リテールテックJAPAN2023開催、3年ぶりのリアル出展に踏み込む
2023年2月28日から4日間に渡り、東京ビッグサイトにて、「リテールテックJAPAN2023」が開催されました。この展示会は流通・小売業界で進む流通 DX を提供する有力企業が集結し、最新のシステムやソリューション、関連機器を紹介するものです。ここ数年間はCOVID-19の影響により、当社からは主にオンライン出展のみの実施でしたが、2023年はオンライン出展も行いながら、実に3年ぶりのリアル出展にも踏み込みました。
今回は、3年ぶりのリアル出展を果たした当社のブースに、フジトラニュース編集部員の中谷が実際に足を運び、富士通の最新技術を体験してまいりました。次章ではそんな中谷による体験レポートをお届けいたします。
富士通のリテール最新技術、編集部員が実際に体験しました
会期中の会場には数多くの企業のブースが並び、実に多くの人で賑わっていました。リテール業界全体のテクノロジーへの期待が伺えます。早速富士通ブースを発見、中に入ってみます。

ブース内でまず目を付けたのが、店舗や自宅での買い物を、クラウド上のデータ基盤を活用して柔軟にサポートし、基幹システムやPOSなどとも連携したデータ活用による買い物体験を向上させるソリューション「Flexible Commerce (Brainforce)」です。当日のブースでは関連ソリューションがいくつか展示されていましたが、特に見た目がユニークな「スマートカート」に注目してみました。カートに設置されているタブレットにAIセンサーカメラが仕込まれているので、自身のアカウントにログイン後、商品をカートに入れるだけで自動的に会計が済んでしまうという代物です。既に導入・実用化されているスマホで商品を読み取るウォークスルーチェックアウト(Scan&Go)とは異なり、スマートカートでは、スマホを出さなくてもカート1台で完結してしまうという点がポイントとのことでした。Scan & GO利用者の中谷としては、こちらのスマートカートの実用化も非常に待ち遠しいです。

続いて、中谷が注目した展示デモは、コロナ禍でさらに「非接触」のニーズが高まり導入が進んだセルフレジです。店員ではなく買い物客が操作する分、「商品スキャン漏れ」等の不正操作が問題になっているそうで、ここではセルフレジの不正操作を監視するサービスのデモ実演が行われていました。
セルフレジの上部にAIカメラが設置されており、買い物客が商品のバーコードをスキャンする手元を映し、商品点数をチェックします。スキャンした点数と、マイバッグに入れられた商品の点数が合わないとAIが検知し、ランプが点灯。画面には「店員が参ります」といった表示がされる仕組みです。店員に代わってセルフレジ操作を見守ってくれるとは、店舗の負担軽減が期待できますよね。


AI映像解析技術により、セルフレジの不正操作を未然に防止
次に、ブース内の天井に目を向けたところ、沢山のカメラが設置されていることに気付きました。担当社員に質問したところ、カメラ映像からブース内の人数や混雑度をリアルタイムで計測し、ブースの外にある液晶でヒートマップを表示する仕掛けとなっていたようです。この会場ヒートマップは、人の顔の特徴までは認識しない設定になっておりプライバシーにも十分配慮されているようです。実はこのようなカメラ分析の技術は、スマートストア化を目指す店舗で、既に導入されている実例があります。

画面右:リアルタイムで出力されるブース内のヒートマップ
このヒートマップでひと際人が集まって混雑しているエリア(左上)がありますね。何の展示が行われているのか気になった中谷はもちろん突入。

ここでは、株式会社トリドールホールディングス(以下、トリドールHD)が展開する讃岐うどん専門店「丸亀製麺」全店舗に採用された「Fujitsu Business Application Operational Data Management & Analytics 需要予測 SaaS」が紹介されていました。AIで顧客の需要を予測することで食品ロスの削減や、エネルギーマネジメントの最適化を図るという事例ですが、詳しくは次章のオンラインブースで行われた基調講演の内容に触れながらご紹介します。
オンライン出展では経営トップ層による基調講演が配信されました
オンラインブースでは、パンフレットやソリューション紹介動画に加え、リテール業界でDXをけん引するリーディングカンパニーの経営トップからDX戦略、成功の秘訣、富士通との取り組み、今後の展望を語った基調講演がいくつか配信されました。上記で述べたトリドールHDが展開する「丸亀製麺」全店舗への「AI需要予測サービス」の採用にあたっては、トリドールHD執行役員 兼 CIO 兼 CTOの磯村 康典氏と富士通理事 SVP Uvance本部 副本部長 兼 ビジネスマネジメント本部 データアナリティクスセンター長の青柳 一郎の対談が行われました。
対談の内容を一部ご紹介
AI需要予測サービスを導入し、POS販売実績、営業カレンダー、販促キャンペーンなどの企業が保有する各種データや気象情報などのデータを学習させます。これによって店舗ごとの日別・時間帯別の客数や販売数を予測し、人員の配置や食材の仕込み量の検討等の間接業務を自動化、従業員の働き方改革に繋げます。それに加え、店舗で大量消費される電力や水道などの自動管理が可能になり、コスト削減とともに環境への負荷も削減でき、サステナブルな経営にも繋がります。そうすることで人手や時間を、本来力を入れたい業務に割くことができ、トリドールHDがスローガンとして掲げる「食の感動で、この星を満たせ。」の実現に一歩近づきます。
現時点では国内の「丸亀製麺」のみの導入ですが、トリドールHDが展開する国内の他の業態ブランドへ展開、また海外の「MARUGAME UDON」への導入を検討していきます。
また、磯村氏はAI需要予測だけでなくあらゆるサービスのSaaSとしての提供を期待している旨を述べ、それに対し青柳は、ビジネスを加速させ社会課題に挑むソリューションFujitsu Uvanceを軸に期待に応えていきたいと締めくくりました。


このトリドールHDの事例の詳細情報は事例ページでもご覧いただけますのでぜひご覧ください。
こうしてリテールテックJAPAN2023は無事幕を閉じました。今後も富士通は、流通業や小売業のお客様へソリューションを提供し、お客様と共に社会課題や未来のイシューに向き合っていきます。そしてフジトラニュースではそのような富士通の姿を皆様にお届けしていきます。

富士通株式会社 グローバルマーケティング本部
グローバルGTM統括部 CoEJapanオペレーション部
中谷 はるか(なかたに・はるか)