サステナブルな世界を実現するため
社員一人ひとりが自律的に行動できる組織づくりとは

2022年2月24日~25日、グローバルで活躍するサステナビリティのリーダーが集うコミュニティ・イベント「第6回サステナブル・ブランド国際会議 2022 横浜」が開催されました。25日に実施された「サステナビリティ ・トランスフォーメーション(SX)は組織・社会をどう活性化するのか?」をテーマとしたセッションには富士通 CHRO室長の森川 学が登壇。人材・組織の変革を通じてサステナブルな世界の実現を目指す富士通の取り組みを紹介しました。

目次
  1. 社長から新入社員まで13万人全社員の思いを集め「サステナブルな世界」を
  2. 「誰もが自分らしくあるために」多様性を尊重した組織がイノベーションを生み出す
  3. 社員と会社それぞれのパーパスをすり合わせ、仕事をより「自分ごと」に
  4. 自ら手をあげ前に進む、自律的に働ける環境がビジネスを持続可能に

社長から新入社員まで
13万人全社員の思いを集め「サステナブルな世界」を

富士通は、2020年に自社のパーパスを「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」と定めました。パーパスとは、富士通の社会における存在意義であり、これから進むべき方向を示す「羅針盤」です。グローバル13万人の社員が常にパーパスの価値観を共有し、その実現を目指して日々、業務に取り組むことが、社会の持続可能性を高めることにつながると考えています。

パーパスの実現に向け富士通では、すべての社員がいきいきと働くことができる環境をつくる「ウェルビーイング」、多様性を尊重する「人権・ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」など、富士通が果たすべき責任を「7つの重要課題(グローバルレスポンシブルビジネス:GRB)」として経営方針にも盛り込み、それぞれに目標(KPI)を設けて取り組んでいます。さらに新たな事業ブランド「Fujitsu Uvance」を立ち上げ、サステナブルな世界を実現するための注力7分野を定め、さまざまな取り組みを進めています。

「Uvance」は、Universal(あらゆるもの)を、サステナブルな方向にAdvance(前進)させるという2つの言葉を合わせた造語で、「多様な価値を信頼でつなぎ、変化に適応するしなやかさをもたらすことで、誰もが夢に向かって前進できるサステナブルな世界をつくる」という想いが込められています。2030年の社会を想定し、「Fujitsu Uvance」のもとに社会課題の解決にフォーカスしたビジネスを進め、パーパスを実現することがサステナブルな世界の実現につながると考えています。

「誰もが自分らしくあるために」
多様性を尊重した組織がイノベーションを生み出す

富士通ではサステナブルな世界の実現に向け、富士通自らが変わっていこうと、さまざまな取り組みをはじめています。その一つが人材・組織の変革です。パーパスの実現には、社員一人ひとりが、事業を通じて社会課題の解決にどのように貢献できるかを自問し、挑戦を志していくことが必要です。社員一人ひとりが問題意識をもって主体的に考え、行動するマインドを持つことと、それを後押しする企業文化が欠かせません。そこで富士通では、人材戦略と経営を結びつけた人材・組織の変革に取り組んでいます。

不確実な時代に中核となるのは、人的資本です。多様な人・価値観のもとで生まれた対話やアイデアが、社会課題解決のためのイノベーションや革新的なアイデアの創出につながっていくと考えています。そのためには、社会や人々への理解や共感が不可欠であり、社員同士も違いを認め合い、多様性を尊重し合うことが大切です。

富士通では、個々の多様性を活かすインクルージョンを推進する、「Global D&I Vision & Inclusion Wheel」を策定し、「誰もが自分らしくあるために」を目指す姿として掲げ、多様な属性・領域を尊重し、認め、活かす職場づくりをグローバルで推進しています。

社員と会社それぞれのパーパスをすり合わせ、
仕事をより「自分ごと」に

多様性を活かす職場づくりを実現するためには、個人の気づきや意識変容が重要です。そこで社員一人ひとりの想い・個人のパーパスを言語化する対話プログラム「Purpose Carving」を全社へ展開しています。こうした変革を加速するには、社長をはじめ経営層から実践することが重要と考え、TOP FIRSTで実践しています。

この対話プログラム「Purpose Carving」を通じて、社員一人ひとりが個人のパーパスを掘り起こし、個人と会社のパーパスを摺り合わせることによって、個人や組織の行動変容が生まれることを期待しています。社員が富士通のパーパスに共感するとともに、個人のパーパスも追求し摺り合わせることで、より幸せを実感できる企業にしていきたいという思いです。こうした、取り組みが富士通のパーパス実現につながり、持続可能な社会づくりに貢献できると考えています。

自ら手をあげ前に進む、
自律的に働ける環境がビジネスを持続可能に

一方、組織が変わるには、組織を構成する人が変わらなくてはなりません。社員一人ひとりが自律的に考え、前に進んでいくマインドを持つことで組織も変わります。そのマインドを組織変革の原動力とするために、富士通では、人材マネジメントを転換し、社員の自律的な働き方をサポートする仕組みを作りました。

具体的には、社員のチャレンジをサポートするポスティング制度の拡充、ジョブ型報酬制度の導入、高度な専門知識を有する人材への処遇制度・評価制度の見直しです。現在、約800人の新任幹部社員がポスティング制度で登用され、約2300におよぶポジションがポスティング制度で随時公開されており、社員が自ら異動し、やりがいを感じるジョブで働いています。(2021年3月時点)

さらに、社員一人ひとりが「ありたい姿」を実現するために、自律的に学び、成長し続けること、社員とその家族の心身の健康を維持・増進すること(Career & Growth Well-being)、役割や貢献に応じた適正で公正な報酬が得られること(Financial Well-being)、職場の仲間、家族や友人などとの信頼関係や良好な人間関係を構築、維持すること(Social Well-being)などをWell-beingのコンセプトとして固め、グローバルに取り組んでいます。

このような取り組みにお金をかけることについて、多くの企業は短期的なコストと捉えがちですが、人や組織に対してインパクトを与え、組織を変革していくための中長期的な投資だと考えていくことが大切です。

「Work Life Shift」のコンセプトで働き方改革を推進したことも大きな変革です。富士通では、「毎日の通勤」という概念をなくし、最適な働き方を社員自身が自律的に選べるようにしました。会社が社員を信頼し、社員も会社を信頼するという関係性をベースに、仕事内容やライフスタイルに応じた最適な働き方ができる「Smart Working」、勤務する場所にとらわれずHybrid Workを実践する「Borderless Office」、そして、社員の自立性と信頼関係をベースにした「Culture Change」の3つの働き方改革を実践しています。

富士通は、人材・組織の変革により、社員一人ひとりが最大限に力を発揮できる環境づくりに取り組み、「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」というパーパスを通じて、サステナブルな世界の実現を目指します。

富士通株式会社 CHRO室長
森川 学
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