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富士通アドバンストエンジニアリング(FAE)

Japan

町田市民病院様

治験システムと電子カルテシステムの情報連携が医療機関全体をサポート
患者(被験者)にとって安全で適切な治験を医療チームで実施



町田市民病院様では平成12年(2000年)から治験を実施していましたが、平成20年の電子カルテシステム導入に併せて治験管理システムを導入しました。システム導入前は紙の治験情報を手作業でやり取りしていたため、業務が煩雑であり、治験支援室だけでなく医師やコ・メディカル(注1)にも負担がかかっていました。導入した治験管理システムは電子カルテシステムと連携しており、治験情報がPC端末で登録・参照できるため、プロトコル(治験実施計画書)違反の防止やスケジュール管理などをより効率的に実施できます。そのため、治験の質を高いレベルに保ちつつ、スタッフの業務負荷を大幅に軽減することができました。

[2010年(平成22年) 7月 5日掲載 ]

導入事例概要
導入事例概要
業種: 医療機関(病院)
導入システム: 治験管理システム(NMGCP V3)、電子カルテシステム(HOPE/EGMAIN-FX)
構築期間: 約7ヶ月
課題と効果
課題と効果
1 電子カルテシステムから治験情報を参照できるようにする 電子カルテシステムと治験管理システムがシームレスに連携。電子カルテシステムに被験者であることが表示され、各種の治験情報が画面で確認できるようになった。
2 治験の質の高さを効率的に維持する 電子カルテシステムから治験の検査項目・スケジュール・併用制限薬・副作用などが参照できるので、プロトコル違反を効率的に予防できるようになった。
3 治験に関わるスタッフの業務負荷を軽減する 紙による治験情報のやり取りは煩雑で、治験支援室、医師、コ・メディカルの負荷が大きかったが、電子化により業務が効率化され、負荷が大幅に軽減された。

導入の背景

電子カルテの導入に併せて、治験業務をサポートするシステムを導入

院長(兼)
泌尿器科部長
近藤 直弥 氏
東京都町田市の中核病院である町田市民病院様は、「患者さま中心の医療」の基本理念のもと、市民の方々に信頼される医療機関としてチーム医療を展開しています。
「治験」は、昔は主に大学病院や国立研究機関などの大規模施設で実施されていましたが、近年では実施機関が中・小規模病院にも広がっています。
「当病院では、“治験ができる力をつけることは、臨床研究を進める力につながる”という強い信念のもと、平成12年5月に治験支援室を設置し、同年12月より治験を実施しています。」(近藤氏)
そして町田市民病院様では、患者様の利便性と医療の安全性の向上、および業務の効率化のために、平成19年秋に電子カルテの導入を決定しました。検討の結果、電子カルテシステムではトップシェアを獲得している富士通の電子カルテシステム「HOPE/EGMAIN-FX」の導入が決定し、それに併せて、富士通アドバンストエンジニアリング(以下、FAE)の治験管理システム「NMGCP」が導入されました。平成20年5月から、院内約650台の端末で、これらのシステムが稼働しています。
「電子カルテの導入に際し、治験事務局である治験支援室からも“電子カルテ上で、治験が実施されている患者(被験者)か一般患者かどうか、どんな薬が投与されているのか、治験における注意事項は何か、等がすぐに分かるようにして欲しい”といった要望を出しました。その結果、FAEの治験管理システムが併せて導入されました。」(井草氏)

システムの概要

受付から準備、実施、完了、報告まで、治験業務全体を支援

治験期間は通常、短くても数ヶ月、長ければ数年に及び、被験者の協力とスタッフの負担の上に成り立っています。万が一、検査項目の漏れや併用制限薬の使用などのプロトコル違反があると、データ損失のみならず、被験者の安全をも脅かす危険性を秘めています。
治験管理システム「NMGCP」は、治験の受付から準備、実施、完了、報告までの業務全体を支援し、治験の品質向上と、CRC(注2)や医師の負荷軽減を図るパッケージで、電子カルテシステムとの連携も可能です。

治験において、IRB(注3)の設置と、依頼者である製薬メーカーや医療機器メーカーから受領したプロトコル、およびGCP(注4)の遵守は必須です。治験管理システムでは、まず準備として治験内容・検査項目・スケジュールなどのプロトコルを登録します。
町田市民病院様ではさらに、依頼者から提供される副作用情報も必要に応じて電子化し、システムに登録しています。

町田市民病院様の治験管理システムは、電子カルテシステムとシームレスに連携しています。電子カルテシステムの機能の一部として治験管理システムが組み込まれているので、ユーザーは1つのシステムという感覚で利用できます。
「導入されたシステムは、我々の出した要望を満たしてくれました。治験が開始されると、被験者の電子カルテ画面には、お名前の横に赤字で“治験”と表示されます。さらにメニューを選択すると、登録されている検査項目・スケジュール・副作用情報等を画面で参照・確認できます。」(井草氏)

導入の効果

治験の質を高いレベルに維持しつつ、業務負荷の軽減と効率化を実現

町田市民病院様における治験管理システムおよび電子カルテシステム導入の最大の効果は、「治験の品質を維持するための負荷が軽減されたこと」です。 治験には、治験支援室、医師、コ・メディカルなど、多くのスタッフが関わっています。町田市民病院様ではスタッフのチーム意識が高く、システム導入前も、チーム体制を組み高い品質の治験を実施していたのですが、その品質を維持するための負荷もかなり大きなものでした。
たとえば、1診療科1カルテであったため、医療スタッフの注意喚起のために、被験者のカルテ全てに治験中であることを示すシールを貼付する、といった非効率的な作業をしていました。また、企業からの副作用情報も紙ベースだったため、配布作業が発生していました。治験の進捗管理についても、有害事象・副作用の発生はないか、検査項目のオーダーミスは無いか、スケジュール通り進んでいるか、併用制限薬は処方されていないかなど、カルテを集めて随時細かくチェックしていくことに、膨大な労力を割いていました。
「たとえば検査項目に漏れがあって、被験者の状態が悪化しているのが分からなかったという場合、そのまま治験を継続すれば危険な状態に陥る可能性があります。こういった事態の発生を防ぎ、治験の質を維持するには、厳密な進捗管理が必要です。システムを導入してからは、PCで検査の状況や処方の内容をまとめて確認でき、万が一問題があるときはすぐに指摘ができるので、作業の負荷が大きく軽減されたと感じています。」(井草氏)
医師やコ・メディカルにとっても、治験は「いつ・どんな検査をすべきか」「この薬は処方しても大丈夫か」「この症状は治験薬が原因か否か」など、さまざまな気配りが必要な業務です。しかし紙のカルテの場合は、手元に届くのを待たなければ診療情報や治験情報が見られず、対応に手間と時間がかかります。これらについても、システムの導入によって負荷が大きく軽減されました。
被験者が複数の診療科にかかっている場合も、各診療科の医師は、電子カルテを見るだけで、治験中であること、その治験で必要な検査や注意事項などをすぐに知ることができ、確実な情報共有ができます。
学術部長(兼)
小児外科部長(兼)
治験支援室長
水野 良児 氏
「システム導入後は、ToDoリストなどで必要な検査をモレなく知らせてくれるので人為的ミスがありません。副作用情報も、以前は紙やCD-Rなどで配布されていたため、必要な時に情報を膨大な資料の中から探すことになり、すぐに確認できないという問題がありました。システム導入後は、必要に応じて、情報を電子カルテに取り込んでいるため、素早く確認できるようになりました。これらは治験の段取りをスムーズにし、チーム全体の負荷軽減と、効率や安全性の向上に役立っています。」(水野氏)
「システムの導入は、治験の質を高いレベルで維持しつつ、業務改革を実現してくれました。治験業務の負荷が軽減されたため、患者様への対応により多くの時間を割けるようになった、というのも大きなメリットです。」(近藤氏)

「当院の治験支援室の実務者は1.5名です。当院がこの人数で高い品質を維持できているのは、チーム全体が高い意識で治験に取り組んでいることに加えて、治験管理システムによるサポートがあるからだと思います。」(井草氏)

将来の展望

システムの機能をさらに使いこなし、より効率的な治験業務を目指す

[表1 年度別実施率]2005年度 83.3%、2006年度 100.0%、2007年度 100.0%、2008年度 82.1%、2009年度 91.7%。(注意:治験投薬に至った被験者のみをカウント)
治験は全国各地の病院で実施されていますが、製薬メーカーなどから依頼された症例数に対し、治験を最後まで実施できた症例数は、一般的には平均で60~70%程度です。一方、町田市民病院様では、右記(表1 年度別実施率 参照)のような高水準となっています。
「当院では治験を実施するようになってから約10年ですが、その間、検査未実施、併用禁止薬の使用というプロトコル違反は1件も発生していません。この質の高さは、治験支援室、そして治験に関わる医師やコ・メディカルの努力に支えられていますが、治験管理システムもそれを強力にバックアップしています。システム導入により、治験の質を高いレベルに保ちつつ、チーム全体の負荷を軽減できた、というのは大きな効果だと実感しています。」(水野氏)
治験支援室
主査
治験事務局長
井草 千鶴 氏
「当院では、治験協力部門のインセンティブの一環として、研究経費をチームに分配しています。これも、治験の円滑な進行に効果を発揮していると思います。」(井草氏)
町田市民病院様における治験の質の高さは製薬メーカーも認めるところであり、治験依頼のリピート・新規依頼の増加だけでなく、高度な臨床研究の依頼もあります。また平成21年からは、喘息や肺気腫などの国際共同治験にも参加しています。
また治験全体においても、現在紙で提出されているCRF(注5)(症例報告書)の作成を、CDISC(注6)標準に対応して電子化する方向性にあります。医療機関として、これにも対応し、さらなる効率化を目指していかなければならないと考えています。
「製薬メーカーからの信用が高くなり、治験の依頼が増え、治験管理システムで効率が向上すれば、治験数をもっと増やすことは可能でしょう。しかし、数をむやみに増やすことは考えていません。あくまで被験者の安全性を確保し、治験の質を維持しつつ、さらに発展させていこうというスタンスです。そのためにも、治験管理システムの活用は不可欠であると考えています。」(井草氏)
町田市民病院様では、FAEの技術力やサポート力についても、高く評価しているとのことです。その評価にお応えするよう、当社では今後もより良い技術やサービスのご提案を通じて、町田市民病院様のチーム医療を支援してまいります。


【担当者からの感謝の言葉】

日々ご多忙な診療業務の中で、この度の取材のお時間を頂きまして、誠にありがとうございました。
人々の健康維持に必要不可欠な薬の存在、その新薬開発業務を支援する医療機関様向けの情報システムとして、患者様の安全を第一に考える治験支援室様と共に、安全で適切な治験をサポートするシステムを構築することができました。
今後はCDISC標準による症例報告書の電子化等を進め、更なる利便性の向上を目指したご提案を続けてまいります。

株式会社富士通アドバンストエンジニアリング
生産ビジネス本部生産ソリューション統括部
ソリューションサービス部 医薬R & D課
高橋 伯昌

町田市民病院様 概要

町田市民病院様 概要
開設 1958年(昭和33年)2月1日
事業管理者名 四方 洋
院長名 近藤 直弥
副院長名 佐藤 裕、金崎 章、羽生 信義、櫻本 千恵子
所在地 〒194-0023
東京都町田市旭町2-15-41
病床数 441床(一般病床) うち特別集中治療室=6床
新生児特定集中治療室=6床
ホームページ http://www.machida-city-hospital-tokyo.jp

関連リンク

用語解説

注1 コ・メディカル:
co-medical(和製英語、英語ではparamedic)。医師と協同して医療を行う病院職員の総称。看護師・検査技師・放射線技師・薬剤師・理学療法士・栄養士などが該当する。
注2 CRC:
Clinical Research Coordinatorの略。治験コーディネーター。治験実施施設において、専門的立場から治験業務の円滑な進行と運営を支援する。
注3 IRB:
Institutional Review Boardの略。治験審査委員会。治験の倫理や安全性に問題がないかを審査する。
注4 GCP:
Good Clinical Practiceの略。医薬品の臨床試験の実施の基準。被験者の人権と安全を保護し、治験の科学的な質とデータの信頼性を確保することを目的としている。
注5 CRF:
Case Report Formの略。症例報告書。被験者のデータをまとめた報告書。
注6 CDISC(シーディスク):
Clinical Data Interchange Standards Consortiumの略。非営利の臨床データ標準化団体。

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