量子コンピュータとは
量子コンピュータとは、量子(物質を形作っている原子そのものや、原子を形作っている電子・中性子・陽子など)の特徴的なふるまいを使って計算を行う次世代コンピュータです。1つのものが同時に複数の場所に存在する「重ね合わせ」や、どんなに離れた場所にあっても相互作用する量子同士が強く相関する「量子もつれ」といった量子力学現象を利用することで、高速に並列計算が可能となり、天文学的な組み合わせ計算でも短時間で処理できます。
量子コンピュータの仕組み
従来の古典コンピュータは、「0」か「1」かのどちらかで情報を表現する「ビット」を情報量の最小単位として計算を行います。一方、量子コンピュータは、「0」と「1」の両方の状態を同時に表現する「量子ビット」を用いて計算を行います。N個のビットは2のN乗通りのパターンをそれぞれ計算するのに対し、N個の量子ビットでは2のN乗通りの計算結果が重ね合わさった状態を1回の計算で作ることができます。複数の計算結果を同時に得ることができるため、高速な並列計算を実現します。
また、量子もつれ(エンタングルメント)の状態にある量子同士は、1つの量子への作用を瞬時に他の量子全体へ及ぼすことができます。一方の量子の状態が変化すると他の量子の状態も同時に変化する量子もつれの現象を利用することで、より複雑な問題を効率的に解決します。
重ね合わせや量子もつれなどは極小の量子の世界で起きている現象なので、ノイズの影響を受けやすくなります。量子コンピュータの実用化のためには、ノイズにより量子ビットに生じたエラーを訂正する「量子エラー訂正技術」の実装が不可欠です。
量子コンピュータが解決する社会課題
量子コンピュータは、素因数分解や最適化問題、暗号化、機械学習、量子系のシミュレーションなどの分野の計算問題を高速に解けると考えられています。
例えば、膨大な要素や条件を考慮しながら最適な結果を高速で導き出す最適化問題への適正は、交通網や製造プロセスを効率化し、環境問題や労働力不足問題の解決に貢献します。また、量子化学計算への適正は、大規模で複雑な化学反応や分子の挙動を高速に解析し、新薬の開発や、新素材の発見につながると期待されています。
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