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被災地医療と介護の先を見据えた、高齢先進国モデルを目指して

暮らしの支援 これから何ができるか 被災地医療と介護の先を見据えた、高齢先進国モデルを目指して「高齢者を含むすべての被災者の医療と生活を支えたい」

祐ホームクリニック様(東京都文京区)は、「被災地で十分な医療サービスを受けられない高齢者への対応や心のケアが、これまで以上に必要になる」と考え、石巻市に分院を開設。医療のサービスと、それを核とした高齢者の生活を支えるコミュニティづくりに向け活動を始めました。その高い志に強く賛同した富士通は、生活(健康)情報などの管理をクラウド上で行うシステムを提供し、祐ホームクリニック様の取り組みをICT分野から全面的に支援しています。

被災地の医療と高齢者の問題に真正面から取り組む

現地診療所を拠点にした在宅医療訪問を行う武藤真祐院長の写真

東日本大震災では、多くの医療機関も甚大な被害を受けました。その後、診療を再開する医療機関も徐々に現れてはいますが、まだ十分な医療サービスを提供できていないのが実情です。復旧の目途が全く立たない医療機関に通院していた高齢者の方も多く、避難所や仮設住宅から遠く離れた都市部の医療機関に通院するのは、容易なことではありません。

そもそも、東北地方の沿岸部を中心とする被災地では、震災前から深刻な医師不足が問題となっていました。さらに、高齢者率も25%と極めて高く(阪神・淡路大震災の被災地は14%)、被災地における医療サービスの問題が、改めてクローズアップされています。

こうした問題に真正面から取り組もうと決意したのが、「祐ホームクリニック」の武藤真祐院長です。同クリニックは在宅医療を専門とする医療機関として、「日本の高齢者の生活を支える仕組みを構築したい」という武藤院長の強い思いで活動を行っています。

被災地で十分な医療サービスを受けられない高齢者への対応や心のケアが、これまで以上に必要になると考えた武藤院長は、特に甚大な被害を受けた地域の一つである宮城県石巻市に分院を設けることを決意。震災から半年を迎えようとしていた2011年9月3日に、「祐ホームクリニック石巻」を開所しました。

ICTのプロ集団だからこそ貢献できること

富士通グループがご提供した在宅医療クラウドサービスの写真

「祐ホームクリニック石巻」にかける意気込みを、武藤院長は以下のように語っています。「石巻市を震災前よりも安心・安全で、多くの人たちが移り住める都市にしたい。石巻市が医療や介護、生活の課題を解決し、日本を支える良いモデルとなれば、きっと他の被災地も『石巻市を見習おう』と続くことになるでしょう。そうなれば、日本が高齢先進国として、他国からも評価される国になります。石巻市、宮城県、そして東北地方全体を支援するこの活動に、全身全霊で取り組んでいきます」。

こうした武藤院長の「一人でも多くの方に医療を提供したい」という志に賛同した富士通は、その活動をICTで支えていくことに決めました。祐ホームクリニック石巻の開所式に参列した富士通の経営幹部は、このように語っています。「祐ホームクリニックの先生方が在宅医療の拡充に向け、毎晩遅くまで打ち合わせをしている真摯な姿を目のあたりにし、富士通グループもぜひお役に立ちたいと考えました。想定外の出来事にも柔軟、かつ、迅速に対応しなければならない被災地の現場で、ICTのプロである我々に何ができるかを常に考え、多様なニーズを持つ高齢者の方々の医療・介護を支援していきたい」。

そこで、在宅医療時の課題であった、医師や看護師、介護士間での情報共有をICTで行うお手伝いから始め、現在は生活(健康)情報や訪問スケジュールなどの管理をすべて行う「在宅医療クラウド」を構築しています。

診療スケジュールをカレンダー上で管理。診療スケジュールの詳細を見やすく、丁寧に管理。高齢者にも配慮した、直感的でわかりやすい地図表示。

在宅医療の観点からICT基盤が生活全般を支えていく

患者の診療情報を共有することで連携する医療スタッフの写真

祐ホームクリニック様では、東京と石巻市の両クリニックを映像システムで結び、遠隔医療モデルを確立するとともに、そのモデルを地域医療でも活用できるように、と考えています。もっとも、被災者に不足しているのは医療サービスだけではありません。例えば、石巻市内の仮設住宅の半数以上には、歩いて15分以内に生活必需品を購入できる店がありません。そこで祐ホームクリニック様は、高齢者のもとに生活必需品を届けるなど、在宅医療の観点からより広く、生活全般を支えていくコミュニティづくりに向けた取り組みもあわせて推進していく予定です。

在宅医療は、患者を病気や怪我から守るだけでなく、暮らし全般を支えることが大事です。その「To-Beモデル(あるべき姿)」を、富士通は、祐ホームクリニック様とともに提唱していきたいと考えています。

富士通が取り組んでいる先々を見据えた生活支援活動

農林水産省様「農山漁村被災者受入れ情報システム」を構築

農林水産省様は、東日本大震災による被災者支援の一環として、全国各地の農山漁村に存在する空き家、廃校舎、農林水産業体験施設などの受入れ可能な住まい情報とあわせ、雇用などの受入れ情報の提供も行う「農山漁村被災者受入れ情報システム」を構築しました。富士通は、被災者の意向にあわせてスピーディーな情報収集、管理を可能とするSaaS型アプリケーション「CRMate/お客様接点力」を提供しました。

被災した保護動物の情報公開を支援「被災動物救護支援サービス」を提供

日本マイクロソフト株式会社様と富士通は共同で、東日本大震災の被災地で保護された犬、猫などのペットの情報をクラウド基盤に集約するとともに、公開可能な環境を提供し、元の飼い主との再会や、飼い主を失ったペットの新しい飼い主探しを支援する取り組みを行っています。この取り組みでは、宮城県緊急災害時被災動物救援本部が保有する保護動物のデータ(保護された場所、個体の特徴、写真など)を、富士通のクラウド基盤から提供する「被災動物救護支援サービス」に集約したうえで、日本マイクロソフト様がポータルサイトMSN®上で公開している「MSNペットサーチ」とシステム連携させています。現在、宮城県の石巻動物救護センターなどで保護されている約50頭の動物の情報が公開されています。「被災動物救護支援サービス」は、富士通が宮城県獣医師会向けに、2011年5月2日より提供しているサービスで、被災した動物の情報を独自のクラウド基盤に集約し、救援本部による公開を支援しています。

被災地の図書館をクラウドで復旧支援

富士通東北システムズは、岩手県沿岸部の被災地域の図書館様に対し、自社にて開発したクラウド型図書館システム「WebiLis(ウェブアイリス)」の無償提供と導入・運用支援を行っています。図書館の自律的な早期復旧により、被災地域の読書活動促進に貢献しています。


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