持続可能な社会に向けた富士通のサステナビリティ経営

目次
  1. 「地球市民」の一員として、グローバル企業が果たすべき変革
  2. 責任あるグローバル企業としての富士通のサステナビリティ経営
  3. 社会課題の解決に向けた富士通の新しい事業アプローチ
  4. サステナブルな未来の実現に向けて

2021年12月、5日間にわたって「日経SDGsフェス日本橋」(主催:日本経済新聞社、日経BP)が開催されました。これは持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けたイベントで、様々なセクターのキーパーソンによる講演や議論が交わされました。
富士通からは執行役員常務、CSO(兼)サステナビリティ推進本部長の梶原ゆみ子さんが登壇。持続可能な社会の実現を果たすべく、責任あるグローバル企業としての富士通のサステナビリティ経営について語りました。

「地球市民」の一員として、グローバル企業が果たすべき変革

梶原さん: 世界は毎年、記録的な自然災害に見舞われ、生物多様性は喪失し続けています。その上、新型コロナウィルス感染症の世界的大流行は、不平等や格差をはじめSDGsに示される課題を人々により強く認識させました。その課題を解決するために、グローバル企業に対しても「地球市民」の一員として取り組むことへの期待と必要性が一層高まっています。

富士通 執行役員常務、CSO(兼)サステナビリティ推進本部長 梶原ゆみ子さん

世界中の企業がパートナーシップを築き、社会課題の解決に取り組んでいく場の一つに、WBCSD(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な開発のための世界経済人会議)というCEOの連合体があります。

梶原さん: CEO主導でビジネス界から持続可能な未来の創造に向けた取り組みを行っている点が特徴で、世界の大企業200社以上が参加しており、富士通は理事会メンバーとして積極的に活動しています。
WBCSDは、「ビジョン2050:大変革の時」として「2050年までに90億人以上がプラネタリーバウンダリー、つまり地球の限界の範囲内で、真に豊かに生きられること」を掲げています。
これは、気温上昇が1.5℃未満で安定し、自然が保護・復元されて、資源はサステナブルな方法で利用されること、そしてすべての人の人権が尊重され、基本的ニーズが満たされ、すべての人に平等な機会が存在することを意味しています。
具体的にはビジョン実現に向けてネットゼロカーボンの「エネルギー」、誰一人取り残さない「交通・輸送とモビリティ」、医療サービスへのアクセスの改善として「健康とウェルビーイング」、持続可能な食料生産を目指す「食料」など9つのパスウェイを設定しています。最大の課題としてあげている「気候変動」、「自然環境」、「格差」は、改善されるどころか、悪化しており、これからの対応が今後極めて重要であるとしています。

「ビジョン2050:大変革の時」で掲げる「90億人以上が地球の限界の範囲内で真に豊かに生きられる社会」は、現行の社会システムの延長では実現できません。社会全体の抜本的な変化が必要で、それには企業自身がマインドセットを大転換する必要がある、と示されています。そのマインドセットとは「1:刷新(資本主義システムの変革)」、「2:レジリエンス(企業の能力向上)」、「3:再生(社会・環境システムの回復、成長能力の向上」の3つが、行動の土台となる考え方です。

責任あるグローバル企業としての富士通のサステナビリティ経営

梶原さん: 富士通には、長年にわたりテクノロジーを通じてお客様に価値を提供してきたグローバル企業として、社会の変革に主体的に貢献する責任があるという強い思いがありました。
そこで2020年に、パーパスを「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」と定め発表しました。これは、富士通の社会における存在意義であり、進むべき方向でもあります。

富士通が目指す方向は2030年のSDGsの達成及び、その先のWBCSD「ビジョン2050:大変革の時」で示す世界の実現と同じです。事業のすべてがパーパスの実現に向けた活動となるよう、財務と非財務の両輪で経営を行っており、非財務も含めて経営を行うことで、社会に対して長期的で安定した貢献ができ、それが当社の成長機会の創出につながるという正のループを描くものです。

梶原さん: サステナビリティ経営における重要課題として、富士通は、GRB(グローバルレスポンシブルビジネス)を設定し、非財務指標の枠組みとしています。GRB設定の背景には、気候変動や格差拡大などの社会課題に対し、すべてのステークホルダーに配慮した企業経営が求められていることがあります。これはグローバルな課題ですから、国内だけでなく、海外にもGRBの担当者を配置し、連携を取りながら取り組んでいます。実際のビジネスにおいて、お客様との商談時にご紹介させて頂くなどもしています。

GRBでは7つの重要課題を設定しました。
まず、社員を含むステークホルダーの人権尊重や安心・安全を考えることが大切であるという考えから「人権・多様性」、「ウェルビーイング」、「安全衛生」を、気候変動をはじめ、国・地域を超えて長期間にわたり多大な影響を与える環境課題の解決に自らが責任を果たし、お客様・社会とともに取り組んでいきたいという思いから「環境」を設定しました。
さらに、企業倫理に対する高い意識や、持続可能な調達に重点を置き、「コンプライアンス」、「サプライチェーン」を、地球市民の一人として地球社会へ貢献するため「コミュニティ」を設定しています。

これら7つの重要課題それぞれに目標(KPI)を設定し活動しています。例えば、環境では、自社の温室効果ガス排出について、パリ協定1.5℃目標達成レベルの削減を目指すとともに、革新的なソリューションの提供によりお客様の様々な環境課題の解決にも貢献することを掲げています。

社会課題の解決に向けた富士通の新しい事業アプローチ

梶原さん: 2021年10月、社会課題の解決に向け、社会へ持続可能な価値を提供するために「Fujitsu Uvance」を策定しました。「Uvance」は、あらゆる(Universal)ものを、サステナブルな方向に前進(Advance)させる、という2つの言葉を重ね合わせた名称です。

世界はこれまでになく複雑に結びつき、世界中のどこかで起こる社会課題や人々の行動が、私たちの暮らしに大きな影響を与えます。そこで、当社は、SDGsの達成目標年である2030年の社会を想定して、パーパスの実現を目指す新事業ブランドとして「Fujitsu Uvance」を策定し、多様な価値を信頼でつなぎ、変化に適応するしなやかさをもたらすことで、誰もが夢に向かって前進できるサステナブルな世界をつくる、という思いを込め、始動しました。

「Fujitsu Uvance」のもと、サステナブルな世界の実現に向け、社会課題の解決にフォーカスしたビジネスを進めています。

梶原さん: 「Fujitsu Uvance」は、7つのKey Focus Areas(重点注力分野)で構成されています。
社会課題を解決するクロスインダストリーの4分野として、上段4つの円のSustainable Manufacturing、Consumer Experience、Healthy Living、Trusted Societyが、クロスインダストリーを支える3つのテクノロジー基盤として、下段3つの円のDigital Shifts、Business Applications、Hybrid ITがあります。
すでに、生活者の消費行動をデジタル技術で革新していく「Consumer Experience」、データとテクノロジーを活用したアジャイル型経営を推進し、人々が創造性と生産性を最大限発揮できる環境を整える「Digital Shifts」など多くの分野で自治体や各事業者の方々と取り組んでいます。

サステナブルな未来の実現に向けて

梶原さん: こちらは富士通の「価値創造モデル」です。

梶原さん: 「世界をより持続可能にしていく」というパーパスの実現に向け、「Fujitsu Uvance」の7つの領域と、それを支える非財務のGRBの活動があります。
当社の財務・非財務の資本をインプットとし、企業活動を通じて、アウトカムとして社会への価値提供がなされると同時に、当社の資本が厚くなるという、ポジティブに循環するモデルを描いています。
このように、急速に変化する社会において、財務・非財務を組み合わせて企業価値を創造し、経営を進化させていきます。

富士通は2030年、そしてその先の未来に向け、パーパスの実現を通じて、テクノロジー企業として価値を創造していきます。私自身、CSOとして、お客様や社会からの信頼に向けたサステナビリティ経営を今後も推進し、社会に向けてサステナブルな未来をステークホルダーの皆様とともに築いていきます。

ページの先頭へ