する東洋グループの生命保険会社。
生命保険業界のキーカンパニーとして天使のマスコットに象徴される顧客第一をモットーに、顧客のニーズに応える質の高い総合金融サービスを提供し8年連続黒字を達成。韓国生命保険会社初の株式上場を果たす。 ![]() ![]() |
URL | 東洋生命株式会社 |
資本金 | 136億ウォン |
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代表 | 유준열 대표이사
Yoo Jun Ryeol |
設立 | 1991年3月30日 |
従業員数 | 584名 |
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