岩手県 一戸町 様

IP無線システムとWi-Fiによる防災・観光用途の情報通信環境を整備

重層的な地域公共ネットワークによる情報アクセス環境を実現

5GHz帯IP無線システムと観光・防災Wi-Fiステーション

岩手県内陸北部に位置する一戸町(いちのへまち)様では、約1万3,000人の地域住民の皆様と同町を訪れる方々に必要な情報を確実にお届けする無線システムの設置を進めています。
FNETSでは、災害時に強い多重インフラ整備という一戸町様のニーズに沿って、5GHz帯IP無線システム(FBW-5n)と観光・防災Wi-Fiステーション導入をサポートしてきました。技術力や製品品質はもちろん、町の皆様と積極的にかかわり必要なニーズを一緒に探っていく当社の姿勢を高く評価していただいています。

課題
  • 災害時の情報伝達手段の確保
  • 観光地に情報アクセス手段の提供
選定理由
  • 無線を中心とした地域公共システムの知見と技術力
  • 町に溶け込み、本当に必要なニーズを汲み取る浸透力
効果
  • 災害時に確実に稼動する無線システムの整備
  • 御所野遺跡をはじめとする観光地でのアクセス環境確立
  • 町の活性化に向けた、長期かつ持続的な貢献

本音の対話と地道な実地検証で町の課題解決に貢献しています。

背景

東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県。内陸部の一戸町様の被害は軽微ではあったものの、県内の他の自治体の救援活動を行う中で日頃の備えの重要性を再認識されました。災害時にも強い多重化されたインフラ整備を進めるために、総務省の平成25年度補正予算「地域公共ネットワーク等強じん化事業」を活用し、FNETSが開発した5GHz帯無線LANシステムであるBWAソリューション「FBW-5n」をご採用いただきました。

「本庁舎と重要拠点・避難所間を結ぶ光ファイバー回線は、集中豪雨や豪雪による断線のリスクがあります。孤立化した地域との情報の受発信ができるバックアップのシステムを検討した結果、雪などの影響を受けにくく、災害に強い5GHz帯であるFNETSのシステムを導入しました」と総務部 まちづくり課の山田様は話しています。

一戸町総務部まちづくり課
主査 山田 晃 様

概要

25kmの区間でも高速通信を実現することのできる屋外無線LANシステムにより、町内7ヶ所の防災情報ステーションをはじめとする33カ所の避難所等の無線LAN環境を整備しました。導入に当たり、FNETSは一戸町様と丹念な実地調査を行い、アンテナの敷設場所を検討しました。直接見通しが効かない区間については、周辺で最も標高が高い折爪岳の山頂にアンテナを設置して拠点をカバー。

総務部 まちづくり課の來田様は、「机上レベルではない当町の環境や地形を踏まえた具体的な提案をベースに、実際の設置環境を一つ一つ検討し、着実な導入を進めることができました。1ヶ所だけ、どうしても適切な敷設場所が見つからずあきらめかけていたところ、奇跡的に他のアンテナが目視できる場所を見つけ、FNETSの担当者と一緒に喜び合ったのが印象的でした」と振り返ります。 また、FNETSが提供するSDN(注)ソリューションについても、試験的に導入済み。本年度エンハンス版を導入予定です。

注 SDN:Software Defined Network ネットワークの構成をソフトウェアで動的に設定・変更できるネットワークシステムのこと。

一戸町総務部 まちづくり課
主事 來田 忍 様

高利得指向性アンテナ
折爪岳の山頂にアンテナを設置

効果

2015年2月から本運用を開始しました。幸い、本システムが必要となる非常事態は発生していませんが、導入後に有線系回線の機器故障が偶然起こり、自動的に無線LANシステムへと切り替わる事態が発生。「災害時、職員は緊急の業務にかかりきりになるはず。操作を必要とせず自動的に切り替わったのを目の当たりにしてより安心感が増しました」(來田様)。また、SDNについては非常時に職員が本庁舎のサーバルームに入ることができない事態が想定される中で、ネットワークの各種設定を遠隔操作できるのは有効性が高いと評価されています。

今後の課題

防災情報ステーションに追加する形で、観光地での情報案内のシステムの導入を進めています。世界遺産登録の期待が集まる御所野遺跡や北東北屈指で外国人スキーヤーの利用も多い奥中山高原スキー場などで来訪者が利用できるWi-Fiスポットを2015年12月までに整備して情報アクセスの環境を提供するほか、多言語対応の観光アプリの導入も検討されています。

また、町の若手職員とFNETS社員による一戸町の未来を考えるワークショップを2015年7月に実施しました。子育て、若者、しごとの3つをテーマに、ICTを活用した町の活性化の方策について意見を出し合いました。部署の違う職員の皆様の意見に、FNETSの町外からの視点、ICTを交えた視点を合わせ、一戸町様の今後のまちづくりのアイデアとして活かしていただけました。さらには町役場の皆様との交流を深めることにもつながりました。寄せられたアイデアは、町の今後の施策検討の資料として役立てられています。

町の若手職員とのワークショップ
アイディアの出し合い

このほか、年1回開かれる町の最大のイベント「一戸まつり」にもFNETS社員が参加し、山車を引いて祭りを盛り上げています。「ここまでかかわってくれることに驚いています。取引相手というより、『同志』に近い存在ですね」(山田様)。

町の先頭に立ってシステム導入を進めてこられた町長の稲葉様は、「FNETS社員の、町と深く関わろうとする姿勢を評価しています。今後も外部の視点、ICTの専門家としての視点から、一戸町の可能性を広げるお手伝いをしてもらえれば」と話されています。

FNETSはこれからも、地域に根ざしたお客様志向の提案で一戸町様に貢献していきます。

一戸町 町長
稲葉 暉 様

岩手県 一戸町 様

面積300.03 ㎢
人口13,491人、5,821世帯(2015年9月1日現在)
ホームページhttp://www.town.ichinohe.iwate.jp/

岩手県内陸北部に位置し、北上山地と奥羽山脈に囲まれ、山林・原野が61%を占める高原の町です。農業、畜産業などが盛んで、太陽光やバイオマス等による地産地消型の再生可能エネルギーの活用にも取り組んでいます。町内にある「御所野遺跡」は、「北海道・北東北の遺跡群」の一つとして世界遺産登録を目指しています。また、2016年に岩手県で開催の国体で、なぎなた競技の会場として内定。「なぎなたの町一戸」として町民挙げて普及活動に取り組んでいます。

一戸町キャラクター
「ごしょどん」
御所野遺跡
一戸町役場 庁舎

本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

[2015年12月9日掲載]

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