杉並区立 和田中学校 様

実証実験レポート

タブレット端末を活用した教材で次世代教育を支援

デジタル教材

正解が無い問いに対して、生徒自ら考え、人の意見に耳を傾け、議論する授業「よのなか科NEXT」を始めとする先進的な取り組みが、全国の教育現場から注目を集めている東京都杉並区立和田中学校様。ICTを活用した教育にも力を入れており、校内研究の一環としてデジタル教材が活用されています。
FNETSでは、全く新しい学びを生むツールで次世代教育をサポートするための実証実験を和田中学校様と行っています。

本システムの特長

「集中力・記憶力」を育成するオリジナルのドリル教材(東北大学・川島隆太教授監修)

  • 計算テストや単語テストによって脳を活性化することにより、集中力と記憶力を短時間で向上させる
    ※脳の活性化については個人差があります。

協働教育を促進する授業支援ツール(意見板)

  • 生徒がタブレット端末に書いた意見を教師が瞬時に把握できる
  • 電子黒板などを用いて、教師用画面を生徒に公開できる

背景

2010年7月、総務省は学校現場でのICT活用に向け、小学生に一人1台タブレット端末を持たせ、実用化の可能性を検証する「フューチャースクール事業」を開始しました。

教育現場におけるICT活用の機運が高まる中、FNETSは、ネットワーク技術を生かしたソリューション開発にチャレンジ。その一環として、タブレット端末を用いて授業や学習の支援を行うツール「デジタル教材」を開発しました。

一方、ICTの導入が遅れている日本の教育現場に危機感を抱いていた和田中学校の代田昭久校長。「ICTの活用によって、教師と生徒の2Wayコミュニケーションを充実させ、教師と生徒間のコミュニケーションを飛躍的にスピードアップさせたい」と考えていました。

そこで、FNETSのデジタル教材を和田中学校様におけるICTに関する校内研究の一環として活用いただくこととなりました。

概要

「デジタル教材」の機能は大きく2つあります。

1つ目は集中力・記憶力強化ツールです。これは単純な計算問題や瞬間記憶力を鍛える問題を次々と解いていくもの。テスト内容は、東北大学の川島隆太教授の監修のもと考案しました。テストを通して脳の前頭前野という部分を活性化させ、集中力と記憶力を向上させることを目的としています。

2つ目の機能は授業支援ツールです。これは教科を問わず授業の進行に役立つツールのことで、「理解度チェック小テスト」と「意見板」の二つがあります。

「理解度チェック小テスト」はこれまで紙で実施されていた小テストを、タブレット端末上で行えるもの。生徒の解答状況がリアルタイムで教師の端末に表示され自動で採点でき、解答率の低い難問の抽出、つまずいている生徒への素早い指導など即時にフィードバックができます。

「意見板」は、生徒一人ひとりが記入した意見を集約し、電子黒板などに表示させることで、全員の意見が同時に参照できるツールです。タブレット端末に入力するだけで一人ひとりの記入内容がすぐに一覧表示できます。自分の頭で考え発言する授業やディスカッションを行う授業を効率的に進めることが可能です。

「デジタル教材」の実証実験を開始するにあたり、和田中学校様にiPad42台を無償貸与しています。

集中力・記憶力強化ツール。短時間で問題を解いていき、脳を活性化させます。

授業支援ツール「意見板」。キーボード入力も可能です。

結果

集中力・記憶力強化ツールは、脳を活性化させて学習効果を高めるため、1時間目が始まる前に活用されており、生徒たちは「計算テスト」や「認知・記憶力テスト」に集中して取り組んでいます。「履歴が正確に残るため、デジタル教材はドリルなどの反復学習に向いています」と代田校長はおっしゃっています。

一方、授業支援ツールの「意見板」は、社会・理科・国語・「よのなか科NEXT」等、教科に限定されず、あらゆる授業で活用されています。生徒たちは自分の意見や考えを積極的に発信すると同時に、他の生徒の意見や考えを見ることで、多様な考えを知る学びにつながっています。それにより授業への参加意識が醸成され、教育の質の向上にも効果を発揮しています。

この度の実証実験を通じて、ICTの活用に積極的な代田校長は、「"基礎的な知識の習得"と"思考力・判断力・表現力の育成"にはデジタル教材は非常に有効なツールだと思っています」とおっしゃっています。

杉並区立和田中学校
代田 昭久 校長

今後の展開

実証実験では他の教科での導入も進み、教師がそれぞれ工夫をこらして「デジタル教材」の活用方法を模索しています。「各教科で活用する機会をもっと増やせるよう、環境を整えていくのが課題」と代田校長はおっしゃっています。

まだまだ発展段階のデジタル教材は、今後も教育現場のニーズに応える形で新たなツールを開発してゆく予定です。「集中力・記憶力強化ツール」は生徒の解答データを蓄積し分析できるのが大きな特長なので、学習効果の高まりをデータとして取り出し、その効果を示すことを目指しています。また授業支援ツールは、今回の実証実験を通じて得た要望を生かし、今以上に教師と生徒のコミュニケーションの活性化を支援できるツールに育てていきます。

FNETSは、授業を支援するソフトウェアをベースに、使用するタブレット端末や、生徒のデータを収集するネットワークインフラ、ツールの活用方法のノウハウなど、デジタル教材の導入に必要な課題をトータルで提供できるソリューションの提供を目指します。

杉並区立 和田中学校 様

開校1949年4月
所在地東京都杉並区和田2-21-8
全校生徒453名(12クラス)(2012年4月現在)
ホームページhttp://www.suginami-school.ed.jp/wadachu/

和田中学校様は2003年、都立公立中学校で初めて民間人の校長を採用しました。
就任した藤原和博氏は、世の中の仕組みを学ぶ「よのなか科」といった独自のカリキュラムを実施しました。
現在の代田昭久校長も民間人の出身であり、藤原氏が進めてきた学校改革をさらに推進しています。
特に最新の脳科学に基づいた「和田中ブレイン・トレーニング」等、ICTを有効活用した学力向上に積極的に取り組んでいます。
現在、和田中学校様の学力は全国でも高い水準にある杉並区の中でもトップクラスです。

本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

[2012年4月27日掲載]

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