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特集「クラウド時代のストレージ仮想化」
~Japan Storage Vision 2011 (2/9開催) から

ICTシステムの運用管理の効率化およびコスト削減を図る手段として、ICTインフラのクラウド環境構築とともに、仮想化技術が注目を集めている。企業によるサーバ仮想化の導入が進んでいるが、今後はストレージ仮想化も徐々に普及していくと予測される。では、ストレージ仮想化は、企業にどのようなメリットをもたらすか、さらにファイル仮想化の必要性について考察する。

ストレージ仮想化のメリット

仮想化とは、ICTリソースの物理的な構成を覆い隠し、論理的に利用することで利便性や効率性を向上しようとする技術のことである。仮想化には1つの物理リソースを複数の論理リソースとして利用する方式と、複数の物理リソースを1つの論理リソースとして利用する方式がある。ここ数年、導入が進んでいるサーバ仮想化は、前者に当たる。
企業で取り扱うデータが雪だるま式に増えてくると、各部署にサーバが分散したサイロ型のシステムでは運用管理の負荷やコストもまた大きく膨れ上がる。そこで、運用管理の負荷軽減やコスト削減のために多くの企業が取り組み始めているのがサーバ仮想化だ。サーバ仮想化では、1台の物理サーバ上に仮想化レイヤーを置き、その上で複数のサーバOSを稼働して論理的に複数の仮想サーバを運用する。これにより物理サーバの台数を減らせるため、ハードウェアコストに加え、管理の手間やコストも最小限に抑えられる。
一方、ストレージ仮想化の導入に関してはごく初期の段階にある。ストレージ仮想化は、サーバ仮想化とは逆に、複数の物理ストレージを論理的に統合して利用する技術だ。1つの仮想ストレージプールを構成し、そこから必要なときに必要な容量だけ利用できるようにすることでストレージの利用効率を高め、運用管理を集約して効率化とコスト削減を図る。
IDCによる「外部ストレージ仮想化の導入目的」という調査では、「ハードウェアコストの削減」「運用 / 管理の効率化」「資産の有効利用」「容量の有効利用」「運用 / 管理コストの削減」との回答が多い。つまり、ストレージ仮想化の第一のメリットがストレージの効率利用およびコスト削減であるということだ。一方、「信頼性 / 可用性の向上」「柔軟な構成変更の実現」「拡張性の向上」「データ移行の容易化」「災害対策の高度化」などの回答は、システムの利活用のレベルを上げ、ビジネス価値の創出につなげようとの目的を示唆していると言えよう。
また、サーバ仮想化だけで、ストレージ仮想化を行わずに複数のストレージが分散している状態ではそのメリットを十分に享受できない場合がある。仮想サーバが利用するストレージによって、すぐに容量が足りなくなったりまったく利用されない無駄な部分が生じたりすると、サーバ管理の負荷は軽減されても、ストレージ管理の負荷が大きくなるからだ。ICTシステム全体の利用効率や運用管理コストを考えると、サーバ仮想化とストレージ仮想化は切っても切り離せないものとであり、サーバ仮想化の普及に後押しされ、ストレージ仮想化の導入も進んでいくと思われる。

ブロックデータとファイルデータ

ストレージ仮想化にあたっては、どのようなデータを取り扱うかを考慮しなければならない。企業が扱うデータは、ブロックデータとファイルデータに大別できる。ブロックデータはデータベースなどの構造化データを指す。特定の作成者や管理者が存在し、データ量の増加は緩やかで、保存するストレージも限定される。一方、ファイルデータは、ワープロ文書や表計算ソフトのワークシート、画像、動画、音声などの非構造化データが中心だ。ブロックデータとは逆に、作成者の数が多く、管理者は複数存在するか、いない場合もある。データ量は急激に増大し、いろいろな種類のストレージに分散して保存される。
これまでのストレージ投資はブロックデータを中心に行われてきた。しかし、近年企業のファイルデータの多様化とサイズの大型化が進んでおり、IDCは、国内のディスクストレージシステム容量におけるファイルベースの容量が2011年にブロックベースの容量を上回り、その後も大きく伸びると予測。また、世界規模でも、ファイルベースのストレージ (ファイルサーバ、エントリーレベルのNAS、クラスタ型NAS、スケールアウト型NASなど) への投資が2009年から2014年まで年平均11%、容量が年平均60%の割合で増え、成長性の高い市場になることを予測している。これらの予測は、今後企業にとって、ブロックデータとはまったく特徴が異なるファイルデータをいかに低コストで効率的に管理するかが重要課題となることを意味する。

ファイル仮想化の必要性

ストレージ仮想化にはさまざまな技術がある。現在よく利用されているのが、複数の物理ディスクを1つの仮想ディスクとして利用可能にするディスク仮想化や、ストレージ容量を仮想化して実際の物理ディスク容量より大きな論理ディスク容量を割り当て可能にするシン・プロビジョニングだ。しかし、これらはブロックレベルのストレージ仮想化技術である。ファイルデータの効率的な利用または管理のためには、さらにファイルサーバ統合やファイル仮想化といったソリューションが必要になる。
ファイルサーバ統合とは、文字どおり分散した複数のストレージを1台のNAS (ファイルサーバ) に統合することだ。ファイルサーバ統合により、データ管理を一元化し、運用管理やバックアップの効率化、セキュリティ対策の強化などを図ることができる。
ただし、ファイルサーバ統合でファイルデータ管理のすべての課題を解決できるわけではない。既存のストレージを有効活用し、ファイルアクセスによるストレージの効率的な利用や管理を実現するために、ファイル仮想化をぜひとも検討したい。ファイル仮想化とは、複数のファイルサーバ (NASなど) を仮想化して1つの大容量仮想ストレージに見せかける技術である。ファイル仮想化により、物理ストレージ上の位置を意識することなくファイルベースでのアクセスが可能になるため、利用効率の向上や管理負荷の軽減に加え、ファイルサーバ間でのスムーズなデータ移行や負荷調整によるパフォーマンス向上などの効果も期待できる。
ファイル仮想化は、ストレージ運用の効率化およびコスト削減に必須の技術と言えるが、闇雲に導入すればよいというものではない。ストレージ仮想化、そしてファイル仮想化については、自社ではどのような種類のデータを扱うか、データ量は今後どれだけ増えるかを明確にしたうえで、ストレージ管理における課題を洗い出し、サーバ仮想化技術との相互効果も考えながら、導入を検討することが重要である。

掲載日:2011年4月22日


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