富士通社員が観た!WEC第4戦モンツァ6時間レポート

富士通は今期、FIA(国際自動車連盟)主催のFIA世界耐久選手権(FIA World Endurance Championship:略称WEC)へ参戦するトヨタ自動車株式会社様のレーシングチーム「TOYOTA GAZOO Racing新しいウィンドウで表示(以下TGRさん)」を応援しています。

2022年7月10日、イタリアのモンツァ・サーキットにて、今シーズン4戦目となるWECモンツァ6時間レースの決勝が行われました。結果は、TGRさんの2台のGR010 HYBRID(※1)が厳しいレースを戦い抜き、8号車が首位と僅差の2位、7号車が3位に入り、見事ダブルで表彰台を獲得しました。

富士通で「モータースポーツ盛り上げ隊」と呼ばれている私、松永も、ここ日本からテレビの前で手に汗握りながら応援していました。今回は盛り上げ隊の代表として、レース結果をレポートします。

  • ※1
    GR010 HYBRID:TGRさんが2021シーズンに向け開発し、WECで最高峰クラスであるHypercarクラスに参戦させた車両。
目次
  1. トラブルに見舞われながらも、2台のGR010 HYBRIDが見事表彰台を獲得
  2. 松永が見た、テクノロジーの可能性

トラブルに見舞われながらも、2台のGR010 HYBRIDが見事表彰台を獲得

まず、FIA世界耐久選手権(略称WEC)についておさらいしましょう。WECは競技用に特化して製造されるプロトタイプカーと、市販車をレーシングカーに仕立てて製造されるGTカー(グランドツーリングカー)が混走して争う耐久レースの世界選手権です。また、「Hypercar」、「LMP2」、「LMGTE Pro」、「LMGTE Am」の全4クラスが設けられています。

クラス名 カテゴリー 特徴
Hypercar プロトタイプカー WEC最高峰クラス。高性能なプロトタイプカーを使用。TGRさんのGR010 HYBRIDもこのクラスにエントリーしている。
LMP2(ル・マン・プロトタイプ2) プロトタイプカー LMP2と呼ばれる車両規則に基づいたプロトタイプカーによって争われているクラスで、出場できるのは自動車メーカーやエンジンメーカーのワークスチームではないプライベートチームに限られている。
LMGTE Pro(ル・マン・グランドツーリング・エンデュランス プロ) GTカー 自動車メーカーのワークスチームが世界タイトルを争う、プロフェッショナルチームのためのGTカテゴリー。
LMGTE Am(ル・マン・グランドツーリング・エンデュランス アマ) GTカー 車両はLMGTE Proに準じるが、各車3名までのドライバーのうち2名はアマチュアレベルのドライバーでなければならず、使用する車両はLMGTE Proクラスに出場する最新のワークスマシンより1年以上は古いものでなければならない。

参戦車両のパフォーマンスを均等化するため、各車両の出力を適宜制限するBoP (Balance of Performance) と呼ばれる性能調整により、Hypercarクラスは、もっぱら高速性能を競うスプリントレースのような激しいレース展開になりました。見ている側は、ワクワク、ドキドキ感満載のレースでしたね。4クラスあるうち、LMGTE Amクラスの33号車が横転する大クラッシュが発生しましたが、ドライバーが無事でなによりでした。レースの展開はそのクラッシュにより、セーフティーカーが導入され、各車のギャップがリセットとなってしまいました。

更に、注目すべきチーム別に、もう少し具体的にまとめてみました。

  • <グリッケンハウス・レーシング>
    ポールポジションからスタートするも、レース中盤に右エキゾーストより白煙を吹き上げリタイア。次戦の富士スピードウェイには不参加が決定しています。
  • <アルピーヌ・エルフ・チーム>
    終始、2台のGR010 HYBRID との激しいレースバトルを展開。7号車との接触の影響も無く、今期2勝目を挙げる。ドライバー選手権トップを維持しています。
  • <プジョー・トタルエナジーズ>
    2台ともに何度もトラブルが発生し、ピットインを繰り返していたが、34号車は25周遅れでチェッカー。次戦に期待。
  • <TOYOTA GAZOO Racing>
    レース序盤から8号車に電気系統のトラブルが発生。レースペースが落ちる中、セバスチャン・ブエミ選手の技量でドライブを続け、ピットインのタイミングで無事修復。BoP(性能調整)により、ハイブリッドの恩恵を十分発揮できない我慢のレースだったが、見事2台が表彰台を獲得。レース残り約1時間のところで、ホームストレートにて7号車と36号車(アルピーヌ)との接触により右リアタイヤがバーストしカウルを破損。あわやクラッシュになるところを、小林 可夢偉選手の技量でマシンをコントロールし、なんと3輪のまま無事にピットイン。メカニックが短時間でマシンを修復し、無事にコースに復帰できました。

続く第5戦目は、いよいよ日本母国でのレース、富士スピードウェイ(以下、富士)で行われます。決勝は9月11日。新型コロナウイルスの影響で開催中止が続きましたが、今年、3年ぶりに開催されることとなりました。非常に楽しみですね!次戦の富士は、マニュファクチャラー及びドライバーの2タイトルを獲得するためにも(※2)重要なラウンドとなり、トヨタやアルピーヌのチーム一丸となった戦いが見どころですね。またレーシングカーの象徴ともされるリアウイングを無くしたプロトタイプ、プジョーのリアウィングレス車を生で観られるのも楽しみで、レース展開も面白くなることを期待しています。私もぜひ現地に応援に行きたいと思っています。皆さん、現地やテレビの前で一緒に応援しましょう。

  • ※2
    マニュファクチャラー:参戦チームの中でも、レース車両を製造するメーカーが直接運営するチームを指す。

松永が見た、テクノロジーの可能性

私見となりますが、富士通の持つデジタルアニーラデータドリブン、AI等のテクノロジーを活用することにより、富士通もモータースポーツに大きく貢献できると思いました。例えば次の3つの例が考えられると思います。

  • テレメトリーデータを活用したトラブル事前予測
  • 過去データを活用したシミュレーションによるレース戦略
  • SNSよりファン層が求めるニーズを分析し、求める情報発信、サービス提供によるファンの囲い込み

富士通のテクノロジーがモータースポーツの第一線で活躍する場面を早く見られるよう、私自身も仕事に励みたいと思います!

富士通では、モータースポーツをはじめとした新たな分野でのチャレンジを通じ、カーボンニュートラルなどのサステナブルな世界の実現をはじめ、社会が抱えている課題の解決に取り組んでまいります。

富士通株式会社
グローバルカスタマーサクセスBG
Mobility事業本部
第一Mobilityサービス事業部
松永 章市 (まつなが・しょういち)

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