会計の財務分析とは?種類や管理会計の重要性についても紹介!
2023年4月21日更新
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著者プロフィール
富士通Japan株式会社
エンタープライズ事業本部 ビジネストランスフォーメーション室
ホリゾンタルソリューションビジネス部
マネージャー 増田 亮介
富士通グループSE会社に入社後、製造業などの基幹システム開発業務に従事
2006年から会計ソリューションの新規提案・導入プロジェクトを担当後、
2022年からGLOVIA製品(会計・人事給与ソリューション)の販売推進業務を担当
※本コラム中に記載の部署名、役職は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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会計で行われる財務分析は、決算書などを読み取ることで企業の経営状態を把握することが目的です。この記事では、財務分析についての詳細や種類、管理会計の重要性などについて解説します。財務分析について知りたいと思っている、企業の経理・財務などの担当者の方は参考にしてください。
会計で行われる財務分析とは
「財務分析」とは、貸借対照表や損益計算書などの決算書をもとに分析し、企業の現状や問題点、収益性、安全性などを把握することです。経営状況を定量的に評価するため、自社の財務分析を図るのはもちろんですが、同業他社との比較で傾向も捉えます。
現状や問題点などが分かれば、適切な改善策を打ち出すことに役立ち、企業の成長にもつながります。また、収益性や安全性などが把握できれば、将来予測に基づいた経営戦略を決めやすくなるでしょう。
会計における財務分析に必要な書類
会計における財務分析をするには、貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)がベースとなります。
貸借対照表(BS)
貸借対照表(BS)は、財務諸表を構成する書類の1つで、ある時点における企業の財務状況を表すものです。例えば、3月決算の企業ならば3月31日時点の企業が保有している資産や負債、純資産の金額などの財務状況をそれぞれ表示しています。
企業の資産と負債のバランスが一目で分かるため、企業の収益性や安全性、良い部分や改善すべき点などを把握できます。
損益計算書(PL)
損益計算書(PL)は、貸借対照表と同じく財務諸表を構成しており、企業の収益や費用、純利益などの経営成績を記載している書類です。期間は「一会計期間」とされているため、3月決算の会社であれば、期首の4月から期末の3月までの経営成績を表示しています。
会社の経営状況が分析できるほか、黒字と赤字が転換する点を示す「損益分岐点」の把握ができるので、会社の経営状態を分析するための材料として有用です。
財務分析の種類
財務分析として使われるのは「収益性・安全性・生産性・成長性」の4つの指標です。
収益性分析
収益性分析は、企業が資本を使ってどれだけ効率的に収益を稼げるかを評価します。代表的な指標として、総資本経常利益率や自己資本経常利益率などが挙げられます。
指標が高くなればなるほど、効率良く利益を生み出せていると評価されます。逆に、指標が低いと経営が上手くいっていないと評価され、改善に向けた取り組みが必要であると判断されます。
・収益性分析の指標の詳細と計算式
「総資本経常利益率(ROA)」は、企業が投資家からの資本でどれだけの利益を出せたかを計る指標です。投資家からの評価の基準として利用されます。
「自己資本経常利益率(ROE)」は、企業が投資した資産に対する利益の効率性を示す指標です。経営方針や戦略がうまく合致しているかを評価します。
それぞれの計算式は以下のようになります。
・ROA=当期純利益÷総資本×100
・ROE=当期純利益÷自己資本×100
安全性分析
安全性分析は、企業の支払能力を示す指標で、短期と長期の観点から倒産リスクを測ることができます。取引先を開拓する際に対象企業の支払い能力を確認する際に使われます。また、金融機関や投資家が資金を融資したり投資したりする際に、倒産リスクを確認してリスクヘッジをする際に使われることも多いでしょう。
1年未満の短期的な指標なら「流動比率」や「当座比率」が、1年以上の長期的な指標なら「負債比率」や「固定比率」などが主に用いられます。
・安全性分析の指標の詳細と計算式
流動性比率は、1年以内に返済する負債に対して、1年以内に現金化可能な資産の量の比率を示す指標です。当座比率は、流動負債に対する当座資産の割合を示しています。
一方、「固定比率」や「固定長期適合率」は長期的な指標で、「固定資産」に投資した額と自己資本の比率や、長期ローンなどの支払いが自己資本で賄えているかの判断材料となります。
それぞれの計算式は下記のようになります。
・流動性比率=流動資産÷流動負債✕100
・当座比率=当座資産÷流動負債✕100
・固定比率=固定資産÷自己資本✕100
・固定長期適合率=固定資産÷(固定負債+自己資本)✕100
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生産性分析
生産性分析とは、投入した経営資源に対して得られた付加価値を測る指標です。具体的には、経営資源が資金や人材、付加価値が労働や設備などによって新たに付加した価値を指します。なお、経営資源は資金や人材などの目に見えるもの以外にも、ノウハウやマニュアルなどの情報を含む場合もあります。代表的な指標は、「労働分配率」や「付加価値労働生産性」などです。
・生産性分析の指標の詳細と計算式
労働分配率とは、企業が作り出した付加価値を占める人件費の割合です。労働分配率が抑えられていればいるほど、効率良く利益を出せていることになります。
付加価値労働生産性は、企業総生産額のうちの純粋な付加価値を表しており、原材料や外注費、機械の償却費用など生産に必要な原価を除いて求められます。労働者1人あたりの付加価値の程度を示しているため、利益を最大化させるための指標として利用可能です。
それぞれの計算式は下記のようになります。
・労働分配率=(労務費+人件費)÷付加価値✕100
・付加価値労働生産性=付加価値(額) ÷労働量
成長性分析
一定期間における企業の成長度合いを示す指標を「成長性分析」呼びます。企業の売り上げや利益、総資本などの変化をまとめて前年と比較することで、成長性や将来性を予測することが可能です。「売上高成長率」や「経常利益成長率」「総資本成長率」などが成長性分析における代表的な指標として挙げられます。
・成長性分析の指標の詳細と計算式
売上高成長率や経常利益成長率、総資本成長率などの指標は、それぞれに対応する部分を前年と比較して、どれだけの差が出たかで成長性を判断できます。例えば、売上成長率は「売上高」、経常利益成長率は「経常利益」、総資本成長率は「総資本」の額などです。
それぞれの計算式は下記のようになります。
・売上成長率=(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高×100
・経常利益成長率=(当期経常利益−前期経常利益)÷前期経常利益×100
・総資本成長率=(当期総資本−前期総資本)÷前期総資本×100
管理会計の重要性
経営の舵取りは「経験と勘」に頼るのではなく、収集・蓄積したデータをもとに意思決定をする管理会計は、企業経営に欠かせないものです。また、昨今では社内のあらゆる情報を分析し経営を導く「データドリブン経営」にも注目が集まっています。
財務会計と管理会計の違い
財務分析と管理会計は開示するべき機関や人、目的などが異なります。財務分析は、銀行や株主など外部の利害関係者向けに、企業の経営状態や財務状況を説明するためのものです。
それに対し、管理会計は社内向けで、企業の経営状態や財務状態を確認して、今後の経営戦略や方針決定などに役立てることを目的としています。財務分析も管理会計の一種です。
多面的な視点で管理会計を強化
管理会計は、現時点の情報だけで評価するだけでなく、多面的な視点で比較・評価することで、経営判断に役立てます。基本的に損益計算書をベースに評価しますが、資金繰りを考慮すると貸借対照表ベースでの評価も必要となります。具体的には下記の切り口で評価します。
・過年度比較
・予算/実績/予測比較
・部門別比較
・セグメント別比較
なお、予測値を捉えるには、販売・生産システムなどの情報が求められます。ERPシステムであれば、情報が一元管理されているので収集しやすいでしょう。
まとめ
財務分析の概要や、必要な書類の詳細、分析の種類や管理会計の重要性などについて解説しました。分析するには、大容量の情報蓄積や集計に手間がかかるため、管理会計を得意とする会計ソフト選びも重要となります。
GLOVIA iZ(グロービア アイズ)は、国産ERPとして40年以上支持され続けています。業種・業務システム累計販売実績20,000 サイト超と豊富な実績があります。
管理会計の強化を図りたいご担当者様は、ぜひGLOVIA iZの導入をご検討ください。
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