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データ長期保存の実態から考える
アーカイブシステムの導入意義

ストレージシステムは、増大するデータへの対応や障害・災害対策としてのバックアップやレプリケーションだけでなく、コンプライアンスやガバナンスのための証拠保全を目的としたアーカイブの役割も大きい。また、最近では、ビッグデータ活用によるBIを目的としたアーカイブも増えるなどニーズの多様化が見られ、データを効率的に管理するアーカイブシステムの重要性が高まっている。

(注) 本連載ではIDCのレポートを基に、中小規模の企業=1~999人以下、大規模の企業=1,000人以上と定義している。(n=回答数)

アーカイブデータの保存期間

まず、アーカイブの実行状況について、データ種類別に見てみる。IDC調査の「データ種類別 アーカイブ実行状況」を見ると、アーカイブを「実行している」と回答した割合が最も高いのは「基幹系データ」で、36.5%と全体の4割に満たない。しかし、続く「各種ドキュメント/テキストデータ」「電子メール」「画像/映像/音声データ」「設計/開発/実験データ」には比較的ファイルサイズの大きい非構造化データが含まれている。

データ種類別 アーカイブ実行状況 のグラフ

次に、アーカイブ実行企業に対し行ったIDC調査の「データ種類別 アーカイブ期間」を見ると、上記グラフの上位項目のうち「基幹系データ」「各種ドキュメント/テキストデータ」「画像/映像/音声データ」「設計/開発/実験データ」では「保存期間5~10年未満」が最も多いことがわかる。また、10年以上の保存期間を設定しているデータは、「設計/開発/実験データ」の16.9%、「分析系(DW/BI)データ」の16.3%、「基幹系データ」の16.1%となっており、コンプライアンスやガバナンスを強化する観点からデータの長期保存に取り組んでいる状況がうかがえる。

さらに、アーカイブを実行または計画している企業を対象に行ったIDC調査の「アーカイブの目的」を振り返って見ると、アーカイブ目的の上位は「情報管理の効率化」「セキュリティの強化」「ストレージシステム容量の効率的な利用」となっている。各種法規制へ対応するために単にデータを長期保存しているのではなく、ストレージシステム全体の中で資産としてのデータを効率的かつセキュアに管理していきたいと考えている現場の取り組みが見えてくる。

アーカイブに利用しているストレージの種類

ここで、これらのデータをアーカイブしているストレージの種類をIDC調査の「アーカイブストレージの利用状況」から見てみよう。「基幹系データ」「分析系(DW/BI)データ」「その他業務用データ」では「テープストレージ」が最も多く、それ以外では「光ディスク」が最も多くなっていることがわかる。

元来、公文書の保管所、書庫などの意味を持つ「アーカイブ」は、オリジナルデータを長期的かつ安全に保存し、監査などで提出を求められた際に迅速に対応できる仕組みや、頻繁にアクセスされることがないため、データの圧縮・蓄積による保存コストの抑制が求められる。また、データの改ざんや消去を防ぐ機能や、高速な検索機能も必要になってくる。データ復旧を目的としたリストア(複製)する「バックアップ」とは異なるこうしたアーカイブ要件や機能に優れるストレージメディアが、現時点では支持されているのだろう。

データ種類別 アーカイブストレージの利用状況(複数回答) のグラフ

アーカイブの課題

このような現状の中、現場ではどのような課題を抱えているのだろうか。IDC調査の「アーカイブの課題」によると、アーカイブ課題の上位は「アーカイブすべきデータの増大」「運用/管理コストの増加」「ハードウェアコストの増加」となっており、バックアップと同様の課題が出てきている。また、以降は「セキュリティの確保」「アーカイブすべきデータとそれ以外のデータの仕分け」「データの検索に時間がかかる」「ストレージの低コスト化と高いアクセス性能の両立」「ポリシー設定が難しい」といった項目が続き、アーカイブ特有の課題が目立つことから、増え続けるアーカイブデータに管理が追い付いていないと推測される。

では、ポリシーの設定状況はどうだろうか。アーカイブ対応のストレージシステムや専用ソフトウェアを導入し、アーカイブ対象となるデータにポリシーを設定することで、ポリシーに基づいたデータ移動や削除、アクセス管理などの自動化できる。IDC調査の「アーカイブポリシーの内容」を見ると、最も回答率が高かったのは「保存期間を決めたデータ保存」の42.6%で、「データの漏洩防止」「データの改変や削除の防止」「セキュリティの確保」と続く。また、以下「保存期間終了後のデータ削除」「アクセス頻度に応じたデータ保存場所の変更」などに関しては、今後データが増えていく予想がされるため、明確なポリシーを意識する必要があるだろう。

従業員規模別 アーカイブポリシーの内容(複数回答) のグラフ

アーカイブに適したストレージで運用の効率化を

アクセス頻度が低いデータをシステムから抜き出してアーカイブすることで、通常バックアップ側のデータ容量を減らすことができる。しかしながらデータ容量の増大やアーカイブニーズの多様化が進む中、アーカイブデータを効率的に管理する仕組みがなければ、かえって運用負荷やストレージコストの増大につながりかねない。

効率的なアーカイブ管理を実現するには、それぞれのアーカイブ目的に沿ったポリシー設定によって自動管理し、またデータの改ざんや消去を防止する機能や、閲覧ログの管理機能などを備えたストレージシステムや専用のソフトウェアの活用がカギとなる。加えて、長期化する保存期間に対応するためにストレージシステムの拡張性や移行性もますます重要になってくるだろう。以前からアーカイブで広く利用されてきたテープシステムは、低価格・省電力・可搬可能であるという従来の特長に加え、転送速度160MB/秒(LTO-6)を実現する高速化が図られており、またLTFS(Linear Tape File System)やWORM(Write Once Read Many)など、アーカイブ要件を満たす機能を備えている。また、Amazon S3で注目が高まったオブジェクトストレージも、拡張性や運用性の高さから注目が高まっている。

富士通のストレージソリューション

富士通は、大容量データをセキュアかつ長期的に保存し、コスト効率に優れたアーカイブソリューションを提供しています。
ETERNUS LT series テープライブラリは、データ資産を将来にわたって保護できるLTO Ultriumテープドライブを採用し、テープドライブのハードウェア暗号機能やWORM機能に記録したデータの改ざんや消去を防止します。
ETERNUS CD10000 ハイパースケールストレージは、ノードの追加により最大56PBまでのスケールアウトが可能なオブジェクトストレージです。データ種別や保存期間、複製ポリシーなどの属性情報に基づいてデータを柔軟に管理します。

掲載日:2015年3月9日

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