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Japan Storage Vision 2011レポート

2011年2月9日、「クラウド時代のストレージ投資を展望する」をテーマに「第11回 Japan Storage Vision」(IDC Japan主催、於:東京カンファレンスセンター品川)が開催された。本イベントでは、IT投資が回復に向かい、クラウドが普及し始めた中でのストレージ投資の新しい方向性を示すために、IDC Japanの3名、ITベンダーの4名による講演と、IDC Japanの4名によるパネルディスカッションが行われた。
今回は、主催者であるIDC Japanの講演を中心に、ITインフラの変革、仮想化導入の普及など、クラウド時代のストレージの動向をレポートする。

ストレージインフラ変革の方向性を探る-新しい環境下で変化し始めた投資基準-

IDC Japan株式会社 ストレージ/サーバー/HCP/PCs グループディレクター
森山 正秋 氏

IDC Japan森山氏は、企業がITインフラの再構築に着手し始めていること、それとともにストレージインフラの変革が重要になることについて、次のように説明した。
リーマンショックにより2009年に大きく落ち込んだIT投資は、2010年には回復する見込みだが、2011年以降も抑制傾向にあり低成長が続くと予測される。また、2014年の国内IT市場を予測すると、プライベートクラウド市場は2009年の984億円から3,760億円に、パブリッククラウドサービス市場は312億円から1,534億円に拡大し、仮想化サーバー出荷台数は7万台から15万台に伸びる。これは、プライベートクラウドによる企業のITインフラの再構築、パブリッククラウドサービスによるITシステムの所有から利用への変革、クラウドを支える仮想化の普及による管理対象の物理環境から仮想環境へのシフトが進むことを意味する。
この背景には、企業のコスト削減への切実なニーズがある。企業データは増大・多様化の一途をたどる。IT投資の抑制によりハードウェア増設などの初期投資コストは減少するものの、データ移行の増加やサーバーの仮想化・統合による管理の複雑化といった理由で運用管理コストは逆に増大している。運用管理を適正化してコストを削減するために、企業は、IT投資が抑制される中でも新しい技術を積極的に採用してITインフラ自体を見直していくと考えられる。
IT市場の変革はストレージ投資にも大きく影響する。まず、効率的なITインフラの再構築のためにストレージインフラの見直しに取り組む企業が増えている。サーバー仮想化やクラウドの普及は、NASやSANなどのネットワークストレージ導入を牽引していくだろう。特に、サーバーやデスクトップの仮想化と、外部ストレージ、シン・プロビジョニング、ストレージ階層化などのストレージ仮想化を連携させることで、コスト削減に加え、ビジネス価値の創出につなげていくことが重要となる。
森山氏は最後にIDCからの提言として、以下を挙げている。

  • 「クラウドと仮想化などの新技術を活用した従来の投資パターンからの脱却が重要」
  • 「ITインフラ全体の最適化の促進にはストレージインフラの変革が必須」
  • 「コスト削減だけでなくビジネス価値の創出の観点からの投資判断」

ファイルストレージ市場の展望-データ爆発時代の投資の方向性を探る-

IDC Japan株式会社 ストレージシステムズ マーケットアナリスト
高松 亜由智氏

IDC Japanの高松氏は、企業が管理するデータが多様化していく中でどのようにストレージ投資を行っていくべきかについて次のように説明した。
企業のIT投資は低成長が予測されるが、国内ディスクストレージ出荷容量の予測(年平均成長率)は2009年から2014年までファイルベース容量で63%、ブロックベース容量で25%の増加が見込まれ、2011年はファイルベース容量の出荷がブロックベース容量を超える変局点になる。
データの多様化やサイズの大型化などにより、企業のファイルデータは肥大化している。ファイル管理の課題の調査では、「データ量増大への対応」「バックアップの効率化」の上位2つの回答率がほぼ5割だが、「分散データの一元管理」「管理者の負担軽減」など、3番目以降の回答率は約3割とばらつきが見られない。この結果から、ファイル管理の課題は広範囲に及び、企業はファイル管理に本格的に着手していないか、適切なソリューションを模索している段階であると推定できる。
ファイルデータは、「非構造化データ中心」「データ量が急増・分散」「ストレージインフラが多種類」など、ブロックデータとは特徴が異なり、大容量を効率的に低コストで管理するにはファイルデータに適した管理技術・手法が必要である。現状ではファイルサーバーと内蔵型DAS、NAS、ネットワークディスク(低価格NAS)が多く用いられている。2009年度に落ち込んだNASへの投資が2010年に回復を見せている。また、急増するファイルデータ管理課題の解決策として、多くの企業がファイルサーバー統合を実施し、バックアップ効率化、管理負荷の軽減、セキュリティ対策強化などを進めていることがうかがえる。ただし、従来のファイルサーバー統合はオールマイティではない。ファイルサーバーの統合に関しては、「ファイルアクセスのパフォーマンス維持」、「統合コストの負担」、「アクセスパスの変更が負担」といった課題や懸念を挙げる企業も多い。こうした従来のファイルサーバー統合では解決できなかった課題の対応策の1つに、ファイル仮想化による統合が選択肢として挙げられる。ファイル仮想化の認知度はまだ低いが、その導入は徐々に増えはじめている。導入理由は、そのほか、「既存ストレージ資産の有効活用」、「階層管理によるコストやパフォーマンスの最適化」といったファイル仮想化ならではのメリットもあがっている。
高松氏は世界的にもファイルストレージ市場の成長性が高いことを示した後、IDCの提言として、以下を挙げている。

  • リソースの有効活用を考えてファイルサーバー統合を検討し、「早期にファイルデータ管理の効率化に着手すべきである」

(注1)IDCでは、ファイルシステム、ネットワークプロトコル(NFSやCIFSなど)、インターネットプロトコル(HTTP、RESTなど)によってアクセスされるストレージリソースをファイルストレージと定義する。

クラウド基盤を支える富士通のストレージ・ソリューション

富士通株式会社 ストレージシステム事業本部 ストレージインテグレーション統括部
統括部長 熊沢 忠志

熊沢はまず、富士通のクラウドコンピューティングへの取り組みについて述べた。
企業では、既存システムの最適化によるコスト削減、SaaS(Software as a Service)や高生産性の開発などへの取り組みによるフロント業務のスピード化が必要であり、クラウドコンピューティングを含むICTの利活用がその鍵となる。富士通は、基幹システムやプライベートクラウド構築のシステム最適化とパブリッククラウドサービスの両方の側面からお客様の業務を支援し、信頼性の高いプラットフォームとサービスを提供する。
特にプライベートクラウドは、コスト削減と業務のスピード化の両方の効果を期待できるものとして注目を集めている。富士通は、ハードウェアを減らしてインフラコストを削減する「仮想化」、システムの構築や拡張に迅速に対応する「標準化」、人的ミスを排して少ない人員での運用を可能にする「自動化」の技術を用い、企業の既存システムを部署ごとに分断されたサイロ型からプライベートクラウドに段階的に最適化し、高い信頼性とセキュリティを維持しつつ、コスト削減を推進する。

続いて、富士通のクラウド向けストレージソリューションを紹介した。
クラウド環境向けのストレージの要件として、「シン・プロビジョニング」「監視・予測」「容量予測」「階層管理」「セキュリティ」「データ保護」などの運用機能の強化と、「ストレージ最適化」が重要となる。たとえば、ETERNUS DXディスクアレイのシン・プロビジョニングにより、ストレージの有効活用、ディスク容量の削減が可能になる。お客様事例では、サービスデリバリーの迅速化も図れて大変喜ばれている実例を紹介した。
また、ETERNUS CS800デデュープアプライアンスの重複排除機能を活用すれば、バックアップデータ量を大幅に圧縮できる。膨大な設計・製造データを保有するお客様事例ではバックアップデータ量を1/4に圧縮、遠隔地へのレプリケーションも低帯域回線の利用が可能になり運用効率、コスト削減が図れている。業界初の新技術(未実用化)として、ソフトウェアで運用中のブロックストレージの重複データを瞬時に発見する新アルゴニズムを紹介。

ETERNUS SF Storage Cruiserは、サーバ仮想化環境での監視・予測に非常に有効なソフトウェア。障害検出、影響を受けるVMゲストとの関係を即座に把握できる。また、パフォーマンス問題の予兆監視やボトルネック分析、リソースの需要予測なども可視化できる。

ICTリソースを一元管理・見える化するのが、ダイナミックリソース管理ソフトウェアServerView Resource Orchestrator(注2)とストレージ基盤ソフトウェアETERNUS SFを連携することで、ディスク仮想化(SAN仮想統合)によるディスク割り当て、容量拡張、マイグレーションの簡易化、ディスクボリューム仮想化(シン・プロビジョニング)によるディスク利用効率の向上、ファイル仮想化(NAS統合)によるファイルサーバの統合と最適化が可能になり、柔軟なストレージ仮想環境を構築できる。これにより、業務の要求に応じてサーバとストレージを即時に割り当てるシステム展開の自動化が実現する。
富士通は、これらを含め、クラウド時代に最適なストレージインフラを構築するためのソリューションを提供することで、お客様の業務を支援していく。

(注2)ServerView Resource Orchestrator:仮想化技術を用いてプライベートクラウドやデータセンターのICTリソース(サーバ、ストレージ、ネットワーク)の一元管理・見える化とプール化により、ICTリソースの有効活用とガバナンスを強化するソフトウェアです。

本イベントでは、コスト削減のためのITインフラの再構築により、クラウド導入やサーバーなどの仮想化の普及が進むとの予測が示された。ITシステム全体を最適化するためには、ストレージインフラの変革が重要となる。2011年以降、ベンダーは、ストレージの統合・仮想化、仮想環境におけるストレージ運用の効率化を可能にする、より優れたソリューションの開発・改善に努めていかなければならない。

富士通の展示ブースより

富士通は、Japan Storage Visionで「ETERNUS CS800 S2デデュープアプライアンス」の展示を行った。本製品は、重複排除機能を搭載したディスクストレージであり、主にバックアップに用いられる。一般的な企業データであれば、可変長のブロック単位での重複排除により、保存データ量の約9割(注3)を削減でき、通常のディスク装置よりバックアップのコストを抑えられる。また、テープ装置より高速かつ短時間でのバックアップ/リカバリーが可能。異なる拠点のETERNUS CS800 S2間でデータ複製が可能であるため、災害対策システムの運用にも役立つ。
バックアップに関してはコスト削減、時間短縮、作業負荷軽減などの課題がある。本製品はそのような課題解決に最適であり、会場でもバックアップ効率化を考えているお客様から、製品について詳しい説明を求められる場面も見受けられた。

(注3)毎週フルバックアップ、毎日差分ブックアップした場合の削減率

掲載日:2011年3月31日


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