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Fujitsu

Japan

第57回 大河内記念技術賞を受賞

富士通グループは、「最先端LSIを実現したArF(フッ化アルゴン)エキシマレーザーリソグラフィ(注1)用新規レジスト材料の開発と実用化」に関して第57回(平成22年度)大河内記念技術賞を受賞し、3月4日、東京・丸の内の日本工業倶楽部にて贈賞式が行われました。

大河内賞は大河内正敏博士が、財団法人理化学研究所の第3代所長(大正6年~昭和21年)として学会・産業界に残した大きな貢献を記念して設立されたもので、毎年、日本の生産工学・生産技術分野における顕著な業績に対して贈られるものです。


授賞の様子

【受賞業績】
「最先端LSIを実現したArFエキシマレーザーリソグラフィ用新規レジスト材料の開発と実用化」

LSIはシリコンウェハー基板上に大規模な回路を小さく形成する技術を用いて製造され、微細化することで1枚のウェハーから多数のLSIを製造してコストを低減することができ、性能や省電力性が向上してきました。微細化のためには、回路パターンをレーザー光で転写する過程(リソグラフィ工程)での光源の波長を短くし、さらに、回路パターンが転写される感光性材料(レジスト)にも、レーザー光の波長に最適な構造の材料を開発することが必要となります。

本業績は、環状の炭化水素基であるアダマンチル基がArFエキシマーレーザー光波長に適していることを世界で初めて見出し、独自の材料設計に基づき、新たな化学構造である「親水性の高いラクトン基」と「反応性の高い脱離型アダマンチル基」を組み合わせたArFエキシマレーザーリソグラフィ用の新規レジスト材料として開発・実用化し、90ナノメートル世代以降の先端LSIの量産を可能にしたものです。現在では本技術が世界的なデファクト標準技術となっております。

開発した技術は最先端LSIの製造に不可欠なものとなっており、LSIが内蔵されるパソコンや携帯機器などの小型・高機能・高性能化によって今日のICT社会の発展に大きく貢献しています。

なお、今回の技術成果は、昨年7月30日に平成22年度全国発明表彰「経済産業大臣発明賞」を受賞し、昨年11月19日に第10回(平成22年度)山崎貞一賞(材料分野)の贈呈を受けました。

【受賞者】  
武智 敏 富士通セミコンダクター㈱ 知的財産本部 標準推進部 プロジェクト課長
羽入 勇 富士通セミコンダクター㈱ 開発・製造本部 デバイス開発統括部 主席部長
野崎 耕司 ㈱富士通研究所 基盤技術研究所 主管研究員
矢野 映 ㈱富士通研究所 取締役
阿部 直道 元富士通マイクロエレクトロニクス㈱[現富士通セミコンダクター㈱]デバイス開発統括部 専任部長

注釈
(注1)  フッ化アルゴン・エキシマレーザー:
          アルゴンガスとフッ素ガスの混合ガス中で放電したときに発するレーザー光。90 nm以
          下の先端LSI製造の露光光源として用いられています。


受賞者一同