富士通JapanによるDX、地域を幸せにするためにできること

地域DX人材が活躍 群馬県 嬬恋村

富士通Japanは豊かで持続可能な地域社会の実現に向けて、地域DX人材を全国に派遣(※1)しています。この取り組みはDXの知見を有する人材が地域に移住し、現地の視点で内側からのDXを担うもので2021年度にスタートしてから、現在では12名の地域DX人材が北は北海道、南は九州まで10地域で活躍しております。
今回は、本取り組みをスタートさせた背景や派遣前・派遣中のプロセス、また2022年度 「夏のDigi田甲子園」(※2)にて内閣総理大臣賞を受賞した、群馬県嬬恋村(つまごいむら)のスマートシティ等の取り組み事例についてご紹介します。

  • ※1
    派遣:当社は出向等で対応
  • ※2
    夏のDigi田甲子園:地方公共団体を対象として、デジタル技術の活用により地域の課題を解決し、住民の暮らしの利便性と豊かさの向上や地域の産業復興に繋がる取り組みを内閣総理大臣が表彰するイベント
目次
  1. 「地域DX人材」の必要性
  2. 嬬恋村での取り組みが「夏のDigi田甲子園」内閣総理大臣賞を受賞!
  3. 地域DX人材、こだわりの育成方法やプロセスに迫る
  4. 富士通Japanの今後に向けた2つの指針

「地域DX人材」の必要性

昨今、「骨太の方針2022」や「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に示されているように、自治体DXに向けて政府による様々な施策が実施されています。そんな中、総務省が自治体向けに実施した「DXを進めるにあたっての課題」を調査するアンケートでは、2位が「情報主幹課職員の確保」、3位が「デジタル人材の確保」といずれも「人材の確保」となっており、「デジタル専門人材の確保に当たっての課題」の第1位が「人材を見つけられない」でした。(※3

これを受けて、富士通Japanは内閣官房/内閣府の「地方創生人材支援制度」に登録。DX企業である当社からのDX人材の派遣が、自治体におけるデジタル化推進の1つの解決策になると考え、地域課題解決の取り組みを始めました。

嬬恋村での取り組みが「夏のDigi田甲子園」内閣総理大臣賞を受賞!

地域DX人材の一員である山口 倫照は、嬬恋村のデジタル推進室長として2021年4月から嬬恋村に派遣されています。嬬恋村ではスマートシティやペーパーレスに向けた企画提案だけでなく、ステークホルダーの取りまとめや補助金の申請まで総合的な役割を担っています。
この度、嬬恋村の取り組みがデジタルを活用して地域活性化を目指す自治体の取り組みを表彰する、内閣官房主催の2022年度「夏のDigi田甲子園」において内閣総理大臣賞を受賞。2022年9月2日の授賞式では山口と、嬬恋村の熊川村長が岸田総理より表彰されました。熊川村長からは「嬬恋村スマートシティは貴社の山口 倫照氏のご尽力の賜物であります」と、高い評価を頂いております。

夏のDigi田甲子園 実装部門 内閣総理大臣賞 表彰状
左から 富士通Japan クロスインダストリービジネス本部長 中川 昌彦、嬬恋村デジタル推進室長 山口 倫照、嬬恋村村長 熊川 栄氏

具体的な取り組み内容

嬬恋村では、新型コロナウイルスの影響で観光客が激減している状況に加え「観光客情報や人口情報が体系的に集約されていない」、「観光地が広域(337㎢)に点在し、観光情報も紙やネット上でバラバラに散在している」点が課題となっていました。
これらの課題解決のため、山口を中心としたプロジェクトメンバーが観光客のビッグデータ(携帯電話の台数から人口の統計を作成するモバイル空間統計、観光入込客数、約3万人のアンケート結果 等)を用いて観光事業の予測を実現しました。また観光客向けにLINEアカウントを開設し、観光案内やクーポン等を適切なタイミングで提供しました。さらに、このLINEアカウントで避難所開設情報のような防災情報の閲覧も可能とすることで、平時は観光利用、有事は防災利用と1つのアカウントで平時だけでなく有事にも対応した情報提供を実現しました。
このような取り組みの結果、2022年のゴールデンウイークの観光客数は前年の27,500 人から55,000 人へと200%も跳ね上がり、観光産業の回復に大きく寄与しました。

課題 成果
  • 観光客の激減
  • 情報が集約されていない
  • 手軽に有事の対応ができない
  • ビッグデータ活用で観光客増(GW前年比2倍)
  • 散在している観光情報を集約
  • 観光アカウントを防災アカウントとしても活用

山口 倫照 コメント

現在嬬恋村にてDXの中でも特にスマートシティ・ペーパーレスに取り組んでおります。この度スマートシティの分野で内閣総理大臣賞という名誉ある賞を頂き、非常に嬉しく思います。嬬恋村への観光客は1993年時点の年間300万人がコロナ前には200万人に落ち込み、さらにコロナの影響で2020年度には81万人まで下落し、観光産業は大打撃を受けております。このような自治体は嬬恋村だけではないと考えます。そういった状況も踏まえ、嬬恋村はもちろんのこと、嬬恋村で得たノウハウを他自治体へも展開し、日本全国の自治体の地方創生へ貢献したいと考えております。

また嬬恋村のペーパーレスについては、2021年度にペーパーレス会議システムの導入と、議員の皆様および村の各課にタブレット配布を行い、決算書を含めペーパーレス化することができました。このように会議運営、決算含めペーパーレスを実現しました。

地域DX人材、こだわりの育成方法やプロセスに迫る

全国8地域に9名の地域DX人材を派遣。各地域で先進的な取り組みを実施(2022年8月末時点)

地域DX人材は、嬬恋村以外にも日本全国に派遣されており、その実施に当たっては派遣前から派遣後まで様々なポイントがあります。

派遣前
  • 派遣を希望する自治体と富士通Japan間で各種条件の方向性を合致
  • 全社応募を実施し、適切な人材を選定
  • デジタル庁の動向を含めた国の最新動向や、自治体業務の基礎知識、スマートシティ等のDX事例等を学ぶ研修の実施
派遣中
  • 現地の住民としての立場で地域の課題を吸い上げ
  • 自治体職員として地域課題解決のためのDX実証を企画。その後DX企業と協力しながら実証実験/社会実装を実施
  • 日本各地の地域DX人材同士の横断的な情報共有を実施し、新たに派遣される地域の課題の早期解決にも繋げる

地域DX人材の取り組みは、2022年度日本DX大賞で「日本マイクロソフト賞」を受賞するなど、外部からも着実に認められ始めています。日本マイクロソフト株式会社からは、「私たちが求めていた、各エリアや自治体でのDX推進を、パートナーさんといかに行っていくのかを体現された事例であり、この取り組みを全国的に広げてほしい」と高い評価を頂くことができました。

【富士通Japan CM】 北海道 神恵内村に地域DX人材を派遣

富士通Japanの今後に向けた2つの指針

今後、富士通Japanは2つの方向で活動を進めてまいります。1つは既に派遣されている地域でさらに住民目線・自治体目線によるDXを進めていきます。そしてもう1つは今後とも地域DX人材の派遣エリアを拡大し、嬬恋村に続く事例を全国で増やし、地域の持続可能な輝かしい未来創造に貢献いたします。

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