生活協同組合コープこうべは店舗システムの刷新に取り組んだ。店舗毎に散在したシステムを仮想化しセンターに集約することで、サーバ台数を約7分の1に削減するとともに運用コストを大幅に削減。
アプリケーションサーバに「FUJITSU Software Interstage Application Server」(以下、Interstage Application Server)を採用し、「FUJITSU Software NetCOBOL」(以下、NetCOBOL)により既存のCOBOL資産を活用することで、開発にかかるコストの削減と期間短縮も達成している。
[ 2013年9月27日掲載 ]
業種: | 生活協同組合 |
---|---|
製品: | ソフトウェア
|
1 | 店舗システムの運用コストを抑えたい | ![]() |
仮想化・システム集約でサーバ台数と運用コストを大幅削減 |
2 | 業務アプリケーションの開発コストを削減したい | ![]() |
既存のCOBOL 資産の活用で開発コストを大幅削減 |
3 | 現場の操作手順は変えず、保守性を高めたい | ![]() |
操作画面のWeb 化により操作性とともに保守性を向上 |
兵庫県 神戸市を中心に、組合員のくらしを支え、豊かにするための事業や活動を展開する生活協同組合コープこうべ(以下、コープこうべ)。
2012年度から「次代コープこうべづくり」プロジェクトに注力し、より組合員のニーズに合う新規事業展開、店舗作り、サービスや情報の提供を推進している。
情報システム部はコープこうべの事業戦略における情報ナビゲーターとして、情報戦略策定やICTガバナンス強化などを推進。近年はスマートフォンでの商品購入など、先進的なサービスも意欲的に提供している。
山川 昌志氏
生活協同組合コープこうべ
情報システム部 統括部長
コープこうべの一般店舗および大型店舗を併せた計102店では、発注や仕入れ、商品管理、会計などを担う店舗システムを利用している。
2010年、従来のUNIXサーバの老朽化に伴う事業継続リスクを回避すべく、システム刷新に取り組んだ。そこで大きな目標となったのがコスト削減である。
生活協同組合コープこうべ 情報システム部 統括部長 山川 昌志 氏は「店舗システムは従来、店舗毎にシステムを構築・運用してきたため、コストが膨れあがっていました。今回の刷新では、既存のソフトウェア資産を有効活用しつつ、システムを集約することで運用コストの削減を目指しました」と振り返る。
店舗システムの業務アプリケーションの開発にあたって、生活協同組合コープこうべ 情報システム部 店舗・商品システム 統括 上田 隆司 氏は「業務アプリケーションの開発コストを抑えるため、既存のCOBOL資産を継続して使いたいと考えました」と語る。
上田 隆司氏
生活協同組合コープこうべ
情報システム部 店舗・商品システム 統括
山口 正悟氏
生活協同組合コープこうべ
情報システム部 店舗・商品システムグループ 担当課長
店舗システムの操作画面は、既存の操作性の踏襲にこだわった。
生活協同組合コープこうべ 情報システム部 店舗・商品システムグループ 担当課長 山口 正悟 氏はその狙いを「刷新後も操作性が変わらなければ、現場の担当者が新たに操作を覚える必要がなく、オペレーションを円滑に継続できます」と話す。
2010年夏より検討を開始し、複数ベンダーを比較した末、富士通の提案を採用した。
「ハードウェアとソフトウェアの両面で、富士通の高い技術力と豊富なノウハウを高く評価しました」(山川氏)。
サーバは富士通の「SPARC Enterprise」を導入。OSはHP-UXからSolarisに移行し、「Solarisゾーン」機能を使い、複数の店舗システムを仮想化してセンターに集約する構成にした。
既存の業務アプリケーションのうち、COBOLの業務ロジックは残して操作画面のみJavaで再構築し、従来のクライアント・サーバ型からWeb化してマイグレーションを図った。
「店舗毎に操作画面を備える従来のシステムのままだと、多くの保守コストが継続的にかかります。一方、Web化すれば、保守コストを大幅に削減できるため、長期的にはコスト面で有利と判断しました」(上田氏)
アプリケーションサーバには、富士通の「Interstage Application Server」を採用した。
同製品は1つの仮想環境(ゾーン)上でJavaとCOBOL、複数の言語に対応でき、かつ、ライセンスは物理サーバ単位となっているなど、コスト削減効果が高いアプリケーションサーバである。
また、複数バージョンのJavaに対応しており、もし将来、複数バージョンのJavaが混在する状況になっても対応できる。
さらに、COBOL開発・運用環境に富士通の「NetCOBOL」を導入し、再構築によるリスクを回避してCOBOL資産を長期間、安心して利用できるようにした。
開発は2010年12月よりスタート。COBOLプログラムは統合などによって、従来の約2000本から約1600本に減らしてから移行した。
「COBOLプログラムの非互換の箇所や店舗毎のデータの違いなど、移行のネックとなる事項を富士通のSEが解決してくれました。ほかにも、『Solaris移行サービス』や緻密なリハーサルなど富士通の全面的な支援のおかげで、切り戻しなくスムーズに移行できました」と山口氏は目を細める。
また、23時閉店の店舗でも翌日の開店時間までの数時間で移行が完了し、組合員の利便性を損なわずに済んだ。
Javaによる操作画面の再構築では、富士通のアプリケーションフレームワーク製品「INTARFRM」を活用した。
「INTARFRMによってプロトタイプを素早く手軽に作成できたため、従来と同じ操作性になるよう、実際に試しながら効率的に開発できたのは大きなメリットとなりました」と上田氏は話す。
【生活協同組合コープこうべ様導入事例 システム概要図】
2012年6月に本稼働し、各店舗に順次展開。同年11月末に全店舗稼働に至った。店舗システムの刷新によって、コスト削減をはじめさまざまな面で効果が得られている。
「Solarisゾーンを用いて仮想化・システム集約した結果、物理サーバの台数を従来の102台から14台に減らせました。加えて、店舗間にまたがっている複数業務の一括運用、管理も実現できました」(山口氏)
しかも従来、夏期にはサーバ冷却のために各店舗で夜間も空調が必要であったが、システムをセンターに集約したことで夜間空調を不要にし、空調コスト削減のほか環境負荷の軽減も実現している。
既存のCOBOL資産の移行についても、Interstage Application Serverの高い互換性や富士通SEのサポートによって、狙い通りの成果が得られた。
「COBOL資産を継続して活用できたため、新しいサーバ環境向けにゼロから再構築する場合に比べて、コストと期間を飛躍的に削減できました」と上田氏は強調する。
「操作画面のWeb化によって画面の保守が一元化されたので、保守コストも削減できました」と山口氏も手応えを感じている。
仮想化・システム集約や既存COBOL資産の活用によって、「これまでの店舗システム刷新に比べて、プロジェクト全体コストを約2分の1に削減できました」(山口氏)。効果はコスト削減だけにとどまらない。
コープこうべは阪神淡路大震災でシステムが被災し、業務が停止した経験からBCPを非常に重視している。今回のプロジェクトでは、BCPはもちろん、セキュリティやガバナンスの強化も同時に達成している。
コープこうべは今後、情報システムのさらなる最適化を図っていく。
「次の目標は、既存資産をそのまま移行した業務ロジックの再構築です。ICTを活用し、引き続き『次代コープこうべづくり』の実現に向けて推進していきます」(山川氏)。
生活協同組合コープこうべ様と富士通営業/SE
社名 | 生活協同組合コープこうべ |
---|---|
本社所在地 | 兵庫県神戸市東灘区住吉本町1丁目3番19号 |
創立 | 1921年 |
出資金 | 426億9千万円 |
理事長 | 山口 一史 |
総職員数 | 10,095名 |
事業概要 | 食料品や日用家庭用品を販売するコープやコープミニ、大型店のシーアやコープデイズ、ホームセンターのコープリビングといった店舗を展開。個人宅配や協同購入、夕食サポートなども手がける。組合員数は1,673,333人(2013年3月31日現在)。
![]() |
ホームページ | 生活協同組合コープこうべ ホームページ![]() |
本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。