新たな営業スタイルを考える。社員13万人の生の声を提案素材に

「声を力に変えて、変革の風を起こす」。このコンセプトの下、お客様や従業員の生の「声」をビジネスに活かすため、富士通はVOICEプログラムをスタートさせました。本記事ではそのVOICEプログラムの概要から、実際にVOICEを活用することで、お客様のニーズを汲み取りご提案に繋げた富士通社員のリアルストーリーをご紹介します。

目次
  1. 「声」を活用するプログラム、VOICEとは
  2. VOICEで商談に挑戦、富士通社員ストーリー

「声」を活用するプログラム、VOICEとは

富士通ではFujitsu Transformation、略して「フジトラ」と呼ばれる全社のDXを推進するプロジェクトが行われています。そのプロジェクトのフレームワークの1つにあるのがVOICEプログラムです。このプログラムはお客様や従業員の生の「声」=VOICEを吸い上げて分析し、「判断の迅速化」や「行動の変革」へ活かしていくことで、顧客体験と従業員体験の相乗的な向上を高めることをゴールとしています。

お客様の「声」を集める取り組みは、以前から多くの企業が実施してきています。しかしせっかく集めた「声」が企業経営やビジネスに活かされ、優れた顧客体験を提供してきたかといえば、必ずしもそうとは言い切れないケースも多いでしょう。間接的な「声」を聴くだけでなく、直接的な声をもっとタイムリーに聴くために、富士通グループの従業員13万人の「声」を拾い上げて経営に生かすことはできないだろうか。そうした課題認識から「VOICEプログラム」は生まれました。2022年2月には、SAPジャパン主催の「SAP Japan Customer Award 2021」で、「Experience Management部門」を受賞するなど、着実に成果を出しています。

今回は、このVOICEプログラムを実際に活用し、お客様の課題解決に向けて取り組んだ、富士通 官公庁事業本部でBusiness Producerとして活躍している川口 智史に話を聞きました。

VOICEで商談に挑戦、富士通社員ストーリー

富士通株式会社 官公庁事業本部 官庁第二事業部 第三ビジネス部 川口 智史

――VOICE活用の経緯について教えて頂けますか。

川口: きっかけとなったのは、劇場を運営するお客様へのLANのリプレースの商談です。このお客様へは初めての提案であること、また競合他社参画の可能性もある中、商談内容自体も他社との差異化も難しいものでした。価格勝負ではなく富士通ならではの強みを発揮したご提案はできないかを模索しましたが難しく、頭を抱えていました。

DX企業としての提案がしたい

――そのような厳しい状況の中でも、見事お客様にご提案を認めて頂けたようですが、そのきっかけは何だったのでしょうか。

川口: 「DX企業としての提案がしたい」という強い思いです。「DX企業」「フジトラ」「Business producer変革」は私たち富士通社員がよく耳にする言葉で、 これらに関連する富士通の動向はお客様や競合他社からも注目を集めています。そのため「DX企業としての提案」が他社との差異化、富士通ならではのアピールに繋がると考え、実践しようと決意したことがきっかけです。

そこからDX提案に繋がる情報はないかを探している中で、VOICEプログラムでは「VOC(Voice of Customer)による提案」が実現できることが分かり、活用することを決めました。

富士通としてではなく、エンドユーザーとしての声を

川口: 私たちのお客様の、その先のお客様、いわゆるエンドユーザーの声は、潜在的なニーズやあるべき姿を考える上で貴重だと多くの営業が感じていると思います。場合によっては、普段お客様が気づいていないキーワードが出てくることもあります。その声を、あらゆる趣味や嗜好など背景を持つ富士通社員13万人から、社員としてではなく、いちエンドユーザーとして聞き出そうと考えました。

富士通は大きな組織です。社内には多種多様なコミュニティが存在しており、常日頃からいろんな情報交換が行われています。今回は劇場を運営するお客様向けだったので、社内で日本の芸術文化に興味があるコミュニティや新しい取り組みを応援してくれるようなコミュニティにターゲットを絞ってYammerやTeamsのチャットでアンケートを実施し、「芸術文化への思い」「芸術文化振興の在り方」「実現してほしい未来の姿」などを質問しました。結果的に100名以上の方々から回答を頂くことができました。

そして実際の提案資料には回答結果の分析、分析から見えた課題を記載しました。LANのリプレース商談としてのご提案だけではなく、エンドユーザーの声を基にした本質を捉えた課題を出すことによって他社との差異化を図り、中長期的なプロジェクトの一環としてご提案することが狙いでした。

100人の声を詰め込んだ実際のご提案資料

――ただ闇雲に13万人へ発信するのではなく、特定のコミュニティに発信してターゲットを絞るといった工夫もされたのですね。お客様の評価はいかがでしたか。

川口: 大変喜んでいただきました。「こういった提案は初めてだった」「観客となる方々の生の声が聞けて参考になった」「芸術文化振興のあるべき姿を考えるきっかけになる」とお褒めの言葉をいただき、無事商談は成功に終わりました。

個々の想いを詰め込む

――VOICEを活用したことによる効果を実感していることはありますか。

川口: 2つあります。1つ目は、スピード感を持って目的に合ったリサーチができたことです。一般的にご提案を作成する際は、必要となる情報を検索して、組み合わせて腹落ちするストーリーを作っていくと思います。ただ実際には時間が掛かりすぎてしまったり、思い通りの情報がなかったりすることがあります。
今回はVOICEを活用し、自ら問いを作って情報を創り出すことで提案ストーリーを定めることができました。このような経験は初めてだったので、とても新鮮でしたし、有効だと感じました。

2つ目は、会社のより多くの人と一緒にご提案を作ることができた点です。これはVOICEで協力してもらった社内からのフィードバックなのですが、間接部門をはじめとする、普段お客様と直接接する機会が少ない部門の社員にとっては、このような形で提案に関われることが嬉しかったという声がありました。仕事の中には、個人の意思や想いを介在させることが難しいものも多くあると思いますが、今回の取り組みでは、そうしたものを多く詰め込んだ提案を作ることができたと感じています。


今回は、富士通社員としてではなく、いちユーザーの立場としての「声」を募り、その声をベースにお客様のニーズやあるべき姿を提言することで付加価値の高い提案ができた事例をご紹介しました。今回ご紹介したストーリー以外にも、社内におけるVOICEを活用した事例は増え続けています。富士通は今後も、国内外にいる社員13万人という大きな力を活かしたその先が、お客様にとって価値のある富士通らしい提案に繋がるよう努めて参ります。

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