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第13回 グリーンICTへの取り組み

地球温暖化をはじめとする環境問題は現代社会が抱える重要課題であり、企業もCSRの一環として取り組みを求められている。その1つがグリーンICTの適用である。ICTシステムの導入・運用において温室効果ガス排出を抑制することを指すが、具体的にはICT機器による消費電力の削減とICT技術による環境負荷の低減が挙げられる。
今回は、この2つの側面から「グリーンICTへの取り組み」について考察する。企業は、ストレージシステムに関してどのような取り組みを行っているのだろうか。

(注)本連載ではIDCのレポートを基に、中堅中小企業=1人~999人以下、大企業=1000人以上と定義する。

環境対応が重視されるディスクストレージシステム

温室効果ガスの排出を抑制するための方策として一番に挙げられるのは、発電によるCO2排出を抑えること、つまり消費電力の削減である。外付型ディスクストレージシステムを導入する際に何を重視するかという調査でも、わずかの差であるが「必須条件とする」に「消費電力の削減効果」を挙げる企業の割合が一番多い。

「省スペース化」「冷却コストの削減効果」「規制などに対応した装置仕様」も間接的には消費電力の抑制につながるものである。いずれについても、「必須条件ではないが重視する」と回答する企業は7割に上る。ストレージシステムに関して、企業の環境問題への関心の高さが伺える調査結果と言える。

ディスクストレージシステムにおける対策の主流

では、消費電力を削減するために実際にどのような取り組みを行っているのだろうか。IDCでは外付型ディスクストレージシステムに対する消費電力削減対策について調査を行っている。

「ストレージ統合によるシステム数削減」という回答が最も多い。それに次いで回答率が高い「テープへのアーカイブ」「2次ディスクストレージへのアーカイブ」は、使用頻度や重要度が比較的低いデータを消費電力削減効果の高いオフラインやニアラインストレージに振り分けるストレージ階層化による対策である。

いずれも大企業の回答率が高いことに注目したい。システム規模が大きく、かつデータ量も膨大なため、本対策による消費電力削減効果の期待が大きいという表れだろう。

新しい技術による対策

上のグラフで、上位3つ以外の回答は新しい技術を活用して消費電力削減を図ろうとする対策であり、その対策は2つに大別できる。1つは「消費電力を抑える技術」、もう1つは「ディスク利用効率を向上する技術」である。

消費電力を抑える技術の採用

「FCドライブからSATAドライブへのデータ移行」「MAIDの利用」「SSDの利用」は、主の用途は異なるが、いずれも消費電力削減対策にも繋がる技術である。
FC(Fibre Channel)ドライブは高速なアクセスが可能だが、その分消費電力も大きい。そのため、高速なアクセスを必要としないデータは、FCに比べて転送速度は若干劣るものの、消費電力が小さいSATAドライブに格納することで、消費電力削減が可能になる。
MAID(Massive Array of Idle Disks)は、アクセスが必要なとき以外はハードディスクドライブの回転を停止することで、電力消費を抑える技術である。グリーンICT実現の主要技術の1つとして、採用している製品が増えている。
SSD(Solid State Drive)もまた、グリーンICT実現のための技術として注目を集めている。フラッシュメモリを利用しており、高速アクセスが可能、小型で軽量、低消費電力という特徴を備えている。
SSDの導入目的を尋ねた調査では、「消費電力 / 冷却コストの削減」を目的とした企業が30%を超えている。

ディスク利用効率を向上する技術を採用

シン・プロビジョニングについては第10回、デ・デュプリケーションについては第11回で取り上げたが、どちらもディスク利用効率を向上するための技術である。「シン・プロビジョニングの利用」と「デ・デュプリケーションの利用」という回答は、これらの技術を導入することで、ストレージデバイスの増加を抑え、消費電力の削減につなげようという対策である。
さらに、「シン・プロビジョニングの選択基準」という調査の結果を見ると、「運用管理コストの削減効果」「管理者の作業負荷の軽減効果」「ストレージハードウェアコストの削減効果」などの回答が多いが、「電力コストや冷却コストの削減効果」への回答率も20%を超えている。

また、「デ・デュプリケーションの導入目的」という調査でも、「バックアップデータの容量削減」「バックアップ時間の短縮」「バックアップ/ リストア作業の負荷軽減」という効果に加え、「ディスクストレージの消費電力削減」「省スペース化の実現」といったグリーンICT実現への副次的効果を期待している企業も多いことがわかる。

グリーンICTへの取り組みは避けては通れない課題である。ストレージシステムに関しては、ストレージ統合や階層化によって全体的な効率化・最適化を図り、導入や運用のコストを削減することで、消費電力削減につなげようという動きが見られる。また、SSD、MAID、シン・プロビジョニング、デ・デュプリケーションなどの新技術の活用による取り組みも始まっている。今後は、仮想化技術の導入もポイントになってくるだろう。企業は、自社システムのニーズに応じ、ストレージシステム運用の効率化と同時にグリーンICT対策も実施していかなければならない。

富士通のストレージソリューション

企業には、環境法規制への対応やCSRへの要求など、環境問題への積極的な取り組みが求められています。富士通は、環境に配慮したスーパーグリーン製品に加え、低消費電力技術や利用効率向上する技術を導入することで環境負荷を低減する製品を提供しております。ETERNUS DX60/DX80/DX90は省電力・省スペース設計により、環境負荷の低減においてトップグループに位置するスーパーグリーン製品です。装置を構成する部品点数の減少によりコンパクト化、省電力化を実現。さらに装置内の電源供給モジュールの効率アップと、冷却ファンの回転数制御の最適化により、消費電力を抑え、年間のCO2排出量を大きく削減します。MAID技術の応用によりディスクの回転を停止させて消費電力を削減するエコモードも利用できます。ETERNUS DX80/DX90は、低消費電力、高信頼・高性能なSSDをサポートしています。
ミッドレンジ向けETERNUS DX400 seriesおよびエンタープライズ向け ETERNUS DX8000 seriesでは、エコモードやSSDのサポートに加え、ストレージ容量の仮想化技術であるシン・プロビジョニングをサポートしています。
また、ETERNUS CS800 デデュープアプライアンスを導入することで、データの重複排除と圧縮によりバックアップの効率化・高速化を実現し、ディスク利用効率を向上します。
そのほかにも、ストレージ仮想化などさまざまな技術を活用し、環境負荷軽減に向けて取り組んでいます。
富士通は、これからも環境負荷軽減に向けた製品・ソリューション開発に積極的に取り組んでいきます。


【参考】
ストレージの基礎用語 シン・プロビジョニング(Thin Provisioning)とは
用語解説 重複排除
用語解説 ストレージ仮想化とは

掲載日:2010年12月20日


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