グローバルに生産統合を実現 ～glovia.comによるグローバルビジネスモデル導入事例 ～ 3

いわき工場では業務改革プロジェクト内で協議し、目標を数値化して公表している。例えば、その1つが、在庫回転期間を47日だったものを27日に短縮するというもの。受注から出荷までのリードタイムを、ハイブリッドモジュール部門では60日から35日に短縮するというのもある。

実際に2003年4月には、在庫回転期間は27日と目標達成。リードタイムは最短で35日、平均して40日と、目標に近い数値を出している。

この発注と受注、資材調達のフローは、いわき工場のハイブリッドモジュール部門、静岡県湖西工場の電源部門、中国の厦門と蘇州、台湾、これら5拠点で相互にやり取りしている。

今度は金額に着目してみたい。同工場では、glovia.comが全拠点で正式稼働した2001年4月からの棚卸資産を集計している。2001年4月現在で棚卸資産が31億9500万円。売上高が20億9200万円。これが、2003年2月には棚卸資産が27億7600万円、売上高が29億2700万円。売上高が8億3500万円伸びているにもかかわらず、棚卸資産は4億1900万円減少している。これにより、売上高が棚卸資産を上回っている。

在庫の回転期間は47日から28日に短縮し、その分の棚卸資産減は18億900万円。金利効果にして、5400万円の減額になる。

もっとも、資材発注を日本国内に頼っているため、調達や運送などの経費がかかる。現在同社は、海外の現地工場の独立性をたかめ、自律的に調達できるように現地調達推進プロジェクトにてベンダーの海外現地法人を巻き込み改革を進めている最中である。

間接部門の人員削減にも成功している。glovia.comを導入することで、63人から47人に削減。生産管理や購買、資材など間接部門全体で16人の削減が可能になった。約25％の削減であり、金額にして年間1億円もの削減につながる。

これはglovia.comを海外展開したことで、作業の効率化と拠点との重複管理が減少したためである。これにより、よりコアな業務に人員を振り向けることができる。

いわき工場における人員削減と棚卸資産・棚卸回転期間の減少を合わせると、2年で20億円近い削減を達成している。投資金額は2億9800万円であるから、驚くべき投資効果である。

では、この成功の秘訣はどこにあるのだろうか。

「ERPですべてできると考えてはいけません。ERPは骨組みであり、エンジンです。この点glovia.comはすばらしいエンジンです。これをどう活かしていくかを考えなくてはいけません。いい素材だけで成功することはできません。使いやすいように工夫することです」と、須藤氏は強調する。実際、いわき工場ではオリジナルシステムとglovia.comを連動したりしている。

具体的な数値目標を立て、その実現に真剣に取り組んでいるのも成功の大きな要因だろう。「私は目に見えないものが嫌いです。ラインの進捗管理でも、すべて目に見えるようにしました。いわば『見える化』です。目標も必ず数値化して示し、その結果も数値化して確認できるようにしました」（須藤 氏）。

システム部員のglovia.comに対するノウハウの蓄積も大きなメリットだろう。国内での導入は富士通の力を借りたが、海外展開は完全に自社スタッフだけで構築している。

大空へ飛翔するという、改革成功への祈りが込められて名付けられたプロジェクト名「WING」。これはこのまま、システム全体の名称になる予定だった。「しかし、だれも『WING』とは呼びません。社員全員が『GLOVIA』と呼びます」と、須藤氏は苦笑する。

FDKでは、今回得ることのできたノウハウをベースに、FDK全工場へのglovia.comの導入を検討している。

また、FDKでは、経理システムにGLOVIA/SUMMITを利用している。2003年度から動きだし、順調に稼働。glovia.comと連携し、スピード経営やキャッシュフロー経営を実現している。GLOVIAがいわき工場そしてFDKの飛翔を強力に支援している。