2023年03月23日 更新
物流自動化のメリットや課題を解説!
自動化を実現するシステム・テクノロジーも紹介
物流業界では、自動化の流れが高まっています。自動化が実現することで物流業務の効率化が進み、物流量の増加や人手不足にも対応できるようになるでしょう。この記事では、物流の自動化とは何なのか、物流を自動化するためのシステムやテクノロジー、自動化の具体的な事例などを解説します。物流自動化を目指すなら、ぜひ参考にしてください。
物流業界の現状
物流業界は、現在どのような状況なのでしょうか。ここでは、物流業界の現状について解説します。
配送量が増えている
インターネットの普及により通販の利用者が増え、物流需要は高まっています。配送する荷物の量が増えることによって業務量も増加し、長時間労働が慢性化しているという問題が起こっているのが実状です。
人手不足が深刻化している
少子高齢化によりドライバーなどの平均年齢は上昇傾向です。また、労働人口も減少傾向にあることに加えて、物流業界は人が集まりにくいという課題もあります。そのため、さらに人手不足が深刻化しています。
物流の自動化が進んでいる
配送量の増加や人手不足の問題が深刻化しているため、これらの問題を解決するために物流の自動化が進んでいます。自動化を進めることで業務効率化が進み、従業員の負担軽減につながることが期待されています。
物流の自動化とは
物流の自動化とは、システムやロボットなどを活用して、物流業務の一部を自動化することです。物流業界では、商品の出荷や入荷などに多くの労力が必要となり従業員に負担がかかっています。業務効率化を目指すために、商品の出荷や入荷、保管、ピックアップといった業務を自動化する取り組みが進められています。
物流を自動化することにより、人手不足でも業務をスムーズに進められるようになり、生産性の向上にもつながるでしょう。
物流を自動化するシステムやテクノロジー
物流を自動化するシステムやテクノロジーには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、具体的なシステムやテクノロジーについて解説します。
自動搬送ロボット
自動搬送ロボットとは、商品自体や商品を保管している棚ごとにピッキング作業者のもとへ商品を運ぶためのロボットです。自動搬送ロボットには主に3つの種類があります。以下では、それぞれの自動搬送ロボットについて解説します。
無人搬送ロボット(AGV)
無人搬送ロボットとは、磁気テープや磁気棒などの誘導体に沿って走行し、無人で荷物を運ぶロボットです。無人搬送ロボットは、あらかじめ入力されたルートで走行するという特徴があります。決められたプログラムによって自動で走行するため従業員の負担や人的ミスの削減につながりますが、決められたルート以外では動けません。
自動走行搬送ロボット(AMR)
自動走行搬送ロボットとは、周囲の状況を確認しながら自動で走行するロボットです。AGVのように誘導体を必要としないという特徴があります。ロボット自体が障害物を認識して自動で回避できるため、ルートを決めなくても走行できます。ただし、大きめの荷物だと転倒するリスクもあるため注意が必要です。
棚搬送ロボット(GTP)
棚搬送ロボットとは、床面移動式のロボットです。ピッキングリストを読み込んで、ピッキング作業員のもとに棚ごと運んでくるためのロボットです。ピッキング作業員が動かなくても棚ごと運んできてくれるため、作業員の負担を減らせるというメリットがあります。ただし、導入に倉庫のレイアウト変更などが必要です。
自動ピッキングシステム
ピッキングとは、必要な商品を探してピックアップすることです。自動ピッキングシステムとは、商品バーコードをハンディターミナルなどで読み取り、管理するタイプが一般的です。出荷指示書などの商品バーコードを読み取ってピッキングを行い、バーコードで照合します。
バーコードによって管理することで、ピッキングの時間短縮や人的ミスの軽減につなげることが可能です。その他にも、音声指示やデジタル表示をもとにピッキングするシステムなどもあります。
倉庫管理システム
倉庫管理システムとは、在庫情報や入出荷情報、納品書の発行などを一元管理できるシステムです。倉庫管理システムでは、倉庫内の荷物の動きなどをリアルタイムで把握できるため、倉庫内作業の効率化につながります。
倉庫管理システムと、在庫管理システムや販売管理システムを連携することも可能です。各システムを連携することで、在庫数の自動集計や保管場所の把握、適正な受注管理なども行えるようになります。
物流を自動化するメリット
物流を自動化することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、3つのメリットを解説します。
人手不足の解消
物流を自動化することで、人手不足の解消につながります。ピッキングや入出荷などの作業を人が行う場合、多くの労力がかかり、人手も必要となります。しかし、ロボットやシステムなどによって自動化することでスタッフの人数を減らすことが可能です。少人数でも生産性を向上させることができる点は大きなメリットです。
コスト削減
物流自動化を進めるには初期費用などのコストがかかります。しかし、一時的なコストはかかるものの、人件費の削減などによって、長期的にみるとコスト削減が見込めるでしょう。また、物流業界では閑散期や繁忙期などがあります。自動化により、一時的な人員の増減にも対応しやすくなり、結果としてコスト削減につながります。
業務の品質向上
業務を自動化することで、ヒューマンエラーの防止につながります。ピッキングや入出荷などを人が行う場合、ミスを防ぐことは難しいでしょう。しかし、ロボットやシステムなどによって自動化することでミスの軽減が可能となり、万が一ミスがあってもすぐに発見できます。ヒューマンエラーが減ることで、サービスの品質向上につながる可能性もあるでしょう。
物流自動化における課題
さまざまなメリットがある物流の自動化ですが、課題もあります。ここでは、物流自動化の課題を5つ解説します。
導入の前に課題整理、運用設計の作業が必要となる
物流の自動化を導入する前に、現状の作業における課題や業務フローの整理をすることが重要です。課題や業務フローを把握しないままだと、適切な自動化が行えません。そのため、しっかりと自社の課題などを洗い出しましょう。そのうえで、自動化する範囲を決めたり業務フローの設計を行ったりして導入することが大切です。
導入やメンテナンスにコストがかかる
自動化にはコストがかかります。たとえば、倉庫管理システムや自動搬送ロボットなどを導入するためには、初期費用が必要です。また、導入時の初期費用だけではなく、メンテナンスなどのランニングコストも発生します。そのため、自動化を導入するコストと削減できるコストをしっかりと比較し、費用対効果を確認してから検討しましょう。
従業員への研修が必要になる
新しいシステムを導入する場合には、業務フローが変化します。そのため、従業員に対する研修が必要です。従業員への研修が不十分だと、業務が滞ってしまう可能性もあるため注意しましょう。また、運用の際にはルールやマニュアルを整備することも重要です。マニュアルなどを作成し、従業員に周知徹底しましょう。
新しい体制を構築する必要がある
自動化を導入する場合、業務フローの見直しや従業員の再配置など新体制の構築が必要となります。業務を継続しながら大きな見直しを行わなければいけないため、負担が大きくなりがちです。また、従業員の配置転換を行う場合には、事前に説明をしてしっかりと理解を得るようにすることも意識しましょう。
システム障害への対応を検討する必要がある
自動化する際には、システム障害への対応も決めておかなければいけません。システム障害が発生した場合、業務が停止してしまうリスクがあり、大きな損失になる恐れもあります。そのため、システム障害や不具合などが起こった場合の対応を検討し、マニュアルを作成しておく、対応を従業員に周知するなどの取り組みが必要です。
物流自動化の事例
ここでは、実際に物流自動化を行っている企業の事例を紹介します。物流自動化を具体的にイメージする際の参考にしてください。
株式会社ロジスポ様の事例
株式会社ロジスポ様は、釣り具などの製造・販売を行うグローブライド株式会社の物流部門を担う企業です。同社では物流コストの削減が課題となるなか、物流センター管理システム「FUJITSU ロジスティクスソリューション Logifit WM(ロジフィット ダブリューエム)」を導入しました。これにより、業務効率や業務精度の大幅向上を実現し、作業効率が最低でも20%向上しています。
参考:「FUJITSU ロジスティクスソリューション Logifit WM」導入事例 株式会社ロジスポ様 : 富士通Japan株式会社
イセ食品株式会社様の事例
イセ食品株式会社様は、親鶏の飼育・集卵・包装・出荷までを一貫して行っている鶏卵販売国内最大手の企業です。スーパーや小売店への効率的な配送のために、配送ルート組みの自動化を実現しています。これにより、配送ルートの立案にかかる時間の大幅短縮を実現し、配送にかかる予算の把握にもつながっています。
参考:「FUJITSUロジスティクスソリューション Logifit TM-配車」導入事例 (イセ食品株式会社 様) : 富士通Japan株式会社
まとめ
物流の自動化とは、システムやロボットなどを活用して、物流業務の一部を自動化することです。物流自動化により人手不足の解消やコストの削減、業務品質の向上など、さまざまなメリットが得られます。ただし、導入にコストがかかる研修などが必要となるため、費用対効果を確認し導入を検討しましょう。
富士通Japanは多数の導入実績を持ち、お客様の経営課題の解決に真摯に向き合ってきました。業種・業務ノウハウやICT業界の最前線で培ったテクノロジーに関して、富士通グループの知見を結集させ、全社をあげて課題の解決に取り組んでいます。物流の自動化を検討している場合は、お気軽にお問い合わせください。
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著者プロフィール
富士通Japan株式会社
流通ソリューションビジネス統括部
沖津 里枝
【事業内容】
流通業における準大手、中堅・中小企業向けのソリューション・SI、パッケージの開発から運用までの一貫したサービス提供。
AIやクラウドサービス、ローカル5Gなどを活用したDXビジネスの推進。
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